親友のバイクを選ぶ ーARAYA TUR編ー


僕には絵描きの親友がいる。


何もないところから突然その道を選び、

今は東京在住。

絵描き兼、絵の先生として生計を立ててる事を尊敬しているし、


彼と小学生からの付き合いが続いている事を誇りに思っている。


そんな彼が、ダイエットも兼ねて、

片道30km程の通勤先まで自転車で通勤したいとか。

そこでどんな自転車を買えばいいのかと、ワクワクする様な案件をメールで送ってきた。


条件は、先の走行距離、画材を積んで走れる積載量。雨の日でも走れる泥除け付き。


後は予算、10万前後。


流石だ。


中学生の頃共に自転車で他府県まで走ったり、

高校生の頃はナゾのチューブラーのロードにバイト代を注ぎ込むくらいには彼は自転車が好きだったので、

分かってるな、と言う感じだ。


実際こんなブログを書いてると、

「本格的な自転車が欲しい、予算は5〜3万は出せる」的な相談をされる事もしばしば。

よく知らんけどトレックのFXがええんちゃう?


とか勧めてるんだけど、


10万で完成車となれば選択肢も少なくない。


車種は、ランドナー、

もしくはスポルティフだろうか。


違いはタイヤのサイズで、

最初は700cのスポルティフを勧めたが、よくよく調べるとランドナーの方が積載量が多く前後輪のパニアにサドルバッグハンドルバッグを搭載した「フル装備」に向いているという。


