肉vs肉

ヒルクライムにおいての体重は、

タイムに顕著に表れる。


なので、

太ってしまうと記録更新は絶望的だけれど、

そんな事は御構いナシに、記録ポイントのある変電所までは必死で踏む。


葡萄坂は好きな峠だ。


勾配がキツい所もあるけれど、

変電所までは一気に登るには丁度いい距離だし、登り前半は街を見下ろせるので、グングン登っていく気持ち良さがある。


変電所から奈良側に少し降って登り返し大阪市内に戻るこのコースは、交通量も少ない上、気持ち良く速度が乗る下り、そして、

度々現れる登りがまた良い。

そして十三峠を奈良側から降る。


ちょうどお昼も過ぎたので、

そろそろ昼食を摂りたい。


十三峠の麓を出て国道沿いすぐにあるオシャレ自転車カフェ「FRANCY JEFFERS CAFE(FJC)」。

インスタグラムに特化した、店内も、食事も、何をどう撮っても写真映えするカフェ。

これはもう、インスタ映えのインスタ映えによる、インスタ映えの為のカフェと言っていい。


でも食事代が少々強気で、

前回訪れた時は、

コーヒーとハーフサンドのセットで1260円と言い渡され驚いたのだけれど、

最初から分かっていればどうという事はない。


それに、値段に恥じない味とサービス。トイレすら高級ホテルのようで、居心地としては満点だろう。


軽いライド時でも現金2千円くらいは携行してるワケだし、たまのソロライドにちょっとくらいの贅沢はツキモノだ。


そんな気分で、

久しぶりにFJCに寄る事にした。


カウンターでメニューらしきモノを探すと、真っ先にボリュームのあるハンバーガーセットが目に入り、

デカデカとコーヒーセットなら100円引きと書かれているが、肝心のセット価格を見つけられない。


だけど、レジでまごまごしてるのもカッコ悪いし、1500円くらい覚悟しとけば少々足が出ても別に構いやしない。

僕はスマートに、ハンバーガーセットでコーヒーもお願いします。と、注文。

首元のジッパーを少し下ろし、

フッ、と小さく溜息し会計を待つ。



『ではセットで…2160円になります。』



…なん…だと…?!


峠で流した汗とは明らかに違う何かが

サイクルキャップを湿らせる。


二千円は、強い。

強気、なんてモンじゃない。


てか、コーヒー100円引きって、

その割引き率、お得感あります?!

そもそも現金二千円しか持ってないやん…


…いやまぁいい、焦るな、

そうだ、こんな時は現金じゃなく、

カードだ。クレジットカード。


現ナマよりクレジットカードは心理的ダメージが少ないって、何かに書いてあった気がする(カード破産への道 著:角 破沙夫)。


僕はカードで支払いを終え、それでも

広い店内を落ち着き無くウロウロしながら、

僕が一国の首相だとしたら、

ビッグマックセットを引き合いに出されて世間から糾弾されているに違いない、などと考えていると、

呼出ブザーが鳴り、どうやって食うのか分からんデカイバーガーが眼前に現れる。分けて食う人もいるというが、

席についた僕は雑念を振り払うように、

両手でガッシとバーガーを掴み、齧れるトコから食っていくスタイルで挑む。

だってハンバーガーなんだもの。


重ねたハンバーグからベーコンがベロンと舌を出している。

まさに、

肉vs肉。カリカリの香ばしいベーコンにジューシーなハンバーグ、

特筆すべきは、完璧な加減で火を通した玉ねぎの輪切りがまんまゴリっと入っていて、

とにかく甘い。ライドで失われた糖質を玉ねぎで補給する。

甘く、ジュワッとしながら、ショキショキとした食感がたまらない。


玉ねぎの汁と肉汁が絡みあった汁が紙袋溜まり、

添えられたフライドポテトをその肉汁に浸けて食うと、これがまた美味で、

スペシャリテを名乗るコーヒーにベストマッチする。


これは、美味い。確かに。


オジサン独りのランチとしては些か高級な気もするが、

例えば、サイクリングデートならばどうだろうか。


『あの、よかったら十三峠ボクと、あのその…』

とか言って誘い出し、

あの娘僕がKOMを全力で獲りに行ったらどんな顔するだろう。

そして、仕上げにFJCへ。


ロードバイクデートの汗臭さを払拭して、お洒落でスポーティでお腹も満足なデートを演出出来るかも知れないし、

全力でKOMを獲りに行く事はデートではオススメ出来ない。


そしてふと我にかえる。


これ、また太るヤツでは。


帰り道は少しでもカロリーを消費する為に大和川の河川敷からIKEAでも目指そう。


特に面白くもない、河川敷ルート。

そう思ってたのに、

なんだろうか、疲れた身体にフツフツと湧き上がる幸福感。


ロードバイクに乗る全ての人がそう感じるかは分からない。


ただ、自転車が自分の、いや。自分が自転車の一部になった様な感覚が、

カロリーの消費を後押しした。


ビールを買って帰宅。


シャワーから上がり、まだ陽の高いウチにプルトップを引くと、

ヨッシャンからメッセージが届く。


『近くに来てるよ、LAのお土産持ってきたけど、どう?』


スグに向かうよ、と打ち込み、

ビールを飲み干してから、


僕は送信タブを押した。






二度目の葛城山 〜KINFOLK Ownersmeeting に向けて〜



太ったな、と。


もちろん、


個人差があるのは間違いないのだろうけれど、

通勤でタラタラ乗ってるだけでは自分の食欲というか、飲酒というか、


やっぱりカロリーの消費が追いつかない様子で、それが脇腹あたりにカタチとなって現れたのだ。


…なので、


その焦りから唐突にヨッシャンとソウ君をライドに誘う為のラインを送る。


ソウ君からは「まぁ僕も太ってきてますから笑」と返答。

さすが!太る時も一緒だよ?、ズッ友だね!

