KINFOLK OWNERS MTG #3


葛城山で十分に脚を削られた後、

グラベルの登りを、

皆フラフラと後輪をスタックさせては登っていく。


とはいえ不思議なもんで、

未舗装路というのは

なんだかワクワクさせる魅力がある。

よくもまあ、ソウ君こんな道を見つけたモンだ。

この辺りの道に詳しい中井さんも、コレはいい道ですね、と驚いていた。


それでも辛さは皆隠せない様子で、

その中でも、

玉虫の様に妖しく滑らかに光るKINFOLK CXを駆る、フジノさん。

(photo by 高橋君)


デニムのハーフパンツにTシャツ、

ウェストバックという出で立ちで、

言ってみればLAスタイル。SK8、ピストカルチャーをバックボーンに置くKINFOLKへのリスペクトはこの日一番だったかも知れない。


そんな身なりながらも、集団の真ん中を維持してクールに走る姿は、まさにキングオブスタイラー…。


励ましあってはどうにかグラベルの峠を越え、

ソウ君の「時間も押してるんでショートカットで行きます」の声に皆いくらか安堵。


灼熱の街道を走るけれど、むしろ平坦と信号待ちの休憩が若干救われるといえばそうだったかも知れない。


リュドラガールに到着し、

一旦解散。

僕らは近くの公衆浴場へ。

まだ5時にもなってないという事で、

風呂上がりに夕暮れを眺めるのはなんだか心地よい。


リュドラガールへ着くと、

もう宴の準備は終わっている。

乾杯のビールが格別だが、この後の期待感はライドへの期待と等しいか凌駕する程。


まずは冷製コーンスープ。

口にすればとにかく甘く、その後コーンの風味が押し寄せてそれがコーンの旨味だとやっと分かる。


次の冷たい前菜は、

パンとトマト、モッツァレラ。

これがまた

キンキンの泡と、とにかく合う。

そして

内蔵に優しい温かい前菜、アンディーブのグリル。

生ハムがまた美味いのだけど、アンディーブのほろ苦さと生ハムの優しい甘さ、そしてコレを泡で流し込む贅沢。

そんな最中、

まずはイベントその1

「NICE YOUR BIKE賞」の発表。

各自三票をカッコいいと思ったバイクに投じ、最もカッコよいバイクを競うイベント。


チチダ夫妻がワンツーで持っていき、

3位はCONERの西山さん!

夫妻のバイクは勿論、西山さんのセンスと、リスペクト感も良い!


店内は一層盛り上がり、


料理はここからが本番。

出ました、フォアグラ。

シェフである恭子さんの指示に従い、

パンに塗りつけながら食べると、

コレはなんだろう、

美味さしかない。


要は脳が

美味い、

以外の信号を出さないのだ。


〇〇の風味が、とか、

隠し味に〇〇を、とか、


そんなタワ言を言わせない圧倒的圧力。美味さ。


前に座るコーちゃんがフォークを口に運ぶ度、

「…信じられへん…」と呟いてたのが分かる。


イリュージョン過ぎてもう一杯、

となった頃、

先のレースの授賞式。

言ってしまえばハズレ無しの懸賞。


ヨッシャンが用意したLAのお土産品に、皆、いいなぁ、ヤバいやん!と大盛り上がり。確かにヨッシャンしか用意出来ないであろう品物も。

加えてKINFOLKのクラシックデカールのプレゼント。コレはホント、KINFOLK OWNERには垂涎のお土産だ。


宴は、続く。

次は白トリュフのパスタときた。

過去に食した記憶があったけれど、

それとは別物。とにかく香りの深さが違う。

何、この調味料は!