そこまでするかはともかく、


絵描きの彼が画材をパニアバッグに積め込んで、

美しいクロモリのランドナーで山を越える姿を想像しただけで、


胸が踊る。


ARAYA製、TUR 。

ダブルバデッドのクロモリフレームに、

ロストワックスのクラウンを持つクロモリフォーク。


giantや石丸自転車も勧めつつも、


どう考えてもARAYA製がカッコよ過ぎる。


ホリゾンタルのラグフレーム、

650B規格対応のタイヤサイズ。

輪行を意識したセパレートの専用マッドガード。

丸ハン、ダブルレバー。

オリジナルリム。


まさに、美学の塊。


僕の紹介をうけ、

早速取扱い店を回ってくれたんだけれど、


1店舗目はニットー製キャリア(片側24000円)しか付きません、と15万の見積もり出してgiant勧めてきたり、

次の店舗では他の客と遊んで相手してくれないなど、


結局近所の、

アラヤの取扱いは無いが非常に対応が良いショップでミヤタのCXモドキを勧められ、

価格も安いしそこで決めると言う。


アルミ製のCX入門用としてもハンパなイメージを払拭出来ないその完成車は、素人同然の彼が片道30kmを走るには、僕にはどうにも不適としか思えず、


店はともかく、それならTURの廉価版、

FED(6万円)の方が絶対良い、

と勧めた。


そして彼はまた違うアラヤ取扱い店へ。


もし、

僕の意見が無ければ恐らくミヤタを

買っていただろう。


彼の様に

さぁ、自転車を買おう、

という層が手荒に扱われる現実は少なからずあるのかと思う。


真っ当に自転車に乗るならそれなりの敷居を跨いで来い、というのは分かる。


いや、やっぱ分からんか。


どんな業界であれ、

目先の利益ばかり追うとどうしても文化そのものは衰退していくというアレなんだろう。


とにかく、

次に選んだ取扱い店は三度目の正直。


彼の話をちゃんと聞いて対応してくれただけでなくサービスも親密にしてくれて、

それだけで彼も他の自転車用品全てその店で決める、という話になったそうだ。


しかも、

納期がFEDは12月、TUR(9.5万円)は9月という事で、後者に即決したという。

ヨッションも言ってたが、

良いショップとの巡り合わせってのはあるもんだ。


正直、3万の違いであのスペックなら無理してでもTURにして欲しいと思っていたので、

これは嬉しい報告だった。


別に僕には何の利益もないんだけれど、

「コレは楽しい!」と思える自転車を選んで貰えたのではないか、という自己満的予測。


その結果、彼がまた自転車に目覚めでもしたら、とワクワクしてしまう。



中学生の頃、

彼と22時に待ち合わせ、

自転車で福井県から京都を目指した。


国道161号線、

真夜中のヒルクライム。


登りきって降り出し、

その降りの直線はブレーキを掛けなければ、およそ速度50kmは楽に稼ぎ出せる程。


で、


その後にくる減速コーナーで、

彼はガードレールにダイブ。

シャツはボロボロ。擦過傷は肩にサケの切り身でも付けてるかの様だ。

それでもと根性を見せて走り続けようとすると、

直後に僕がパンク。


これはもう、ヤメた方がいいな、

と笑いながら星空の峠を僕らは折り返した。


もし叶うならもう一度、

彼と走りたい。


その願いは、

もしかすると叶うかもしれない。


次は、東京から福井まで、山脈を越えるのも良い。


晴天の、ウネリ続ける山道を、

息を切らして追越し追い越されながら。


もう30年以上の付き合いだ。


語り合っても語りきれるワケもない時間を、


ペダルを回すその息遣いの中で感じ合えると、


今の僕なら、

確信出来るのだ。









南大阪サイクリングコースご案内 葡萄〜FJC編

今回は、

大阪市内から南東へ走り、

生駒山地は信貴山をクルッと回って

お洒落カフェに寄って帰ってくるサイクリングコースをご紹介します。


難波あたりを出発終点として、

ざっと3時間半ほどのコースになります。


バームクーヘンと自転車のカフェ、FRANCY JEFFERS CAFEにて朝食を摂る事を目標として出発しますので、

朝6時頃の出発がオススメです。


まず難波から26号線を南下し、

大和川サイクリングロードへ。

このサイクリングロードは道も荒れ気味ですし、変化のない景色が楽しいとも思えない、

なんなら向かい風の中を修行僧の様に黙々と走るセクションです。


たまにロードバイクを目の敵にした

ナニワのオジさんが、

追い越す瞬間


『なんじゃこらー!』


と叫んでくる事もあるので、

十分距離を取って追い越して下さい。

真っ直ぐ行けば柏原市民文化会館に到着します。


サイクリングロードが好きでない方や、

時間を間違えちゃったオッチョコチョイさんは、

国道を南東方面へ走れば多少早く柏原市へ入れます。

その場合も、

信号待ち等でナニワのオジさんに


『兄ちゃん競輪選手か?!』


とか聞かれますので、ええまぁ。とテキトーに答えておいて問題ありません。

二度と会う事も無いと思います。


柏原市に到着したら葡萄坂の入り口、

大県南の交差点へ向かいます。


坂の麓にコンビニがあり、

目を三角にしたロード乗り達が


『….かかってこいよ…』


と言わんばかりの雰囲気で

タムロしてるのが目印です。

でも実際に声を掛けると気さくな方が多いのでご安心下さい。


葡萄坂に入ると墓地の辺りから急勾配になり、

墓地といえば、

最近は少子化過疎化の影響で墓守りが居なくなり、墓が荒れ放題で社会問題になっているとか。

皆様、お墓参りはされましたでしょうか。


とにかく、

このコースでは最も厳しい登坂でもありますし、

達成感に浸る為にも、

後でログ見てニンマリする為にも

葡萄坂のゴールとされる変電所まで、

しのごの言わずに全力で駆け上がって下さい。

だいたい20分くらいの登りですし、

僕は今年墓参りに行ってません。


変電所を過ぎると、

その先には痛快な下りが続きますが、

すぐにまた登りになります。


この辺りでボトルの水が無くなり

アイヤーとなった頃、

タイミングよく自販機が現れますが、

『自転車を立てかけないで!』

と張り紙されてますので、

決して立てかけてはいけません。


トップチューブに跨り器用にボトルを満タンにしたら、


また坂を登ります。

ずいぶん高い所まで登ったなぁ、と思う

のどかで素敵な景色も見下ろせます。

この辺りまで来ると、

葡萄坂を全力で登った事を後悔しはじめる事と思います。


十三峠の裏に入ると、

斜度も峠の名に恥じないなかなかの登りごたえなので、


なぜあの時全力で走ったのか、

そんな事に何か意味があったのだろうか、

と自問自答しながら必死で踏んで頂けると思います。


小さなトンネルを潜ると十三峠の頂上。

駐車場はアベックの車でいっぱいです。

こちらはと言うと、

汗でずぶ濡れの自転車おじさんか憂いた表情で地上を見下ろしてるだけ。


こんな所に用は無いので、

サッサと下る事にします。


十三峠は道幅も狭く路面も荒れ気味で、極上の減速コーナーが続きますので、

下りは大変危険です。

心して下る様、お願いします。



下りきったら、

そのまま真っ直ぐ170号線まで出て、

左へ向けて走ると、すぐ

FRANCY JEFFERS CAFEが見えてきます。

倉庫を改装したこのカフェは大変大きく、

なんと店内まで自転車を入れて、

自転車と一緒に食事が出来るので、

盗難の心配なくユックリ出来ます。

外のスロープから店内に入り、

さらに大きなスロープで二階まで自転車を持ち込み、先に席を取ります。

スロープには滑り止めしてあり、

クリートでも滑りにくいのですが、


僕の場合手すりを使わず降りていたら

滑ってコケそうになりました。

皆さんも、滑り止めしてあるからといって油断してはいけないとキモに銘じて下さい。


他のコーヒースタンド同様、

カウンターにて注文します。


コーヒーとハーフサンドを注文し、


「1300円になります。」


え?


「あ、1300円になります。」


…決してお金が無いってワケじゃないんです。

ただ、朝メシで千円越えするのは幕の内のOLかしら、という話しで。


とはいえ気の利いた冷製スープも付くし、実際食事は美味くボリュームもあるので、結果満足頂けるかと思います。

他にもメニューは充実していますので、

何度来ても飽きそうにないです。


また、店内には自転車撮影用のラックや、自転車雑誌、自転車用品を使ったインテリアなど散々インスタバエする環境が整うだけでなく、

存分に自転車を堪能出来ますし、

セルフで頂けるお冷にはレモンが沈められていて、渇いた喉に最高です。

因みにこのカフェの店内に持ち込める自転車はスポーツバイクのみで、

となると、僕の後輩が作った魔改造ママチャリはどうなのかしら、

と思うのですが、

線引きが分からなければ、店員さんに聞きましょう。

何であろうと、

店員さんがダメっていったらダメなんだからね!