じゃあ六甲でも行く?とたずねると、

「7月のライドの事もあるし、ソウ君トコ集合でいこう。」とヨッシャン。



当日の朝は、

スニーカー選びにも余念が無い。

輪行という事もあるし、

何よりライド後、

硬いカーボンソールの反発をくらって疲労した足の裏を休ませるシューズが調子良い。

そんなアフターライドシューズ。


そういう意味ではニューバランスは非常に優れていると思う。

ストリートファッション好きには説明も要らないであろう580シリーズ、あと、最近購入したNB1300clも極上の履き心地だと思うし、


アウトソールの突起部がペダルに上手くひっかかるので比較的踏みやすい。



早朝、

僕らの為だけに、

ビストロ リュドラガールのシャッターが上がる。


薄暗い店内で、

先に着いた僕が着替えていると、

何も言わずにソウ君はモーニングコーヒーをカウンターに置いてくれる。

やがてヨッシャンが到着し、

間も無く、走り出す。


「今日は前回のコースに、実際に葛城山を加えるコースで。」

と、ソウ君が引いたコース。


ペダルを回せば、

この季節特有の柔らかい風、

紫外線の強さが気持ち良い。


当然ながら、それを感じてるのは僕らだけなワケがなく、


泉南の自転車乗り、例えば、トレイルランにハマってるカワラヤ君や、MTBのライドへ向かうETのジン君達と、

まさかと思うタイミングで出くわした。


こんな偶然は、

なんだかワケもなく今日はいい日だと思わせる。

そうして誰もが休日を満喫する中、


僕らはひたすらにペダルを踏んだ。

ヨッシャンがそろそろ休憩しよう、

というタイミングで、KINFOLKらしくウサギ小屋のあるパン屋へ。

相当な人気店らしいのだけれど、残念ながらパンは販売前のタイミングで買えなかった。


ふとヨッシャンを見ると巨大ブランコこいで遊んでるし。

そこから程なくして、

葛城山を登り出す。


そこまでのルートでアップを済ませたという風に、良い感じで足が回る。

最近まったく乗れてないというヨッシャンとペースに差が出れば、

僕はある程度まで行ったら待つのではなく、降ってヨッシャンの所まで戻る。


これによって、体力差を補い、

お互い同じくらい疲れるワケだ。


葛城山を登頂した時には三人ともへばへばになっだけれども、この達成感はヤバイ。

そして、


下りは、恐ろしかった。

相当な急勾配に加え、

ガタガタの路面の葛折り。


「モッツのライン着いてったらガタガタやないかー!」とヨッシャンがボヤくが、

「俺のせいちゃうわーっ!」

と、応戦しつつ、荒々しい速度を殺す為いっぱいに握ったブレーキレバーを、丁寧にリリースしてタイトなコーナーをクリアしていく。

それでも強烈な勾配に冷や汗するシーンもあり、


下りきった瞬間、妙な安堵感に包まれる。

こういう気分が非日常に拍車をかけるのだろう。


既に、1000m近く標高を獲得してるのだけれど、ここからさらにもうひと登り。


ソウ君が見つけたルートで、グラベルからアスファルト、人通りが少ないので路面は綺麗だけど、石や枝がゴロゴロしているし、


何よりまあまあ登る。


「葛城山の後だと、結構(脚に)キますね〜笑」と苦笑するソウ君の足元で、

壮絶な破裂音。リアタイヤをサイドカットした模様。


まぁ、

こんな事もあるな、と折角なので少し休憩、雑談しながら修理を済ます。


そこを超えたら、高速コーナーが続く下り。


スピードが乗るし、見通しも良くアウタートップでガンガン踏める。

高い速度域のコーナーで、バイクを寝かして行くのが何とも気持ちが良い。


パンクの事もあり、

そこからは最短距離で帰る。

とはいえ、

獲得標高も1400mという事で、

十分に疲労はしてる。


「帰って甘い物食べましょう、昨日仕込んだティラミスがあるし」と、ソウ君。


はっ、マジか、いいね。


リュドラでは、低カロリーとかヘルシー意識のヤワなデザートは出ない。

味が最優先事項。

美味いモンしか出て来ないので、

これはアガる。


店に着き、


着替えを済ましたヨッシャンと僕は、

借りてきたネコの様にしてカウンターに座り、ランチを待つ。


サラダをガッツリと頂いた後、

卵黄と生クリームをたっぷり使った、

ショートパスタのカルボナーラ。

僕は何度も、チーズ?チーズ入ってんの?と聞いてしまう程に濃厚。

フランスアルザス地方特有の、何とも不思議な、プチプチとした食感のショートパスタだ。

まったりとしながらシツコクない味わいに、ワインが止まらない。


そしてお待ちかねのティラミスは、

ふわふわ食感で、甘くないのにしっかり甘いというか。これは大人のデザートだ。



あ、


痩せる為にライドに誘ったんじゃなかったっけ、と、ひとり苦笑したけれど、


まぁいいか。


それより、

ライドの計画が確実に進んだ、という事で。


このコースと、リュドラのディナーに加え、

ヨッシャンのスマートなもてなしがあれば、最高のライドイベントになると思う。何かお土産も用意してもいいかもね、なんて皆で話ながら、


7月15日のKINFOLKオーナーズミーティングに想いを馳せた。








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