年の瀬に想う事。
2018年は大変な年だった。
娘の入院、僕の昇進、
そういえば自転車も、
シングルからマルチに変わった。
目まぐるしい変化の中で、
ふと自分の立ち位置を振り返る。
僕のアイデンティティとはなんだろう。
子育てであったり、
仕事であったり、
人間関係、
自転車。
でもその全ては、
もしかしたら替えが利くモノかも知れない。
年末を迎えるタイミングで、
無理やりソウ君とのライドを敢行した。
彼は彼で、
長いフランス旅行から帰ってきたばかり。まったく自転車に乗ってない。
脚の仕上がりの鈍さまで歩調を合わせるつもりはお互い無かったのだけれど、
まぁ、丁度良い。
前回のkinfolkライドよりずいぶんユルいコースを案内してくれた。
牛滝の登坂KOMでは思ったより楽しく好結果が出て、僕は調子に乗る。
でも帰りの下りが何故か楽しくないのは
向かい風で全く加速しない事だと気付いてしまい、
先の登りの調子良さが追い風によるものだと気付いて失笑する。
それにしても登りでグイグイ加速するのは何とも気持ちの良いものだ。
僕らは大した距離を走ったワケでもないのにあっという間に脚が言う事をきかなくなって、それにゲラゲラ笑いながら帰路へつく。
そのまま、リュドラガールへ。
恭子さんも交えて、リュドラガールのマカナイ昼ご飯を頂く。
突然の寒波で冷えた身体でもライド後のビールは美味いし、
まかないと言う事で、スジ煮が出てきた。
リュドラでスジ煮とは…。
七味を掛け口に運ぶ。当然の如くビールに合うので飲みきってしまうと、
今度はグラスに赤ワインをトクトクと注がれ、ガチョウのフォアグラが登場。
無花果のジャムと一緒にパンに乗せて食べる。
するとスジ煮でスッカリ立ち飲み屋気分
になっていた脳内を、
一気にフランスのリストランテに飛ばされる。
メインは、野菜タップリのパスタ、かと思いきや馴染みある味わい。
爽やかな酸味の後に懐かしい風味。
塩昆布を使った「塩焼きソバ風パスタ」
だ。とはいえ香り高いレモンを使う等して、野暮ったさのカケラもなく、仕上がりに抜かりはない。
抜かりのないパスタが美味すぎて、僕は品もなくズバズバ食べてしまう。
育児、仕事、趣味も含め、
やるべき事、やらなければいけない事に絡みとられ、
僕はアイデンティティを見失う。
ライド中、
早々にくたびれ掛けた僕らをトレーニング強度で抜いていくローディーを見た。
なんとなく、いや、
変にワクワクしながら、追走を始める。
もちろんアンフェアで迷惑な勝負だという事は承知していて、
追い縋り、抜く瞬間は自嘲気味に会釈するけど、その後また抜き替えされたりして。
それでも無心にペダルを踏む事で、
何かを取り戻す。
僕は自転車の為にペダルを踏んでいない。
グンと進むその力は暮らしの中で散り散りになった自分を纏め、
ニュートラルな場所へと戻してくれる。
また一つギアを上げる。
加速する景色が瞬時に後方へ流れ飛ぶ。
アイデンティティは常に僕の中にある。
自転車が趣味で良かったと。そう感じながら、料理に舌鼓を打ち、ぼんやりと時間を忘れる僕にソウ君が言う。
「ほら、もうそろそろ帰らないと怒られますよ笑」
- 2019.01.02 Wednesday
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- 12:58
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- by もっつ