フレームのスケルトンとチューブセットの選択

忘れた頃に、それは送られてきた。

ロードフレームのジオメトリが描かれたスケルトンと、
よっしゃんからの『何か変更ありますか?』というメッセージ。

基本的にビルダーの福田さんにお任せしてるし、
どっちにしろ自分みたいな素人がセンチ刻みの話を出来るワケもない。
でも、分からないなりにも、
スケルトンを見れば心はときめく。

スケルトンというのは、この場合、
フレームの設計図、
いわば完成予想図で、

チューブの太さやヘッドの角度等が正確に記されている。

自分くらいの変態になると、
これを左脳に焼き付け右脳で色付けし、
扁桃体で立体化して酒の肴に変えてしまう事が出来るのだけど、

せっかく前回のCXのスケルトンがあるので、まず対比して違いを探ってみる。

結論から言えば、
CXに比べると、ロードバイクは
全体に短く、低くなってるようだ。

それでもサドルからペダルまでの長さはぴったり同じなのは流石ビスポーク。
ハンドルはロードらしく少しだけ遠くになった。

大きな相違点としては、BB高。
CXより10mm、下がっている。

TONICのオカさんからも先日伺ったけど、
BB高は乗り味にかなり影響するらしく、低い程安定するらしい。
軽いハンドリング重視の人には不向きかも知れないけど、
オカさんの様にコーナーをロケットの如く突っ込んで行く人には、
安定した乗り味の方が向いてるのだろうか。

5mm下げたらコレが効く、
とは、
NAKAGAWAサイクルワークスのビルダー、中川さんも仰っていて、

今のCXからさらに10mmも下がるとなると、大きく乗り味が変わってくるんだろうな、と、想像だけで
年甲斐も無くドキドキしてしまう。


見た目の全体的な印象は、
太いチューブで構成されてるので鉄フレームとしてはマッシブ。CXに比べかなり前傾のスパルタンなポジション。

シートポストも20mm近く長く出せそうなので、セットバックシートポストが使えそうだ。


….楽しい。


…スケルトン楽しい。


チューブセットに関しては、
44mmヘッドが馴染む様な太いチューブをお願いしたので、

自動的にカイセイ8630Rになった。


コレは、クロモリにニッケルを配合したニッケルクロームモリブデン鋼という合金で、

同社のクロモリハイエンドの4130Rより高強度なのでより薄く太くする事もできるし、
特筆すべきは、熱を入れる事で強度が上がるという特性を持っているらしい。

コレが開発された背景に、
カイセイ社員が社運をかけた、
ってエピソードがあるらしく、
よっしゃんはそんなエピソードも大好きだと教えてくれた。

ちなみに、
よっしゃんのロードバイクも、
チャンヌのKINFOLK-CXも、
この8630Rで造られている。

そんなこんなで、
仕様は全て決定。

よっしゃんへのメッセージの返答は当然、

『どうぞよろしくお願いします。』

そのひとことに、

沢山の期待を乗せて返信した。




ビスポークフレーム

休みの朝、

ディーゼルエンジンの音が
ドロンドロンと気持ち良いヨッシャンの
ランクルの助手席に乗って、

僕らは熊取にあるソウ君とキョウコさんのお店、

ビストロリュドラガールに向かっていた。

高速を降り、
ギリギリ行き違い出来るくらいの道幅の農道に入る。

ふと、右前に何か落ちてる。
最初は木の枝かと思ったが、

ゆっくり動いてる。

ヨッシャンっ、なんかあるで!

『あっ!亀やっ!』

なんと30センチはあろうかという
ミドリガメが、道をノソッと横断している。

そこへ、対向車がやってきてしまい、
うわっ、早く逃げろ〜!

と叫ぶと、

車に気付いたカメはその場で
手足首をシュッと
甲羅の中に避難させたので、

僕らはその可愛らしさに思わず、
『いやでも、それじゃアカンやろっ笑』
とツッコミながらも大笑いした。

(対向車の人が上手くかわして行ったので亀は無事。)


関西のタフな自転車乗りであれば、
一度は挑戦してるのではないかという
山岳ルートが集まる辺り、
その麓に店はあって、
当然その周辺はそう君のホームコースであり、彼の案内で朝からライドする。

『2時間くらいなら、葛城山ひやかして帰るルートで行きましょう。』

と、勝手知ったる感じだ。

二人のロードバイクは当然KINFOLKで、
僕はCXに使い込んだロードタイヤを履かせて付いて行く。

ソウ君のフレームはその長身に合わせた迫力のサイズに、
ティアドロップ断面を持つ異形ダウンチューブ『ギガチューブ』を採用していて、マッシブながらスマートな印象が彼の人となりに良く似合っている。

方や、
ヨッシャンのフレームはコンフォートな印象の強かったKINFOLKが、
レースユースを視野に入れて工房を変更したその雛形で、

チューブはカイセイのハイエンドである
『8630R』。
レースで十分戦える戦闘力を持ちながら、
オーソドックスなホリゾンタルのシルエットで、KINFOLKらしいオーセンティックな魅力にも溢れている。
その広い振り幅は
どこか彼の人間性と被って見える。


そして今回、
自分もロードフレームの注文を入れた。


先日、KINFOLKの正規取扱店でもある、ムーブメントで採寸してもらい、

身長171の自分の手足の長さも余りにも平均的で、

『まぁ、Mサイズっすね笑』

と皆んなで笑っていた。

当たり前だけど、
サイズに合わせるだけなら、
中肉中背であればツルシのフレームで
問題ない。

だからこそ、
自分の頭の中の『乗りたいバイク』
のイメージを、
ヨッシャンに伝えた。

チューブの指定は、
「一番太いヤツ」

後は使いたい用途。僕の場合は、
「レースもツーリングも行きます。」
くらいしか書いてない。

そして、
今回はそこに1つ、新しい試みとして、
44mm径のヘッドチューブを導入してもらった。
コレはヨッシャンが先シーズンCXに採用していて、
試しに乗っただけでも安定感の違いは明確だった。
KINFOLKではこの場合パラゴン製のヘッドチューブになるらしい。

細かなディテール(パイプの曲げなど)は伝えはしたけど、
オーダーした乗り味を損なうのであれば、好きにしてもらっていい、
という感じで、

最初はほぼお任せでいい、
なんて思ってたけど、
僕が書いた仕様書に目を通したヨッシャンに
『長っ!結局拘(こだわ)ってるやん!笑』

と言われて、自嘲的に笑った。



短い急勾配な坂に入る度、
そう君に嗾(けしか)けては、
ケラケラ笑いながらヒルクライムスプリントして遊ぶ。

パンパンになった脚でリュドラガールに着くと、
そう君がぱっぱと昼メシを拵(こしら)えながら、
乾杯。

『モッツさんのロード、早く出来上がると良いですね。』

正直、こうして一緒に走ってくれる友達が、沢山居るという環境があれば、
機材なんてそれに耐えうるレベルなら何でも良いと思う。

でもきっとそれは、
身体に、気持ちに、

ピッタリ寄り添う様に
仕上がってくるだろう。

ビスポーク・フレームとは、
よく言ったモンだと思う。

茹であがった、モチっとしたボリュームのあるパスタに、
しっかり辛いソースを絡ませたそう君の一皿。

柔らかいイカにアンチョビも効いて、
空腹にドシっと、コレは美味い!

赤いポロシャツに着替えたヨッシャンと、口元を拭きながら、

このランチ食べに来るだけでも意味あったな笑、と笑いながら、

ほなまた、と熊取を後にした。

次も、また次も。

楽しみは無限だと思う。








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