さて、

カフェを出たら、店の前の国道170号線を北上、県道24号線に入り、まっすぐ大阪市内へ向かいます。


この道は自転車レーンが整備されていて、信号は多いもののとても走りやすいと思います。


ただナニワのオジさんも多く、

抜いても抜いても信号無視して抜き返してくるのでココぞ、という直線で残った力を振り絞り、フルスピードで抜き去るしかないかも知れません。


内環状線を超えれば、

もうすぐ終点、難波です。


大阪の素晴らしさを堪能出来る

周回コースだと思います。


ぜひ挑戦して、

ナニワのオジさん達を堪能して下さい。




帰省ライド

歯のブリッジが割れた。


すぐに歯医者に行き、

ブリッジ作り直しって事で、

総額二万四千円とか。


妻は別に何も言わなかったけれど、

電車代を節約するという口実で、

盆は僕一人、

自走で帰省する事にした。


実家までは

片道150kmくらい。

淡路島一周と考えれば

どうという事は無い距離だ。


事前に荷物を実家に送って、

朝7時半に出発すれば

昼過ぎには着く。


兼ねてからの願いだった

自転車での帰省だ。


途中、良さげなパン屋で休憩を取り、

残りの距離を携帯で調べる。


まだ80kmもある。

いや、

もう80kmしかない、

と、

出来るだけ楽しそうなルートを寄り道しながら探して走り、

浮かれてオーバーペース気味で、


実家のある街との県境にある峠を登る頃には、もう脚を回すのも辛くなっていた。


あと数メートルで市内に到達するってトコで電話が鳴る。


母からだ。

後どれくらいで市に着くのか聞いて来たので、まぁ、あと5秒くらいかな笑。


と、そこで母は初めて僕が自転車で帰ってる事に気付いたらしく、


家の玄関に着いた僕の顔を見た母は

開口一発、

「あんた二児の父やのに、事故でもしたらどうするの!」

と怒られた。


そりゃまぁ、そうか。


後を追って電車で来る予定だった妻は

娘の発熱で帰省出来なくなり、

前乗りで帰ってた息子は従兄弟と親父とべったり遊んでる。


二日目は特にやる事もないし、

僕はせっかく自転車もある、

という事で、

市内一周してみる事にした。


さて、

行くか。


そういえば、小5の頃だったか、

自転車で市内一周してくる、

と自分的市内一周を目指し、

母に見送られて出発した事があったが、

随分小回りな一周だったし、

結局最後はオモチャ屋に寄って、

本屋で立ち読みして敢え無く帰って来てしまった。

恥ずかしく、苦い想い出だ。


流石にあの頃よりはマシなルート取りで走り出し、


最初の丘に差し掛かる頃、

20代の頃この辺りでパトカーから逃げた事に気が付いて

…嫌な事思い出したな、と

少し憂鬱な気持ちになってギアを二枚落とし、

一気に丘を駆け上がった。


その丘は以前父の自転車でヒイヒイ言いながら登ったのだけれど、

ロードだと大した事はないと感じたので、機材ドーピングってのはあるな、

と痛感する。


港側に出ると美しく、赤レンガ倉庫等、観光地として整備されていた。


その先にある壁の様な港大橋。

僕は幼少の頃この辺りに住んでいて、

親父の趣味で着せられた巨人の原選手のユニフォームでよく走り込みをしていた。

港大橋の端をせっせと駆け登る小2の僕には、その坂はとても大きかった。


とはいえその頃、

リトルリーグに入ってたワケでもなかったし、

何の為に走り込んでいたのかは

今も不明だ。


さて、

半島に入るとサイクリング感はぐっと上がる。


穴場の海水浴場へ向かう道だが、

学生の頃その海の家でバイトしていて、

同じバイトの女の子を好きになったけど、

その子に「ミエハルさん」とアダ名されたし、

当然叶わぬ恋に終わった事を思い出しながら、


僕は、半島の反対へ抜ける峠道、

「ノーマ峠」へ入る。


減速コーナーが繰り返す、走り屋のメッカで凶悪な峠道。


僕の友人も何人かガードレールの向こうへ飛んで行ってると聞いていたが、

登りで自転車なら大して怖くない。


が、


なんと、


峠は減速コーナー区間手前で通行止めになり、


代わりに

トンネルが貫通していた。

それはいい。


僕はトンネルなんか無いコースだと思ってライトもテールランプも外してきていたのだ。


なんてバカなんだ。僕は。


そのトンネルは思ったより長く、

緩やかにカーブして出口は全く見えない。


よりによって今日は黒いジャージを着てる。


暗闇の中で、自分の置かれた状況を鑑みて、トンネルに入った事を後悔した。


対向車のライトが逆光になれば、

後方からくる車には完全に僕は見えなくなるのではないか。


死が脳裏をよぎる。



せめてテールランプがあれば。


携帯のライトをつけ、

背中のポケットからチョイ出しにし、

少しでも視認して貰える様に、

大袈裟にハンドルを振ってダンシングを始める。


とにかく、この登り勾配のトンネルを、

全速力だ!


