e-BIKEのある休日

関西CX5戦目、マイアミは

出走しなかった。


二列目スタートのシードは

少々悔やまれたが、

体調を崩した妻を

置いていくワケにはいかないと

思ったからだ。


そんなワケで、

一日子守をする事に。


どこへ行こうかと携帯を触ると、

「(チョコレートの)フルタ本社で割れチョコ等のセールをやってる」との情報をイクジ君がツイッターで流していた。


…フルタ本社まで片道7キロ強。

電車で行くと結構かかる。しかし、


そう、先日納車したばかりの、

e-BIKE(ママチャリ)がある。


YAMAHA PAS。e-BIKEのパイオニアと言って過言じゃないだろうけどe-BIKEと言っていいかは分からない(笑)。

僕は、電動アシスト自転車とはペダルに一定の負荷が掛かれば起動してそれなりに速度が出るもんだと思ってたのだけれど、


スタートは確かに楽で、

登り坂ではジワジワアシストしてくれるが、

天王寺へ向かう長い登り坂では、

トップギア(3速)で20km/h維持しようとすると、それなりに汗ばんだ。


まぁ子供二人乗せて坂をその速度なら、

十二分に速いと言えるけれど…。


当然ながらトップスピードを伸ばす物でなく、あくまでアシストするだけなのだなぁ、と感じたが、


勾配が10%超える急坂では物凄いパワーでグイグイ登り出し、それは原付きにでも乗ってるかの様な痛快な出力で、

思わず「おほっ(笑)」と声が漏れてしまう。


フルタのセールは終了まで数時間を切っており、とりあえず特売品を2000円程買う。

袋は戦隊モノの立派な紙袋で、

息子はそれでご満悦。


道中、

ムーブメントの近くを通ると、

見覚えある顔。あれ?


と思うと向こうから、

「あ、モッツさん、僕、分かります?」


と、久しぶりの刺青ケンタロー君。

彼とムーブメントとの繋がりがピンと来なくてシドロモドロになったけれど、

「最近MTBも乗り出して…」と相変わらずの自転車好き。


こうして、声を掛けてくれるのはホントに嬉しいもんだなー、と思いながら、


そのままぷらぷらサイクリング。

フロントシートで暴れる娘に

ケープを掛けると、

娘はそのまま寝てしまった。


ウチに帰って四人で晩御飯を食べ、

中でも大食いな娘にミカンとバナナの皮を剥いていると息子が、


「なんで果物には皮があるの?」


と聞いてくるので、

妻が、柔らかい中身を守ってるんだよ、と話すと、

「ボク、皮のない果物しってるよ」

と言う。


え、そんなのある?と聞き返すと、

息子は、


「あのねぇ、イチゴ!。」


あ!


僕は妻と思わず声をあげ、

ホンマや…と納得する傍ら、


いや、薄い果皮(真っ赤なトコ)あるよな…、と思い、

アレはね、一応皮があるんだよ、ほら、リンゴも…

と反射的に否定してしまった。


否定してしまった事をすぐに後悔し、

でも確かに皮を剥かずに食べるのはイチゴだけだね、よく気付いたね、

と訂正し褒めたけれど、

やってしまった、と少し胸を痛めた。


そして、

僕が思う以上の回答をするまでに

成長してる息子に、正直驚いた。


彼の成長を側で見ていたい、と思う反面、自分の為に時間を割く僕は、

親父として正解なのだろうか。


僕の父は模型好きのサラリーマンで、

時間があれば子供の面倒を見る人だったけれど、


僕は父が何かにムキになったり

必死になってる姿を見た事がない。


だからかも知れないけど、

例えそれがサンデーレースであれ、

僕は息子に見せたいと思う。


父が必死になって、

ただ1人の男として、

ムキになって走る姿を。


そしてそこに集まる、

ライバル、仲間達を、見せたいと思う。


これは教育と言うより、

僕の勝手な父親像への憧れかも

知れないのだけれど。


それよりも直近、

彼の柔軟な発想力をしょーもない

一般論で「皮はある」と否定した事に僕はまだ胸を痛めていて、


寝室へ向かう息子を呼び止め、

もう一度聞いてみた。気に留めてない事を期待して。


なぁ、イチゴって皮あったっけ?



「え?んー、ある!」



…あー、やってもうた…









関西CX2017大野ダム戦

脚が回る、もっと飛ばせるっ


次のコーナーを曲がった途端、

気付くと、

僕は寝転がって青空を見上げていた。


視界にソウ君が入り込んできて、

「こんな気持ち良くコケてる人久々に見ましたよ(笑)」と笑いながら去っていく。


脳震盪でズキズキする頭を起こし、すぐに彼の後を追った。

試走中で良かったけれども、

すっかり意気消沈してしまった。



さて、まずはチームオーナー、

ヨッシャンのレースだ。


全員で40名ほど、その後方スタート。

さらにピストルが鳴って間も無くヨッシャンの前で落車事故。それを避けて最下位まで落ちた彼は、コッチを振り返り笑ってる。


余裕だな…。いやしかし比較的彼の得意なコース。最下位から何処まで上がるだろうか。


コース前半の泥山。その出口あたりで順位を数えて待つ。…21、22…え、もうヨッシャン?!20人程抜いてきたのか!


コース後半、平坦区間へ行く直線でさらに一台抜いて見せた。


おおっ!いいぞ!ヨッシャーン!