と叫ぶと、

「調味料ちゃうわトリュフや!」


とソウ君の子気味良いツッコミ。


続けて出るのはオマールエビ。

ミソを使ったソースと、その奥のパインとマンゴーのソース。

それぞれを味わい、混ぜて食ったらビックリする程、エビの旨味しか舌に残らない。エビの旨味にブーストが掛かる。


舌が完全にやっつけられて、

お腹もそろそろパンパンてタイミングでやってきたメイン。


牛頬肉のワイン煮込み。

いやいや、サイドのジャガイモがヤバい。種類の違うジャガイモをスライスして積み重ねた物を切り出していて、


コレを尋常でない柔らかさの牛頬肉と一緒に口へ運ぶワケだ。


まさに、口福。


ココは赤ワインと共にグイッと。


隣テーブルを見ると、

峠で凌ぎを削ったモッちゃんが撃沈。

そりゃそうでしょ、気持ちいいもの。



最後に、ソウ君お手製のパラコードブレスレットのお土産。

シッカリしていて、夏場は手首に一層映える。特にG-SHOCKユーザーの僕は重宝している。



こんなライドは過去に経験がない。

手前味噌かも知れないけれど、


集まった人の感覚。価値観。

新しい出会い。深まる絆。


やっぱり

KINFOLK OWNERS だった。


はっきり正解だったと思う。



思わず次を求めてしまう程最高だった、

今回のKINFOLK OWNERS MTG。


KINFOLK bicycle代表のヨッシャン、

ビストロリュドラガールのソウ君恭子さん。ソウ君はコースからイベントまで、何から何まで全部やってくれて、

成功の殆どは彼らの手による物だと思う。


そして何より、

皆の温かい雰囲気。


まぁ僕は酒飲んでただけですが…

集まれたらいいですね、また。


KINFOLKの名の下に。




KINFOLK OWNERS MTG #2


和泉山脈の主峰、葛城山。


標高850mを誇り、7つの登りコースを持つ事でサイクリストの間では知られていて、

KATSURAGI SEVENS ATTACK と呼ばれてるとかなんとか。


僕らが走るのは、つづら折りが多く比較的登り易い塔原ルート、その入り口にある自販機でまず補給。


ここに来る途中、メカトラブルがあったチチダさんの奥様ことヨーコさん。

旦那様がサクサクっと調整。夫婦でロードバイクなんて、なんだか羨ましい。


ディスクブレーキ仕様の彼女のKINFOLKは、小さめのサイズでも程よいスローピング量とバランスの良いジオメトリで、700cのホイールに何の違和感も感じない。

特筆したいのはハブに施されたハンドペイント。

ヘッドバッヂと同じウサギが描かれていて、ある意味これ以上の高級ハブはないだろう。


「そのハブ、ヤバいですよね…」


「そのヘッドチューブの径って…」


なんて、保冷ボトルも効かない蒸し暑さなのに、

少し止まる度、自転車談義に花が咲いてしまう。


木陰の林道を少しづつ登りだす。


シンガリをソウ君と入れ替わり、

僕が先頭を牽く。


ソウ君の指定した、登坂中の休憩ポイントまでガンガン踏んでいく。

標高が高くなると案外気温が下がって、

熱中症の心配はなさそうだ。


時折、木陰を抜ける風が心地いい。


稼いだ標高に反比例して会話が減っていく。

静寂の林道にオジサマ方の激しい息遣いだけが響き、繰り返すツヅラ折れに皆がウンザリした頃僕は辛さをひた隠し、


「こう何度もツヅラ折れがあると、流石に馴れてきますよね。」


と言い放つ。すると、


シン…


と皆静まりかえる。


「まぁそんなワケないですけどね…」

と付け足すと、

マッコイさんから速攻で

「ウソなんかい!」とツッコミが入る。


シンドイながらゲラゲラ笑っていると、

そんな僕らの脇をタカハシ君がヒュッと抜け出し先回りして写真を撮ってくれる。


その動きはもう、別次元で飛び回る妖精のようだ。これは、さすがとしか言えない。


ソウ君の指定した休憩場所がよくわからない、と言うより、彼が言っていた条件が揃う場所なら今すぐにでも止まりたい。


倒木があって路面が切り替わってて…

比較的平坦。

よし、ココだ。ここにしよう。


止まってすぐ、首根っこにボトルの水をブッ掛ける。これが堪らなく気持ち良くて、掛け合ったり座り込んだり。

オーダーフレームのエクタープロトンで参加のタツシさんが、

サイコンで標高を確認して、もう結構登ってるよ、と言ってくれた。


チチダさんは速いタイミングで上がってきたヨーコさんに凄い!と言葉を掛けていて、ほんと良いご夫婦だな、と。

チチダさん自身も大きなカメラを背負ったまま走っていて、

よく見るとライカだ。ご夫婦の物に対する拘りを感じる。


皆揃い、シンガリのソウ君が止まるやいなや、

「え、(休憩は)ココじゃないですよ」


うそ。


「もっと上ですって。まだ四分の一程しか走ってないですよ。」


うそやーん!


