さぬきCX2018


2年ぶりに、さぬきCXにエントリー。

そもそもSSCXには不向きな要素が多いコースだけれど、

C4が出来た辺りでC3は苛烈さを増し、ますます勝ちは遠くなったとその時感じ、昨年はエントリーを見送った。


ただ、それでもその前、さぬきでは2年連続で四位と惜しくも表彰台を逃した事は今では数少ない成功体験となり、


要は「もしかしたら」を捨てきれなかった。


そして場所はウドンの町、香川県。

家族旅行の一環としてレースも走る事にすれば、子供に見せられるかも知れないのだ。


父が勝つ所を。


エントリーリストが発表されるやいなや、

悪いが、目を皿にしてメンバーを調べさせてもらった。

エントリー数はたった10人。力量は、分かる範囲で見るとかなり拮抗していて、過去のデータを参照するとその中で自分は4〜50%あたりの成績になる。

1名、表彰台の常連さんがいるが、

不確定要素を加えれば、自分が表彰台に上がる可能性は充分あるだろう。むしろ、


高い。


が、


その自信は、

前日の試走で突然揺らぎ出す。

得意意識のあったジープロードを上手く走れない。何が変わったか分からず、何度もトライするけれど速く走れない。

ムーブメントの高橋君が走った後を追うと、リアスライドで上手く曲がっているので、なるほど、とマネて数回練習し、

本番に挑む。


この日泊まった温泉宿は部屋食で、

子供二人いる僕たちには有り難かったのだけれど、

それを良い事に

破壊の限りを尽くす娘を見ながら御膳のご馳走をいただくのは至難の技で、

とてもゆっくり味わってる場合ではなかった。


ヨッシャンが「良かったら晩飯皆んなと一緒にどう?」と誘ってくれて、でも予約があるからと断ったけれど、

万が一一緒に行ってたらウチらの家族置き去りにされてるでコレ笑。と妻も半笑いだった。


翌朝、


ギリギリC4のスタートに間に合うと、

ヨッシャンと堀君の激しい戦い。先行していたヨッシャンが堀君に抜かされ、さぬき名物のアスファルトの平坦はずいぶん苦しそうだ。


しかし誰よりバテていたのは妻だった。

娘の暴走を食い止めるべく奔走している。

ほんとに申し訳ない…。


C3のスタートグリッドはCCJPの杉田君や、通年のライバルもいて、和気藹々。

しかし、

後ろに並ぶアンダー17の子達はピリピリしていて、

僕の隣の人が「彼ら、話かけても喋ってくれへんねーん笑」と言ってて、

逆に思わず笑ってしまう。


スタートはクリートキャッチをミスるものの、

なんとか集団に着いていった。

ジープロードの下り、みんな速い。

殆ど同じ速度で、少しラインをミスるとすぐ離される。


その登り返しで詰まった。

そこで足を着いた僕は、降りて押すしかない。


やってしまった。


もう遅い。


後はアスファルトの平坦で周回する度に抜かれ、


なんと、


最後尾。


最後の登りをダンシングで加速する僕の背中で「パパーっ!パパ〜〜っ!…」と

息子の声援が哀しく響いた。


うわぁ…

ゲベかよ…


失意の底でゴールすると、

通年のライバルが寄ってきてくれて、

ちょっと話し込んでからゼッケンを外しあう。


彼とは2年前から抜きつ抜かれつ。

レースの中で無言の会話は何度も繰り返したけれど、

こうして話す事はあまりなかった。


あー、やっぱSSじゃこのコースキツい、もうギア付きにしたいわ〜。

と言い訳する僕に、

「まぁでももう引っ込みつかない感じですよね笑」と言う彼。まったくいいヤツやで…笑。


