2015関西CX #7 りんくう公園

半周も試走しないウチにパンクして始まった、関西CX7戦目、りんくう公園。

公園とはよく言ったもんで、
まぁ、放ったらかしと言って過言じゃない野っ原を、よくここまで面白いコースに出来るもんだ、と感心するしかない。

それでも地中から密かに顔を出すガレがパンクやメカトラブルを頻発させていて、
全くもって路面は優しくない。

とは言え、
それでこそシクロクロスなワケだけど、
パンクした自転車を押し歩きながら僕は正直、途方に暮れていた。

出走まで後30分、穴が開いてりゃ終了、もしかしたらビード落ちしてるだけかもしれないけど
コンプレッサーなんて無いし…

と、
そこに662のボス、タグチさんがふらっと現れ、

『関西CXのブログ読んだ?ネクストステージさんのテントにチューブレス用圧縮ポンプ、エアーショット・チューブレスインフレクターのサンプルあるよ、って書いてあったでしょ!読んでないの?!バッカじゃない?!』と、

なぜかオネェっぽく教えてくれたので(笑)、

マジすか、と、
いそいそテントへ向かう。

あのー、多分ビードが落ちちゃって…と、ネクストステージのお兄さんに、
願望混じりのウソをついたが、
「エアーショット・チューブレスインフレクター」の前では何の意味もなかった。

一瞬でパパんっ、パパんっ、と音を立てビードが上がり、
その後、パスーっと、1センチ程切り裂かれたタイヤから空気が抜けて行く。
やはりパンク。

こんなデカイ穴が開いてるのにビードが上がるなんて、どんだけ〜!?とオネェっぽく心中に感嘆の声。

でもこれでDNSか、と思う間もなく、
シラクなら新品あるよ、
と仰る。地獄に仏、渡りに船!でも
レースまであと15分、
お金取りに行かなきゃ、と言うと、

「お代は後でイイから。早くレース行ってきな。」

礼を言って、スタートグリッドへ向かう。
CX会場は熱い男ばかり。
感謝して、グリッドに並んだ。

C3のレースは、
スタートと共に大クラッシュが発生して再スタートと、
なんだか今日は調子が狂う。

それは皆一緒か。

不安なのは、新品のタイヤにシーラントを安定させる為、エアを高めにしてる事。スタート前まで硬さを確かめる様にタイヤサイドを揉み揉みしていた。

結果、やはり上手く曲がれない。
タイヤがと言うより、気持ちが安全志向になってしまい、コーナーが遅い。

が、前へ、前へ。
そのウチ、辻啓に追いつく!
で、抜いたと思ってもコーナーで詰められ抜き返され、じゃれ合う様にして周回を重ねる。

彼の後ろを走ってると、前のキャンバーで転んだので、ニヤリとして彼の名(本名)を呼びながら近づくと、
行かせまいと自転車でコースを塞ぐ様にして彼はキャンバーを後ろ向きに登りだす(笑)。

この一連の流れに会場も大爆笑で、
いやいや、はよ行かな(笑)。

そう、最後列からスタートしたナイトーさんが、もうすぐそこまで来てるのだ!

今度は先行して2人で逃げるが、
やはりコーナーでビビってそこをまた抜かれる。

こうなれば、ケツに張り付いてゴール前で刺す!

最終コーナー立ち上がりでほんの僅かに
踏み遅れた、が、

いけ、回せ!
自信はある。

前輪がその後輪に追いつく、
が、瞬間、彼がグッと伸びた!

あっ、ダメだ、と、
思うと同時に、
ツジケイのガッツポーズ。

悔し〜っ!!