軽い絶望感の中、

僕らは再び登り始めた。


もうヤケだ。

そんな僕と並走するのは、

SKRKメンバーであり、シクロクロスでの強力なライバル、モッちゃん。

登坂も佳境、少しづつ口数が減り、

ここからは自転車での会話が始まる。


勾配がゆるくなり、足を緩めると、

そこでスッと前に出て来る。

休ませてはくれる気はなさそうだ。

僕らは抜きつ抜かれつ、

うわキッツ。と思ってるとずいぶん高い所まで登った様で、

ふと、

コーナーの向こうに見下ろす和泉山脈。

突然脳裏に、そういえは今夜、高級ディナーやんな?

なんて、今夜のスケジュールがよぎり、

再び隣のモッちゃんに意識が戻る。

そしてこの絶景。


なんだか分からないけれど空に飛び出しそうな解放感。


…た、楽しい…


思わず漏らした言葉に、

ハハッ、とモッちゃんが呆れた様に笑った気がした。



すぐ後ろでタツシさんがサイコンを確認しながら、


「もうそろそろのはず。

多分、ソウ君の言ってた「四分の一」は、優しい嘘ってトコじゃないかな」


なるほど、と、

僕らは次の休憩ポイントに到着、確かに後少しってウソより良いよね、と笑った。


全員揃ってソウ君が、

ここから頂上まで後少しですが、

まあまあ登るんでシンドイ人はココで休憩してて下さい、また戻ってきますので、と。


登るか、休むか。


今回、唯一ISP(インテグラルシートポスト)を採用していてるKINFOLKを駆る、イトウさんも悩んでいる。

ISPは機能的な利点も多いけれど、

オーダーフレームの場合は加えて、サドル付け根まで美しく塗装されるので車体全体の雰囲気がスマートになり、高級感をもたらす。

彼のKINFOLKは、シルバーの塗装がテーパードヘッドチューブの美しい曲線と溶接の滑らかさをより引き立てていて、控え目にターコイズブルーのアクセントが入るのが涼やかだ。


さて、

じゃあ頂上目指しましょう、

と僕らは出発する。

悩んでたイトウさんも、ままよ、

と言わんばかりに走り出した。


登頂直前は、登りもあるが大きな下りもあって、スピードが乗る。汗が一気に冷えるような心地良さに僕らは声をあげた。


看板が見え、

ようやく登頂。


マッコイさんが戯けながら「登頂ノート」に名前を記し、皆それに続く。

イトウさんは「登頂してよかった…あそこで休んでたらきっと後悔してた」とシミジミ呟いた。


その感触はきっと、サイクリングの醍醐味なんだろうと僕も改めて思った。


それから先の休憩ポイントまで戻ると、

残ったヨッシャン達が何故登らなかったのか、と反省会をしていて、僕らはまた笑ってしまった。


「モッツは下り下手なんでラインなぞると危ないですよ笑」なんて、ヨッシャンが憎まれ口を叩きながら、

下りは先頭を引く。


牛滝ルートの下りコース。


往年のイエティカラーを模したヨッシャンのニューCXバイク。

ディスクブレーキを装備しPAUL COMPONENTSで固めた彼のKINFOLKは、太いロードタイヤも相まって、

最大斜度20%を誇る下りでも抜群の安定感で曲がっていった。


その後ろをタツシさん、僕、と続き、

僕はブレーキレバーに指を掛けっぱなしで必死で付いて行く。

ヒヤヒヤしながら

ようやく葛城山をくだり、

牛滝の休憩所で皆、ひと息つく。

登りの、

自分に打ち勝つ達成感とは違う、

スリルを乗りこなし、ゲームをクリアした様な安堵に似た達成感に浸る。


その興奮の全てを、

こうして仲間と共感出来る。


まったく、


自転車は面白い。



(続く)