来年もSSで行くよ、と彼と握手して別れ、


疲弊した妻の元へ。


息子は一生懸命応援出来た事に満足そうで、レースの内容はよく分かってなかったようだ。



大阪へ向かう車の中、

後ろで眠る子供をルームミラーでチラ見しては、

妻と、子供の世話が大変すぎて料理の味も憶えてないな、と笑う。


でも僕らが大変だった分、きっと子供達は楽しかったのだと思う。


そして最低の結果でも、

やはり出し切って走る

シクロクロスは最高に楽しかった僕。


妻はどうだったのだろう。


分からないけど、

分からないから、多分僕は

礼を言うべきなんだろう。


言おうとして、やはり上手く言えない。

ただそれは、

照れ臭いワケでなくて、

言ってしまうと、

その一言に何か沢山の気持ちが乗っかり過ぎて、涙腺が緩む事を抑えられそうになかったからだ。


そうこうしてるウチにいつもの様に軽口を飛ばし合う。


きっと、

相応しい場所から言えたらよかったんだろうけど。


そんな不甲斐ない気持ちで僕は、

アクセルを踏み込んだ。



ありがとう。



















関西CX2018 桂川戦 千秋楽

スタートまで5秒のアナウンスが入り

ハッとした。


気温は1度。確かに寒いが、

震えてる場合じゃない。


号砲を下を向いたまま聞いた。

クリートは上手く捉え、ぬかるんだ路面を、じりゅっ、じりゅっ、と二回ほどスタックさせて走り出す。


スタートからの直線が長い。

ある程度ついて行く過程で、

なんだか急に辛くなってきて、

さらにゴウっと後ろから上がってくる集団に付いていけず、気持ち負けしたのか、

みるみるウチに順位を落とす。


第一コーナーを抜ける頃にはもう後ろに何台もいない様子。


何やってんだ、と自分を叱咤するも、

どんどん落ちて行き、

クジ運悪く後方スタートだったソウ君にもピューっと抜かれてしまう。


…脚が全然回らない…。


「モッツー!遅れてるぞー!」と、

ギャラリーからヨッシャンの声。

グラウンドからキャンバーセクションに入ると、やたら丁寧に走る僕。

コケる気がしない。そらコケない。

そういう走りがまた一段と遅くなってるわ、と気付くまで二周かかった。


アホか、僕は。


せっせと追い上げ始めると、

オレンジ色のアウターにデニム?のストリート感溢れるSSCX乗りが前を走っていた。スタイラーやな…


このコース、SSツラない?

と彼に話し掛けたいくらいだけれど、

SKRKの人達は皆SSCXで随分前にいるワケで、


まぁ、

お互い頑張ろうぜ、

と心中に声をかけ、スタイラーを抜く。


その先にようやくソウ君を捕まえ、

久しぶりのランデブー走行に入る。


引っ張り合う様に抜きつ抜かれつして、

ようやくエンジンが掛かってきた気がした。


最終周回。

直線の彼方、第一コーナーを6台のパックが曲がる。


あー、あれを抜けたら、今回はヨシとするか…。ヨシとしよう!


正直、走り出す前は順位一桁台を狙うつもりでいた。

そんな自分への期待を大きく裏切った、

結果の目標がコレか、と、

思わず苦笑してしまう。


でも、

自分に期待出来なくなるほど、

虚しいモンはないだろう。


ここに来て集中力を上げる。

突然、コーナーが良く見えてきて、

ブレーキを使わないラインが分かってくる。

前を行くパックが少しづつタレてきた。

一台一台を確実に抜いていく。


4台目を抜き、ゴール前でもう一台、

あと一つ!