熱い走りに元気をもらうとはこの事で、

僕はすっかり転んだ痛みなんか忘れていた。



さぁ、僕たちC3のスタートだ。


クジ運悪くゼッケン54。

後ろに二列しかないし、僕の前には40台近くいるワケだ。


その中にSKRKの薔薇ジャージが三人。

ひとよんで貴族会。毎度煮え湯をのまされてるからな、今日こそは。


そしてシクロクロスを始めた頃からの同い年ライバル、エスキーナのヒロシ君。


ソウ君といえば、24番とかなり前に位置してる。


ピストルが鳴り、さあ、スタートだ。


一度転んで吹っ切れたのか、

今日は身体が動く。


案の定、スタート直後のコーナーがボトルネックになっているので、

担いで、抜いていく。

イケ、イケ、イケ、イケ!

泥山の頂上に差し掛かって、やっとウサギのジャージ、ソウ君を捕まえる。って事は20番台まで上がれたか。


よっしゃ!と掛け声してソウ君の隣に担いでた自転車をガシャンと降ろし、


すぐに飛び乗った。


そこからはMTBで下る様な急勾配のドロドロの下り。


おっかなビックリ走ってるウチに、

リアブレーキの使い方が分かってきて、コレは楽しい。MTBにハマる人の気持ちが少し分かる。

とにかく小さなパックを幾つか抜いて、

2周目、ヤギさんが3位とギャラリーからの声で知る。

この日は沢山応援を貰って、

それに応えられるくらい余裕があった。


下り区間の長さか、そこまでシンドくない。心拍170くらいか?まだ余裕があるかも知れないと、

少しだけ心拍数に目を落とす。


…20…0…


今なんか見たらアカン数字が表示されていた気がしたので、見なかった事にして走る。


3周目の山の登りで、

やっと貴族会の1人、スタイラー森君の背中に追いついた。

ハァハァと息を切らし必死で彼の隣に並んだ僕は森君に、


…来ちゃった…///


と声をかけ抜きに出る。

間も無くして右側から


「…そしてまた抜いちゃう…」


と囁かれて抜き返される。


次は無言で、ヘアピンコーナーで追い詰め、オーバーラン気味に彼を抜く。


よし、次の下り坂で一気に征する!

とイキんで踏んだ瞬間、

なんとその手前でまた抜かれたのだ。


僕は思わす叫んだ。


なっ、なにぃ〜〜〜っ!


少年ジャンプ世代がライバルに

まさかの実力差を見せつけられた時の

感嘆詞は昔から


「なっ、なにぃ〜〜〜っ!」


と相場が決まっている。


ニヤリと笑う森君を想像しながら、

まだまだ!と後半の平坦区間に入る瞬間、

こともあろうにチェーンを落としてしまった。


マジかよ、ヤギさんに「チェーン緩すぎない?」って言われた時に直しときゃ良かった。


後悔先に立たず。


止まって直し、

すぐ走り出す。意外にも一台しか抜かれなかった。


多分そのくらいのアドバンテージを稼ぎ出してたのだと思うと、

チェーン落ちした事が悔やまれる。


それで焦って、どうと言う事のないコーナーでずっコケてしまった。


リズムを崩す。立て直さないと。


そこで二台、一気に僕を抜いて行く。

若者と、

ヒロシ君だ。


くそっ、


慌てて2人を追い、最終回。


一本道のスラローム、速度の落ちる若者をヒロシ君が何か言いながら突っついてるので、怒ってるのかと聞き耳を立てると、


「よし、もっと上行こう、早く。上目指そう。」と応援してる。


そのプレッシャーに後輪を滑らせラインを潰してしまった若者が、あっ、すいません、と謝ると、


「ドンマイ!、いいよ!」


ヤバいこの人、

レース中にコーチしてる…


と、ちょっと面白くなってきて、

僕もついていく。


平坦区間まで三人で走り、

ヒロシ君が危なげなく若者の前に出る。


僕は若者を中々抜けないでいたが、

小さな登り勾配のコーナーで降車して

足でイン、イン、イン、のラインを取って、内側から抜き去り自転車に飛び乗った。

よし、ヒロシ君とのデッドヒート?!

いやしかし、

もうゴールまで距離が無い!!


そういえばもう四年前だろうか。

ヒロシ君をレースの中で

意識し始めたのは。


ほとんど勝てないが、

よく同じあたりで競いあってきた。


このゴール前の光景すら

なんだか懐かしい。


結局、あと二秒届かなかった。


先にゴールしてた人と、

後から続々と入ってくる人。


皆健闘を讃えあう。


プレッシャーヤバかったよ!

付いていくので必死だった!

やっぱ速いねー!


人が聞いたら、

いいオッさん達が女子の褒め合いみたいと笑うかも知れない。


でもコレは社交辞令じゃない。


気持ちを剥き出しにして走った後の言葉なんて、ただの確認でしかないからだ。


この確認し合う感覚は、

どこか友情に似てると思う。


例え全く知らない人とでも

この時だけは分かり合える気がして、


こんな一体感は、そうは味わえない。


これだから僕は、

シクロクロスをやめられないのかも知れない。





関西CX2017大野ダム

C3

モッツ 15/48位

ソウ君 31/48位

C4

ヨッシャン 24/37位







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