その時、後方から、車の音。

祈る様にペダルを回す。


どうやら気付いてくれた様子で、

その車の動きで後ろの車両も交わしてくれた。


でも、次のグループの先頭が気が付いてくれるとは思わない。


その矢先、出口と思わしき光が見え、

僕は全速力で走りきった。


大層な恐怖体験だったが、

トンネルを抜ければ

緩やかで長い下り。その先は、


白く美しい浜が広がる。

水着の女の子に癒される、

かと思いきや、家族連れか、でなければ半身に墨が入った悪そうな若者がこれ見よがしにタムロしていて、


20年前と余りにも変わらない風景に、

なんだかまた憂鬱になる。


海岸を抜け、山間に入ると、

昼間だというのに農村に

殆ど人が居ない。


オシャレな感じのカフェに入ると、

サイクルラックなんかもあって現代的だ。

そこから田園を抜ける新しい道は、

走りやすく気がつくともう、

ウチに着いてしまった。


50kmもないじゃないか。


もう一度小高い丘に逆から登って街を見下ろす。


四方を山に囲まれた街。

若い頃、僕らはよく、

この街を箱庭と呼んだ。


それは色んな意味での閉塞感を表していて、それは今も変わらない。


良くも、悪くも。



翌日は、地図で見てもクネクネと蛇行し、激しい勾配と標高を予感させる市外の山間部に向かった。


そこは案の定、

とんでもなく蛇行した山道で、

それは想像以上に気持ち良く、

写真を撮るのも忘れ夢中で駆け上がってしまった。



最終日、自転車で大阪へ帰るのはさすがに母に止められ、

父が娘に会うついでに僕と息子を車で送ってくれた。


その夜、

父と飲む。


おやすみを言って寝室へ駆け込んで行く息子を、娘がキャッキャ言いながら追いかけて行く姿を愛でた後、


親父が

「お前は何しでかすか分からんからな。今回も突然自転車で帰ってきたり」


ハハハ、と愛想笑う僕に、

続けて

「でもお前の人生はワリと良いんじゃないかと思う。点数付けるなら、そうやな…」


「85点」


何その半端な。


「給料安いからな、85点」と言って親父は笑った。


田舎にいる頃から親父には迷惑ばかりかけていた。

そして実際、

あの街に良い想い出なんかあまり無い。


いやでも、


嬉しくて楽しいだけの事なんて、

大した想い出じゃないんだろう。


振り返れば、

良くも悪くも変わらないあの街が

いつも赤点だった僕を、


今も変え続けているのだと思う。







東京サイクリング


「うそうそ、ホントに思ってないから言えるんじゃけん…」


「…かわいいと思っとお…。かわいい…。これは本音やけ」



…サイクリングロードってのは、

真っ直ぐだと思い込んでボーッと走ってると、

思わぬ所で行き止まりにぶち当たってしまう。


でも、その行き止まりに関して言えば、


ガードの向こうに芝の伸びた見晴らしの良い小さな丘があったので、

ガードを跨いで写真を撮ろうとしていると、


丘の下から、

こっちが赤面する様な、

先のカップルの会話である。

見てはイケナイ物でも見るように、

脇の下から覗き見た彼らは、

日焼けピクニックをするカップル。


1人は短髪でビキニパンツのマッスルガイ。

もう1人は対称的に線の細い、男性。



…その時僕は感じたんだ。


東京の「自由」ってヤツを…。



荒川サイクリングロードは、

野球少年達とサイクリストでごった返し、

まぁ、走りやすい歩道、くらいの感じで、ビュンビュン飛ばすには時間帯を選ぶ必要があるのだろう。


走る先々に野球のグラウンドが広がってるのは、大阪の河川敷も同じで、


あらためて日本人の野球愛の深さを

痛感しながら、

全国どこの河川敷にもある様な、

サイクリングロードをひた走る。


短期の東京出張にわざわざロードバイクを持ってきたので、

宿舎から遠くない荒川サイクリングロードの起点へ向かい、


当て所なく走るのもどうかと思うので、

今回はネットで調べたコースをトレースする事に。


荒川サイクリングロードから入間サイクリングロードへ、

そのゴール手前で逸れて「サイボクハム」で昼メシにトンテキを食らうルート。


ざっくり片道80km、

往復しても160kmくらいか、と

走り出したものの、

あまりにもサイクリングロード然としていて黙々とクランクを回し続けるだけの道のり。


前週に、

都内に向かって観光がてら走りに行った時の方が、楽しかったかも知れない。


その日は、

LUGに飯食いに行こうと走ると

お店は引越し中。

ちゃんと調べて来なかった自分に苛立ちながらも、


それならという事でRapha東京に。

ここで食べたTDFサンド?がメチャクチャ美味くてスッカリ機嫌を良くし、

偶然通りかかった皇居周辺で行われていた、

パレスサイクリングという、

皇居周辺道路を一部自転車専用道とし、

サイクリングコース化するイベントに混じってみた。


道端ジェシカみたいなトライアスロンな女性ライダーや、貸し出しされてるタンデムバイクに乗る若いカップル、

家族で自転車を楽しむ人々など様々。


その中でガンガン飛ばすローディーの方が場違いな気もしたので、

それなりにスピードを抑え、距離を稼ぐ方向でグルグル走ってると、


カーボン製のロードバイクばかりの中で一際目立つスチールのフレームを見つける。


アーミーグリーンの、カラビンカだ。

飛び抜けてオシャレな感じがしたし、

INSTAでいつも見てるホンザキ氏かな?


でもまさか、この大東京でそんな偶然あるだろうか、という気がして、

声をかける事なくスッと前に出た。

(後でご本人からインスタで連絡を貰いました。)


皇居周辺という事で、

道は綺麗だし景色も良く開放感もある。

何よりこんな都市のど真ん中で自転車専用道なんて、

非日常感が気持ち良い。



そう、

今こうして走るサイクリングロードにも、

確かに非日常感はあるのだけれども。


そう言えば、

すれ違うロードバイクに乗る人に、ヘルメットを被ってない人を結構な数見たと思う。

これは文化の違いか、分母の違いか。


僕自身、ヘルメットに救われた経験が何度かあるので、怖くないのかな、とは思うけれど、

それがスタイルであれ何であれ、

他人がとやかく言うモノでもないし、

そういうのは好きじゃない。


そう、

東京は自由…。



荒川サイクリングロードから入間サイクリングロードに入ると、

幅員は狭くなり、

サイクリストもグッと減る。


暑さで参ってきて、

水といっしょにジュースも買って、

ゴクゴクとその場で飲み干し、

水は水でボトルに入れるけれど、

夏の陽射しがボトルを温めてしまって、

買い足した水はすぐヌルくなってしまう。


サイクリングロードを逸れて、

サイボクハムの近くまで来ると、

なるほど、東京も少し走ればそれなりの田舎町に到達するんだな。

そう感じて間も無く、

目的地、サイボクハムに到着。


なんだか腹は減ってるのに食欲がない。

正直、

肉とかハムとか、

ムッとする。


が、

目の前に現れたトンテキとハム。

とりあえずカブリつくと、

甘く香ばしい肉汁が

じわっと舌を包んで、

一気に食欲を思い出させる。


コレはビールしかない、

と、

慌ててノンアルコールビールを購入したがコレはまぁ、

やっぱあんまり美味くないな。

でも、

いかに東京が自由とはいえ、

流石に飲酒運転はマズイし。


ここら帰路、80km。


とりあえず残り数キロでサイクリングロードはゴールなので、そこまで行ってみたが、


何もなかった。


予定通り、折り返すか。


でも国道で真っ直ぐ帰ったら50kmほど。


…やっぱ、

真っ直ぐ帰るか。


そう、東京は自由なんだからね!


特に面白くも何ともない、

ただ都心へ向かうだけの国道を、

信号で捕まり、

車に邪魔扱いされながら、

僕は黙々とペダルを回す事に。


水の飲み過ぎで腹はポチャポチャしてるのに喉ばっかり渇く。


たまらず自販機でキレートレモンを買う。爽やかな酸味が恋しい。


って、よく見たらキレキレレモンて買いてあるやん!甘っ!

フザケやがって…!