(photo by 高橋君)


KINFOLK OWNERS MTG #1


KINFOLKというブランドを選ぶ。


それは何か少し、純粋にスポーツバイクに乗ってみようというのとは、何か違う様に僕は感じている。


どんな人がこのブランドを

選んでるんだろう。

もし一緒に走れるなら。

そんな人達と、気持ち良いライドを。

最高のディナーを共に出来るなら。


そんな気持ちで企画した、

今回のKINFOLK OWNERS MTG。


なんと、満員御礼。

当日の朝には15名もの所縁あるライダーが集まった。


遅刻気味に現れた僕に、

叱りながらコーヒーを出すソウ君。

いやいやちゃうねん、

と言い訳しながら飲み干したコーヒーカップを置いて、外へ。

まず、KINFOLKbicycle代表のヨッシャンが挨拶。

簡単に1日のスケジュールを説明して、

早々に僕らは走り出した。


10名を超えるライドとなると、

安全への配慮で緊張はある。


でもすぐに幹線道路を外れ山中に向かう僕のお気に入りのコースに入ると、


この大世帯がたまらなくワクワクさせるのだ。


熱中症になるかと思う猛暑だが、

青と白のコントラストが美しい空は梅雨明けを宣言しているかの様で、

蒸し暑さを清々しさが凌駕する。

そんな序盤、

ソウ君がミニレースを提案。


山中の短い登りの直線。

勝った人には、


お土産の抽選券を引く権利が!


ってお土産選べるんちゃうんかい!

…そう、お土産を選ぶ人を抽選する権利が当たります(笑)。


ヨッシャンは安全確認、僕はゴールラインで判定する。


ヨーイどん!で走り出し、皆、

大人気なくムキになる。

ここはマッコイさんが勝利を攫う。

長身で手足が長く、

細いチューブ、大柄なジオメトリとホリゾンタルで仕上げた、クラシックライトブルーのKINFOLKがよく似合う。

いい歳の大人が必死になればその後は自然と笑いが出るモンだ。


とはいえ、ムキになり過ぎたムーブメントのホリ君はそこで随分脚を削ってしまいペースが落ちる。


同じくして、先のレースで3着と健闘した為か、SAUCEジャージやKINFOLK CXワンピースのデザイナーであるコーちゃんも

一緒に落ちる。


苦しそうにペダルを回す二人に、

もう少しで休憩ポイントですから。

と伝えても、

「オトナはみんなそういうんですよ…」

と、まるで励ましにはならなかった模様(笑)。


ランチ予定の休憩ポイント、ウサギのいるパン屋さん「そぶらの森」はスタートから1時間半くらいの場所にある。


アップダウンのキツい一般道、

陽が高くなり、だんだん辛くなった頃、

脇道に逸れてか細い林道へ。

せせらぐ川の側、木陰に吹く風はさながら自然のクーラーといったところで、

皆口々に涼しい〜っ、と絶叫。


その山道の先に、「そぶらの森」が現れる。

印象的なウサギ小屋は、

KINFOLKオーナーで無くともつい駆け寄ってしまう。ウサギは愛らしい。


その小屋横から伸びる自転車ラックは長く、ゆうに20台は掛けられそうで、そこに並んだ15台のスチールバイク。

そう、この日KINFOLKでない人も皆スチールバイクで参加してくれたのだ。

一望して「文化が過ぎますね(笑)」とCORNERのオーダーフレームで来てくれた西山さんの言葉に思わず笑ってしまったし、

なんだかニッチな趣味を分かり合える同志を見つけた様で嬉しい。


そしてよく見るとCORNERのロゴ上にマジックで「KINFOLK」と書かれている。イベントへのリスペクトを感じつつも思わず噴き出してしまった。

パン屋の作りは大きな小屋と言えばいいのか、窓の代わりに網戸を全面に使い、

裏の川を滑る冷たい山風を小屋に吹き込ませていた。


皆思い思いにパンや石窯で焼いたピザなどを買って、

軽く自己紹介がてら雑談。

この日僕は初めてお目にかかる方も多く、奥様がディスクブレーキのKINFOLKに乗られているチチダ夫妻。旦那様はMUDMANでのご参加。


そして先の西山さんと一緒に参加頂いた中井さんは飲食関係のお仕事が長いそうで、色々お酒の話も聞ききつつ、中井さんのPanasonicのホイールもシャマルミレなんですね、なんて話をしていると、