って所で届かないまま、

ゴールラインを通過した。


結局、

ヤギさんやSKRKの皆にも全然届かず、勝負にもならなかった。


悔しい。


かたや、


ヨッシャンは出し切った様子で、

クソ寒い空のした、レース後は仰向けになって倒れこんでいた。


そういえば、

三人でCX走り出した頃、ヨッシャンは自分が追い込めきれずにいる事をよく嘆いていた。

あの頃の彼に今のヨッシャンを

見せてやりたいと思った。



その後、

なんとも言えない敗北感を味わう僕に、

ソウ君が作って来てくれたチリビーンズサンドを手渡してくれて、


今回のレースの冠スポンサーであるDerailleur brew worksの西成ライオットエール(地ビール)と

一緒にやる。


チリビーンズの辛さを一緒に挟まれたクリーミーなチーズが柔らかく際立たせ、

それを

ライオットエールのしっかりした苦味と爽やかな酸味で流し込む。


コースにはC1のライダー達が美しく駆け抜け、


寒さを忘れるほど、このランチは美味かった。

こうして、

僕らの今シーズンの関西CXは終わる。


悔しい、それだけで走ってきた。

でも今回は、


自分は弱い、

という認識に、やっと至った。

これからだと思う。


そしていつか、

集団の前を走る僕を、


今日の僕に見せてやりたい。






関西CX#8 堺浜戦


堺浜の会場は自宅から近く、

自分のレースが終わってから

時間が出来たのでレース観戦する事に。


C1のレースはやはり迫力が違うし、

なんというか洗練されていて、

勉強になるとかではなく、

観ていてただただ面白い。

彼らはあまりミスをしないので、

たまの落車でギャラリーから、

おぉ…とザワメキが聞こえ、盛り上がる。


かたや、

自分のレースはミスの連続だった。

クリートキャッチのミスに始まるが、

予定通り前へは出れた。

とはいえ70人からなる出走。

この時期になるとC3は飽和状態。数珠繋ぎのレース展開でミスった人から落ちていく。


そして、やたら落車が多いのもC3の特徴。

シクロクロスにまだ慣れてないけれどパワーを持て余してる、という人が多くいるのかも知れない。

とにかく巻き込まれない様にしよう。


そう、


落車するヤツは不幸(ハードラック)と踊(ダンス)っちまった奴…


なんてワニブチ的思想に耽る間も無く、目の前で二台絡んだ。

危ない、内側から抜けようとすると、

まさか、こちら側に倒れてきた。


避けきれず自分も絡んでしまい、

一気に順位を落とした。


そこを追い上げて来たヤギさんに抜かれるが、まだだ。

シケインでもう一度勝負をかける。


ギリギリまでシケインを引きつけ、

タッタ、タッタとリズム良く飛び超えた。

よし、ヤギさんより半歩先に抜けだせた。

飛びのろうとすると、

思ったよりヤギさんが近くに居て、

飛びのる右足がヤギさんにソバットを食らわせる格好になり、

そのまま跳ね返されて僕はコーステープに突っ込む。


「大丈夫ーっ?」と言いながら去っていくヤギさん。そのすぐ後を、

フラットバーを入れてるという理由で最後尾に回されたソウ君が、優しく腰ポンして抜いていく。


とんだドタバタ劇を展開して、

最後尾まで順位を落としてしまった。


気持ちが折れるより先に、

僕はペダルを踏み込む。

少しでも前へ。


コース真ん中あたり、緩やかな下り勾配の短い直線、追い越しやすいポイントだ。


C4のレース中はここでソウ君と観戦、ガヤリ立てていた。

ハリマックス氏や、

堺の自転車屋ETの人達はもちろん、


その店長ジン君と、

movement掘君、

そしてヨッシャンの三つ巴の戦いは抜きつ抜かれつで見応えがある。


一生懸命走ってる人に、しかも知らない人にガヤるのってどうだろう、と思う人もいるかも知れないけれど、

きっと殆どの選手は嬉しいとか、楽しいと思ってるはずだ。

最終回は皆心の余裕が出たのか、様々なパフォーマンスで返事してくれたり、

応援側もなんだか嬉しくなる。


そして今、

そんな応援に支えられ僕も、

なんとかソウ君、ヤギさんを抜き返し、

その前にいるのは薔薇のジャージ、

SKRKのオグさん!


最後の砂場で抜きに掛かると、

砂場を出ると同時にオグさんは加速し、

一台抜く。

僕も追ってその一台をパスする、

ゴールはもうすぐだ。

イケるかっ?!


もう酸欠でいっぱいいっぱいだ、

でも回せ、と脚に命令する。


それでも、

そこでオグさんはもう一発加速し、

さらに一台抜いてゴール。


マジかよ…、と、

僕はその一台を抜けずにゴールラインを超えた。


脳の毛細血管に無理やり大量の血液が流れ込む様な頭痛にしばらくクラクラする。


はぁ、終わった…


それは結果を嘆く感情と、

レースを終えた安堵感が入り混じる

ため息。


あの時ああしたら、こんな風に用意していたら、

また順位は変わったかも知れない。

次こそは。


そんな事をレースの後、直ぐに考えてしまう。

ブロックタイヤで土を削りながら疾走する事を思うだけで、

僕は日常を忘れ

物思いにふける事が出来るのだ。


次は、千秋楽だ。




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