類似品と本物の見分けもつかない程の渇きを潤せるのは、


やっぱりビール。ビールしかないで…。


日も暮れはじめた頃、

誰も待たない宿舎に到着。


近所のコンビニで買ったビールに

早速指を掛けそうになったが、

その手をそのまま冷蔵庫へ入れた。


まだだ。


ここで焦って飲まない。

大人は堪える事で幸福感を跳ね上げる術を知ってるモンだ。


シャワーを浴びて埃と汗を流し、

そこで初めて脚にキテる事に気がつく。


部屋着に着替え、

せっかくだ、グラスも出そう。


誰が置いてったのか、

これは中々良いグラスだ(多分)。


冷蔵庫から出したビールのプルトップを

僕は勿体つけずに引いた。


『パシュッ』


小気味良い音が、鼓膜を震わせ

耳小骨を伝う。


グラスに注いだビールをンぐンぐと飲み干して、

誰ともなく「うまい」と呟いた。


誰にも縛られず、

誰も知らない街で暮らす事が

自由だと思ってた頃があった。


自由とはなんだ。


クタクタに疲れた脚。

飲み干すビールの喉越し。

舐め回すように今日のログを見つめる時間。


誰かと比べる事もなく、

比べられる事もなく、


達成感と、

自分の事が少しだけ

好きになれる時間がある。


好きな自分でいられる事こそが、

きっと自由という事で、


東京ってのは、

そんな人が沢山集まる街なんだろうなと

ボンヤリ思いながら、


ソファの上で僕の意識は溶け落ちた。










チェーン洗浄

ヨッシャン、明日どうする?、


と前触れもなくメッセージを送ったのに、

「六甲コーヒーコースで。」

と、気持ち良い返事が返ってくる。


それを受け、

少し上がったテンションを利用して、

チェーンの洗浄でもしちゃうか、と。


個人差はあると思うけど、

僕の場合は150〜200km毎に洗浄。二回に1度はそのまま洗車という感じ。


今回はとりあえず、ドライブトレインだけ、綺麗にしておく。


使うのは、

パークツールCM5.2と、

ディグリーザー。水に洗剤、

グランジブラシと、

チェーンオイル。

あとはボロ布のウエス。


チラシを敷いて、

さて、やるか。

まずクリーナー本体の蓋を外し、

チェーンを挟み込んでから、

蓋を金属製のクリップで、

パチコン、パチコン、と留める。


本体は樹脂製だけど、

実際持つとシッカリとした作りで

剛性感もあり精度も高いと感じる。


ロード乗りでまだコレを使ってない人には、一刻も早い購入を勧めたいくらいだ。


ディグリーザーをラインまでなみなみと注ぎ、

後はペダルを反時計回りに40回転。

コレだけでも随分キレイになるんだけれど、

ディグリーザーを紙に吸わせて廃棄して、

次は中性洗剤入りの水をクリーナーに注入。40回転。

最後は、真水に入れ替え、

また40回転。


ウエスで拭き上げれば、チェーンはピカピカになる。


次は後輪を外し、

カセットの清掃。


と言っても、ウエスの端と端をピンと張り、

それをギア板とギア板の間に入れて、左右に擦り取る。

バラすよりも手軽だし、それなりにキレイになってくれるので、日常の清掃には

コレで十分だろう。


後はグランジブラシなる三方向から挟めるブラシにディグリーザーを吹き、チェーンリングをガシガシと汚れを擦って、

ウエスで磨く。


フレームに飛び散ったディグリーザーの汚れなどを拭き取って、

車輪をハメこむ。


チェーンを掛けたら、

お気に入りのチェーンオイルを注油し、


余分な油を拭いて出来上がり。


慣れれば30分くらいの作業だろうか。

ピカピカに輝くチェーンを見下ろしながら、グローブを外し、

僕はボトルに入れたアイスコーヒーを啜った。




翌朝、

予定通り走り出す。


変速がパチッ、パチッと気持ち良い。


登りで引き離したハズのヨッシャンに、下りで追い抜かれる。


彼もずいぶんカンが戻ってきたようで、

競う様にして僕らは六甲の山を下り、

麓のコーヒースタンドに入る。


無機質な内装の奥にある

有機的で物々しい焙煎機が、

ロースターでもあるタオカコーヒーの雰囲気を一層良くしてる様に思えた。


「モッツさん今日誕生日でしょ?」


そう言って、

ヨッシャンが奢ってくれたコーヒーを口にする。


これは美味い。


シングルオリジンのライトローストは、

ライドの後にピッタリな爽やかさで、

思わず二杯も飲んでしまった。


そうこうしてると、

今時見ない車高の低いファミリアが、

ボォンと音を立ててテラス席の前を曲がっていく。


奥に車を止め、

歩きながらやって来たのは、

山を走って来た帰りというコッシーだった。


自転車の話になると僕らは完全にオタクで、ついつい身体が冷えるまで話に花を咲かせてしまう。


「モッツさんのロード、持ってみて良いですか…あれ?ヘッドガタ出てますよ?」


えっ?!マジで?!そういえば全然締め直しもしてないわ…


日常整備は疎かにしちゃいけないな、

チェーン洗ってばっかじゃなくて。


いつまで経ってもビギナーぽさが抜けないもんだと自嘲して、

僕らはコーヒースタンドを後にした。






讃えあい、チギリあい。

待ち合わせ場所に向かう朝、

途中、

パンでも齧ってから向かおうと、

コンビニの前でクロワッサンを頬張ってると、


背後から、

ヒュッと、シルバーのTonic、

テースケさんが現れて開口一発、


「…何やってんの」


あっ、おはようございます…


「こんなトコでモグモグして(笑)」


…いや朝飯を…


と、

なんだか気恥ずかしい感じで朝の挨拶を終え、

今日のライドは始まった。




例のごとく、


僕は週末ぎりぎりに声をかけてしまう。


あくまで、まぁお暇であれば、

と言うスタンスなのだけれど、


岡さんが速そうな人達に声を掛けてくれて、テースケさんがコースを案内してくれて、今回もなんだか申し訳ないくらい最高のライドになってしまった。


ナイトーさんにグループチャットで「またテースケさんに案内してもらうつもりでしょ?」と笑われて、全く返す言葉もない。


そのナイトーさんが今回参加出来なくて、テースケさんも少し残念そうにしながらも、道中に岡さんヤギさん、そしてRideinthewoodsのオカモト君と合流し箕面の山を目指す。


山の麓でアヤちゃんと合流して、

今日は、6名でのライド。


人数が多いだけでもソワソワわくわくするのは何でだろうか。

コレも自転車の醍醐味。


と、

車の入れない山道に入って行く。


談笑しながら登るけど、

数日前の嵐で路面に折れた枝葉が散乱し、下りも路面状況は変わらず、オカモト君がサイドカットのパンク。


サイドカットは修理用のパッチが無い場合、テレカや御札をチューブとタイヤの間に挟む、と言う応急処置を聞くけど、


そのタイミングで補給の羊羹を食べていたヤギさんが、コレは?