皆、裏の川へドボンしに行ってるとか。

実際、多くの家族連れが川遊びをしに来ていて、相当気持ち良さそうだ。

僕も行こうか迷ってるとヨッシャンが空のボトルに冷たい川水を入れて僕の後頭部に吹きかけてきた。


うわわっ、と顔が引きつるが、

気持ち良い!


子供の様にはしゃぐ僕らを、

金網の向こうから二羽のウサギが見つめていた。


心地よい休憩を終え、

僕らは、葛城山へと走り出すのだ。


(photo by 高橋君)








仕事と自転車


「…またかよ」


つい、僕は声に出してしまった。

他に誰もいない、葛城山の山中で。


何度も繰り返すつづら折りに、

さっきココを通ったのではないかという錯覚にすら陥った。


くだんのKINFOLK オーナーズミーティング、最後のチェックライドをしてる最中で、葛城山へ入るなり僕はソウ君を出し抜いて加速、

タイム更新を狙ったその30分後の話だ。


梅雨のうだる暑さと繰り返すコーナー、

集中は薄れ、ぼうっと仕事の事など考えてしまう。


先日、辞令があり、

僕は昇進、そして後輩を

今の僕のポジションへ昇進させる、という話。


その後輩は過去、このブログにママチャリ魔改造の件で何度か登場してる旧知の中だけど性格が違い過ぎて、

僕の仕事をとりあえずトレースする事にすら不満気だ。


二言目にはそれなら辞めると。


辞めたいならヤメろ。

代わりはいるさ。


僕はそんな苛立ちに任せてペダルを押し込んだ。


確かこの先は、

少し平坦で次のコーナーで一旦登りきるハズだ。


そのコーナーを曲がって軽い絶望。

また同じつづら折りが続く。


マジかよ、こんなキツかったっけ…


それでも、途中何台か抜く。

抜くと一瞬、

自分が速いような気持ちになるが、

そんなワケはない。

自分より速い人は確実に前を走ってるワケで。


あぁ、そうか、

アイツは追い付いてきたんだな。


特に理屈もなく、

僕はそう思った。


先日、彼に自転車の整備でネジをナメたって話をすると、

「モッツさんは機械弄りのセンスがないんでしょうね笑」なんて、リッターバイクのエンジンも自宅でバラしてしまう機械好きの彼は笑っていた。


僕は、サドルから尻を持ち上げた。


心拍は180を超えている。


どう考えても機械弄りじゃ彼に敵うと

思えない。


僕は何を思い上がっていたのか。


たまたま、僕が先を走り、

ラインを作っていただけの話。


得手不得手が違えば、

当然ラインは変わる。


引き継ぐ事は、

絞ればたったひとつ。


ゴールラインの位置を教える事。


他にはない。


葛城山の登頂ルートは、

一旦ゴールと見せかけてからの最後の

アップダウンがキツい。


その、最後の坂で穏やかにツーリングしてるロードバイクを数台抜いた。


最後の坂、僕は速度を落とさない。

そのまま登り切り、

山頂が見える。

そして、

僕は何故か拳を上げていた。



…気分がいい‼



うだる梅雨の空気を切り裂いて、

山林から真っ青な空が僕を睨んだ。


いつの間にかショウモないプライドに

囚われていた僕を、

気が付けば追い越していたようだ。


ソウ君がくれたレモンケーキを齧ると、みるみる体力が回復する。

大切な事はいつも、

自転車が教えてくれる。


いや、きっと自分を思い知らせて

くれるならなんでも良いのだろうけれど、


教えてくれるのだ。


矮小な自分を。


それでも前に進める、


自分を。










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