と羊羹の包装ビニールを差し出す。


確かに丁度良さそう…。


ヤギさんの機転でパンク修理完了。

何となく、自転車屋さんが同行してるって安心感あるなー、と、

オカモト君の修理を手伝うヤギさんの佇まいを見て思う。


そのヤギさんのダッシュ力を、

テースケさんが「マグナム」と評した事を発端に、しばし下ネタで一同ゲラゲラ笑いながら開けた県道を走り出す。

男性的にはマグナムと言えばカッコいい方を彷彿せざるを得ないワケで。


笑い声も一息ついて、


しばし静寂の後、

ズッ、

と岡さんが前に出てふっとその尻がサドルから浮く。


ちぎり合いの合図だ。


ハンドルを握り返した時にはもう遅い。


テースケさんと岡さんがドンっと

加速する様は、

まさにリッターバイクのそれだ。


が、なぜか岡さんが伸びない。

愛車のTonicCXをバラしてる為、

無銘のカーボンCX(タイヤもブロック)で参加してるせいか、

脚力をフレームが吸収してる様に見えた。

(ちなみにいつものTonicもCXだけど僕は普通にブッち切られる。)


そんなちぎり合いの中、

一行は全員が初めて通る、という山間の登り坂へ入って行く。


狭い幅員、苔むすアスファルト。

樹々の葉の隙間を降りてくる陽光。


気がつくと先行していた。


タイヤの転がる音と、自分の息遣いしか

聞こえてこない。


空が近づいて、気持ちよくてニヤニヤしてくる。


でも、

思ったより坂は長く、

だんだん辛くなってきたが、

何となく脚を緩めるのは

申し訳ない気がした。


何に対して、と言うと、

なんだろう、山に、坂に、だろうか。


とにかく不思議な感覚だ。

頂上で皆と合流すると、

速かったよ、と褒められ有頂天。


良い気分で下りに入ると、

またこちら側の斜面の景色も美しく、

林がパッと開けた瞬間、

山腹の田園風景。

青い稲が跳ね返す陽光に、


皆口々に、わぁ!、気持ちいー!と感嘆の声を上げてしまう。


そう、綺麗なんじゃなく、気持ち良い。


景色を、見る、のでなく、全身で感じる事が出来るのは、

コレもまた自転車の醍醐味か。


復路に入り、

ここと言う登りで、

ヤギさんが仕掛けてきた。


弾丸の様に飛び出すアタックに、

テースケさんと共に反応し、

後を追う。


テースケさんが少し緩めた、

気がした。


今が踏み時だと判断し、

一気に行く。


いやらしい闘争心が、

心中でイヒヒと笑い、

その声が聞こえぬ様、ヤギさんを抜く。


だからこそ、

ここで油断して抜き返されるのはいかにもカッコ悪い。


僕は犬が餌を待つように、

ハッハハッハと息を切らしながら、

頂きに向かい必死でペダルを踏んだ。


よし、大丈夫だろう、と左後ろを振り返えった瞬間、


シルバーのフレームが、右脇を抜ける。

そのテースケさんの横顔は、少し笑ってる様にも見えた。


しまった。


と思うまでもなく、下りは速すぎる。


オカモト君が後を追い、二人は瞬く間に見えなくなる。

オカモト君はC3でしのぎを削りあったとは思えない速さだ。


直後、

アヤちゃんにも抜かれる。


下りはセンス。


体力差が出にくい下りで、

あっと言うまにCL1のアヤちゃんに千切られる。


女性らしい雰囲気で、

ロングヘアの美しい彼女が、

グレーチングをホイっとバニーホップしてスッと走り去って行く。


なるほど、男女共に人気ありそうなタイプだ…。



もたもた下っていると、

岡さんから「外足の加重が出来てないかも」と指摘を受け、

えっ、意識してたんだけど、

と心中言い訳しながら岡さんのお手本を見せられて、


あ。


と、なる。


出来てるツモリと出来てるのでは雲泥の差で、恥ずかしいやら嬉しいやら。


「後は目線ですね。参考になればいいですが。」


むしろ勉強にしかならないのに、

こう言うスマートさに本当に憧れてしまう。


そんなこんなで午前中に

サクっとライドを終え、

解散。


午後から僕は

横浜在住の姉夫婦の来阪に備えて

段取りしてたのだけど、

晩飯はせっかくなので

お好み焼きの出前をとった。


そして、

合わせるワインは「OKO-WINE」。

お好み焼き用に開発されただけあって、

酸味を抑えつつソースの風味を引き出す。


しいて言うなら、


縁日で、偶然好きな子の浴衣姿を見てしまったかの様な、キュンとした切なさ。

そして、心に残る重さ。


これは美味い(笑)。


最高のライドの後の、

充実した時間。


きっと共に走った6人が6人、

最初に唇に触れたアルコールは、

同じ様に最高だったんじゃないか。


それは酔いの回る頭の中で、

勝手に確信へと変わるのだ。





山岳の週末

会社のロッカーを出ると、

外はまだ明るい。

仕事も想定外に早く終わったとはいえ、

日の長さに夏がジワリと近づいてると感じる。


明日は休み。

家人も帰りが遅いというし、


少し遠回りして帰る事にした。


サイクリングロードを独り走るだけで、

仕事のモヤモヤから遠ざかる気がして、


峠道に入ると、そんな気なかったのに、

時折見下ろせる夕暮れの街が綺麗で、

気が付くと喉がヒューヒュー言うほど踏み込んでしまった。


帰宅してログを確認すると、

峠で自己新記録。シャワー浴びて、

スグにワインを買いに出る。


喉ごしの良い白ワインが飲みたくて、

Jacob's creekのソービニョンブラン

を選んだ。


繊細な味わいは、惣菜に、

例えば高野豆腐や椎茸の煮物等、

出汁の風味をぐっと引き立てる反面、

濃い味付けの物とやると

すぐ味がボケてしまうのだけど、


とはいえ、

和風出汁に柑橘の爽やかな香りはいかにも気持ち良く、

初夏の夕暮れを想起させた。



その翌朝、

五時起きで神戸を目指し、

またペダルを回す。


久しぶりにヨッシャンと六甲を走ろう、

と言う事になったのだけれど、


ヨッシャンは数ヶ月まともに自転車に乗れてなくて、コンポを総入れ替えしたロードバイクも、

ようやくシェイクダウン出来る、といった感じ。


SRAMの無線電動シフターに、

ROTORの楕円チェーンリングと、

ずいぶん物々しい仕様になったヨッシャンのKINFOLK。


オーソドックスな彼のスチールフレームに最新コンポは見慣れないカッコ良さがある。


早々に峠に入り、

楕円チェーンリングを気持ち良さそうに踏んで、


ない。


さすがにシンドそうで、

やはり自転車ってのは乗ってないとすぐキツくなってしまう。ハイエンドバイクでもエントリーグレードでも、それは変わらないんだろう。


とはいえ、


共に走る。

最近そこそこ乗ってる自分は勝手に先行してはまた戻って、彼と並走。


世間話しをしながら、

はあはあ言ってペダルを踏む。


山頂の展望台に着き、

ヨッシャンが「モッツさん下りもまあまあ慣れてきましたね」と言ってくれて、下りは苦手意識があったので嬉しかった。


「今日はスッキリ遠くまで見えるなー!」と、パノラマを満喫。

峠から見える景色は、毎回、

同じ様で違う。


もちろん実際に違うのだろうけど、


そこまで到達する過程と、

誰と登るかで、見え方は変わる。


どうする?コーヒーでも飲んで帰る?


そこからコーヒースタンドまでの距離は20km。

結構あるな、と少し考えてしまったが、

とりあえず再び走り出す。


もう脚もずいぶん疲れてきたな、

と思うと、

「あと何キロっすか…?」

ヨッシャンも絶え絶えに聞いてくる。


何言ってんの、まだ2キロくらいしか走ってないよ、と笑うとヨッシャン、


「よし、やーめた。」


と笑って、次の分岐点で爽やかに帰って行った。


彼らしい割り切りの良さに苦笑して、

またな、と別れる。


誰かと走るってのは、

やっぱり楽しいモンだ。

そこにはログには残らない楽しさと、

充実がある。



誰かと走る、誰と走るのか。



それはとても重要で、

たぶん、


自己新記録なんかよりも、

大切な事なので、


今夜もまた、

何か美味いワインを

探してしまうのだろう。






RAPHA PROTEAM BIB2

愛して止まないRAPHA PROTEAM BIBが

大きくモデルチェンジしたという事で買ってしまいました。


試着しただけでも、

過去のPROTEAMBIBを

アップデートしたというより、

同じ名を冠しただけの

完全な別物といった印象です。


例えば裾のグリッパーが広くなった、

というのも(左が2)

構造そのものが変わっていて、

ショーツに直接プリントされてる為、

それ自体がビタっと張り付く感じ。

このフィット感はたまりません。


この様な素晴らしい機能等は、RAPHAのWEBサイトや雑誌のレポートを読んで頂くとして、


個人的使用感について書いておきます。


まず男性の股間にはおおよそ二つの物体がぶら下がってまして、

友人の言葉を借りると、


「カッコいい方」と「カッコ悪い方」


に二分されます。


確かに、

カッコいい方は大きいほど皆自慢気なのでやはり格好良いのでしょうし、

カッコ悪い方は大きいと酒屋の狸ぽく、どこか間抜けな印象で、

これは言い得て妙だな、と思いますし、


いったい僕は何を言ってるんでしょう。


とにかく、


カッコ良い方は海綿体なので圧力に強くある程度の力で握っても平気。

故に、適当に野放しにしておいて問題ないのですが、


ある程度の力で握る、

と聞くだけで震え上がるのが

カッコ悪い方ですよね。


で、

このカッコ悪い方の位置が悪いと、

太ももあたりでゴリゴリして大変不快です。僕の場合は特にダンシング(立ち漕ぎ)してる時ですね…。


コレはパッドの形状やライクラの素材感で変わってくると思うのですが、


今回のPROTEAM BIB2に関して言えば


なんと、

ビブのサイズに合わせてパッドの厚みも変わっているという事で、

そのお陰でしょうか。

非常に収まり良く快適に立ち漕ぎ出来るワケです。


僕はこの収まる辺りを脳内で

ゴールデンボールポケット

と呼んでいて、

このGBPの快適性で言うと、


クラシック<プロチーム1≦プロチームライトウェイト<プロチーム2


という感じでしょうか。

これは個人のサイズによって変わってくる所だと思うのであくまで僕個人の場合ですが。


そんなワケで、

とにかくこの新しいビブのフィット感は自転車用に進化した人の皮膚、と言って過言でない上、

上手い具合にカッコ悪い方を包み込んでくれます。


今まで通り履きたくなるデザインに加え、これほどの機能。


オトナの自転車乗りやゴリゴリ感に悩む人には必須のビブなのではないかと思います。






KOMへのコダワリ

巨大商業要塞といった風貌の、

京セラドーム周辺。


自転車に息子を乗せて、

要塞の一翼を担うAEONにやって来た。


連休初日と言う事で、

大変な人熱の中、駐輪場が満車状態。


パパ、あそこ空いたよ!と言う声に振り返ると、すぐにオバちゃんが自転車を滑りこませる。


ツイてないな。と、

結局15分ほど駐輪場をウロついて、

ようやく入店。


しかし、お目当の

娘のファーストシューズは未入荷。

まったくツイてない。


きっと父さん、午前中に

今日の運使いきっちゃったのかもね。


−−−−−


その日の朝のライドは少し寝坊して

始まった。


昼までに帰る為、昔通ってた通勤経路から舞洲へ行く、50km程のコースを選択。


レジャー施設等が並ぶ舞洲は、

景色が良く開放的な雰囲気で、

周回練習に休日気分をもたらしてくれる。


河川の堤防からアクセスすれば、少し遠回りだけどさらに気持ち良いルート。


昔の通勤経路を懐かしみながら走り、

堤防に到着、舞洲へはココで左だけれど、

真っ直ぐ橋を渡ると、

以前の勤務先。


この橋に、

STRAVAのセグメントが在る。


橋の入り口信号から出口信号までの、

600m。


勾配は緩いが、

橋なので風の影響も強く受け、

幹線道路なので交通量も多く、

信号のタイミングで

簡単 にアタックは殺される。


結局回数を重ねる程

環境が成績に大きく貢献するので、

当時、毎日通勤してた僕は

この橋で(遅刻ギリギリで)

KOMを獲れたワケだ。


しかしSTRAVAのユーザーも増え、

それも今は昔。

気が付けばもう10位あたりだろう。


KOMにそれ程

拘ってたワケじゃないし、


だいたいタイムトライアルは

無酸素運動で身体にも悪い気がする。


今から周回練習に行くのに

脚を使い切るのも違うと思うし。


でも顔を上げると、


信号は「青」。


連休初日で交通量も少なく、


風は凪いでる。


僕は、


反射的に

ペダルを踏み込んでしまった。


回り出したペダルに反して、

気持ちはまだ迷ってる。


でも、

スタートラインまで緩い登り。


ここで加速しないと

タイムは期待できない事を知っていた。


…ああもう、行くか。


下ハンに握り変え、

サドルから尻をガバッと上げる。


ギアは9速、加速して、

僕はスタートラインを切った。


ほとんど交通量はない。


脚が軽い。


イケるかも知れない。

そんな予感は僕の背中を押す。


が、橋の頂点に差し掛かる頃、

もう肺が痛くなってきて、

突風が真横から吹き付ける。


それでも、


シフトレバーを押し込み、

トップギアへ。


「ガチ、ガチン」

ん?二速上がった?

どうやら9速と思ってたのは

8速だったらしい。

軽かったのはコレか…


二速アップで下り始め、

速度計に視線を落としたが、


サングラスに巻き込む風のせいか、

辛くて泣けてきたのか、


溢れた涙でよく見えない。


うっかりギャップを拾ってしまい、

振動でチェーンが、

シャンっと9速に落ちてしまう。


自分の整備の甘さに舌打ちしながら、

すぐ10速へ押し戻し、

メーターは、たぶん50kmには達してる。


顔を上げ、

ゴール付近の車両や人を確認。


ここで信号が赤なら、

当然ブレーキを掛ける事になり、

アタックは終了だ。

が、


車も人影も無く、


信号は「青」。


…ツイてる…


息も絶え絶えに

(ここで踏まなきゃ)後悔するぞ!

と自分を叱咤、


もう一つ、踏み込む。

すると、

クロモリハイエンドの

ギガチューブは、

しなう様にして、

ぐい、と前に推し出てくれる。


公道である事に配慮して、

ブレーキレバーに指を掛けつつ、


僕はゴールラインの青信号を突っ切った。


あっという間に到達した、という感触が、

心拍が落ち着いた頃、手応えに変わる。



その後予定のコースを巡り、


ライドの終わりに、

いつものコーヒースタンドに立ち寄る。

舐める様にログを見る僕は、

誰から見ても気持ち悪いな、

と自嘲する。


結果は2位。


KOMから2秒差。


ウワーッ!と叫びたい気持ちにコーヒーを注ぎ込んで落ち着かせ、


600mの2秒差は圧倒的だと気付き、


まてよ、って事は、

3秒近く過去の自分を引き離した事は喜んでいいんじゃないか。


その理由はきっと、

でも、

コイツだろうな。


昨日ワックスを掛けたばかりの、


ライジン製 KINFOLK ROADRACERが、

木漏れ日を跳ね返していた。


店を出て、

ガードレールにもたれるバイクに手をかけようとすると、

「いつも寄って頂いてありがとうございます」と、

店員の女性がワザワザ出てきて声を掛けてくれる。


綺麗な自転車ですね、と言われ、

なんだか照れ臭くて、

いやあまあ、

と早々に立ち去った。


−−−−−


夕暮れ、

3件目でやっとムスメの靴を発見出来た。


息子には食玩を買ってやり、

自分には何か酒を…

「今日パパ頑張ったからコレでいーよー」と息子が突然ワインを選んでくれた。偶然にもDOCG。ええやん。


まぁ、ログ眺めながら、

たまには良い酒で酔うのもいい。


ありがとうな、

と手に取って、僕らはレジへ向かった。


もちろん、

ワインの値段は
妻には言えないのだけれど。



STRAVAは、

言ってみれば拡張現実、

ポケモンと同じ。


そんなモンの為に事故したりケガするのは余りにも馬鹿馬鹿しいと思う。


でも、

無事に帰ってくる事を前提として、


少しばかり「ムキになる」ってのは、

案外悪くないのではないだろうか。





よく晴れた休日

よく晴れた休日の朝。

家族の誰より早起きし、
支度を始める。

ジャケットを羽織りウチを出る前に、
寝室へ子供の寝顔を確認しに行くと、
物音で起こしてしまったようで、
目をこすりながら息子が聞く。

『どこいくの?』

練習だよ。

『気を付けてね、コケないでね。』

と言って、
息子はまたパタリと寝てしまった。

僕は愛おしい気持ちに後ろ髪を引かれながら、
玄関のドアを開けた。

ここしばらく、
休日の朝は誰かと走る事が多くて、
それも特にグループライドに参加するというワケでもなく、
明日ちょっと走ろうか、という具合。

前回はヨッシャンに大阪まで来てもらい、
十三峠を経由して天六のグレ君の店に寄る、
という少々無茶なコースを僕が提案したのだけれど、
どうしても幹線道路をかわせず
走りにくいルートになってしまい、
申し訳なく思った。

とはいえ、
待ち合わせ場所でBMWのトランクからMTBを出してきたヨッシャンには流石にたまげたが、

いかにも彼らしいサプライズというか、
彼の自転車と向き合う姿勢は本当にカッコよくて、
いつも教えられる思いだ。

昨日は、
ナイトーさんに声を掛けたらテースケさんも来てくれて、しかも、
テースケさんの案内してくれたルートは極上。

正直、通称北欧練と呼ばれるあのコースを走るのは「休みの日までちょっとなぁ…」
と考えていたので、
これは本当にラッキーだった。

そんなワケでご近所三人で集合、
チーム堀江やな…
と心中に呟きつつ出発。

世間話しをしながら、
時にはペダルより舌が回る、
そんな感じで進みながらも、

ここって時にはテースケさんの引きに付いていくのもやっと。

山もあるし趣のある市街地、
さらにとんでもなくブッ飛ばしやすい道もある。

朝の3時間がとても贅沢で、
有意義な時間になった。

僕は、ウチを出る時息子に
『練習』なんて嘯いて出てきた。

練習ってなんだ。
特にレースに出る予定も今は無いし、CXもシーズンオフ。
いつナンドキでも本領発揮出来る様にとか、なうての空手家かよ、って話だ。

少しレースをカジったくらいで、
僕はその本質をすぐ忘れかける。

今朝、
いつもの様にそっと家を出ようとすると、
目をこすり起きて来た息子が聞く。

『どこいくの?』

自転車乗ってくるよ。

『コケないようにね』

息子の返しは同じだけど、
後ろ髪引かれる思いは、
背徳感に変わる。

悪いね、父さん、
ちょっとリフレッシュしてくるよ。

自転車は楽しい。
そこに仲間がいれば、
多分もっと素晴らしい物になる。

ストイックな自分に酔うのも
楽しみの1つだけど、

生活からもレースからも頭を切り離し、
ただ仲間とペダルを回す時間を愉しむのは、
実はとても
贅沢な時間なのだと感じた。

よく晴れた休日の朝。

それは自転車に乗る人には、
美しい週末の始まりだと思う。


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