…でも今回も楽しかった。

振り返るとナイトーさん、
ヤギさんがすぐゴールしてきた。

そう君は最初のクラッシュに巻き込まれスローパンクでDNF。
グレ君も機材トラブルで最後尾へ。
それでも走りきったらしい。

C4、
ヨッシャンのレースは良かった。
サイズが同じくらいなので、
自分の自転車をピットに置いてヨッシャンのサポート。

砂利のコーナーでも果敢に攻め、
滑る後輪を足で路面を蹴って立て直し、
最終周回で3人くらいのパックに抜かれかけたとこを気合いで抜き返していく。

ようやく調子が出てきたのかな、
と言った様子だ。

兎にも角にも、KINFOLKチームの年内レースはこれで終了。

帰りの忘年会で、
酔った僕に絡まれたグレ君は本当に
きのどく。

自分みたいなモンが若者に説教出来る事なんて、

『俺みたいにはなるなよ…』

コレしかないはずなんですがね。





C3
モッツ 11/59位
そう君 DNF
グレ君 40/59位

C4B
ヨッシャン 23/69位







2015関西CX#6 東近江

…周回の最後、
アスファルトからV字キャンバーに飛び込み、駆け上がって次の周へ。

そのタイトな飛び込みで内側からやや強引に肩を当てて抜きに入ってくるオレンジのジャージ。

うおっ、と動揺しながら、舌を捲く。
経験上、ローディーの人に多い感じの強気な抜き方だ。

今年の東近江はローディーに有利な印象だ。
とにかく平坦、砂やヌタヌタの泥はあるが、乗車率は90%を超え、タイヤも比較的よく転がる。

とはいえ、その速度を殺す様に、
テクニカルな減速コーナーがウネウネと続いていてストップ&ゴーを繰り返す為、実際走ると思いっきり心肺にクる…

それがローディー有利の印象になったワケだが、
ジャージを見てると確かにソッチ寄りかな?と思わせる人が、
疲れの出る3周目(全4周)あたりでヒュッ、と抜きにくる。

先のオレンジのジャージも確かローディーのチームだった様な。

とにかく、次の舗装路で後ろに着く。
前には出られたが、速度差はそれ程ない。むしろ連続コーナーに入ると、
段々と詰まってくる。その時、

もう一台後ろから上がってくる。
薄紫のジャージだ。

僕を抜いてもオレンジのジャージで彼も詰まり、
三つ巴でシケイン前の直線に入り、
ほぼ並んで脱出、

その次のコーナー、最初に出たのは薄紫、僕はオレンジのジャージをかわし、

薄紫を…、なんだあのジャージ…

…イカ…娘…?

なんかキュルンとした女の子?が描いてある薄紫のジャージを、とにかく追う。

連続ステップに入る直線、イカ娘が加速。
なんと、ステップをバニーホップで抜けていくじゃないか!

マジか、ジャージの印象で人を判断しちゃいかんな!

とか僕は心中半笑いでステップを跨いで走る。

が、イカ娘が最後のステップでバニーホップ失敗し、
その隙に前に出る。

確実に自転車乗るのは僕よりイカ娘の方が上手いと思うが、
何が起こるかわからないのがレースの面白い所だ。

序盤は8〜9位くらいまで上がったが、落車するミスを繰り返し18位まで順位を下げてしまっていた。

最終回、ゴール手前の砂。

乗って行ける程度だが、
前を行く人達は、ひーふー言いながら踏んでるので、

ここは加速を付けたままディスマウント、自転車を担ぎ上げ、
スパイクで砂を蹴り上げる。

一台、二台、
抜いて、
後は死にもの狂いでアスファルトに上がるとパックが見える。

ここでもう一発踏む!

が、やはり1秒届かず、その前には2秒届かず…

てか、頭痛い…
ひどい酸欠に目眩がして、
あ、さっきのイカ娘の人に挨拶したいな…と思ってるウチに撤収の案内。

しかし、ゴール後の皆のバテ方が深刻過ぎて、まさに屍累々といった感じだった。

お陰様で出し切った感はハンパないけど、またしても14位、29%あたりの定位置。前向きに考えれば、緩やかに上昇はしてるのか(笑)。

その後、時間の許す限り応援をして、
そういえばCL2(女性カテゴリー)が20人を超えていたとかで、

いよいよシクロクロスも盛り上がってきたのか、と痛感しながらも、

不思議なもんで、自転車のファッションに関しては、まだ女性より自転車オジサン達の方が美意識が高い様に感じたのは気のせいだろうか。

そんな中、
色々と頭抜けてるチャンヌの
最後のスプリントは圧巻。あの短いストレートで二台程抜くとか。
むちゃくちゃ速かった…

都合、早目に切り上げるKINFOLKチーム。
でも空腹に勝てず、
パッとラーメン食って帰ろう、って
話で東近江のラーメン屋に入ると、

確かに美人なギャル化粧の、
西野カナかアユか、みたいな女性が、

乳飲み子を抱いて、

湯切りする大将に、

怒鳴りちらしてる。

「なぁ?これなんでココ?なぁ?なんでなん?なぁ?」

「だから言うてるやろ。なぁ。言うてるやろ?」

…やだ…こわい…
…めっちゃツメられてるやん…

僕らはだまってドンブリを啜り、

会計の時も、
大将?実はバイト?がレジ打つ横で
「は?なんで860円やねん、ちゃんと確認しいや」
とか怒られてるし…

会計をすませ、そっと店を出て、
皆で目を合わせて大笑いした。

いやー、ヒドイ店やったな、
味に文句でも言ったら叩き出されそうやで(笑)。
もう、来年も絶対行くわ(笑)

あんな美人だというのに…
ほんま、人はみかけによらん。

いやまぁ、見かけ通りなのか(笑)。


C3
モッツ 14/67位
そう君 24/67位

C4A
ヨッシャン 30/62位





















RAPHA スーパークロス野辺山 エンジョイ編

『もっつさんがどんなテンションでBlog書いてるか聞いてみたいですね』

という、
僕としてはヨダレがでそうな問いかけをしてくれるのは、

群馬はcycle.jpを牽引する、tkey君。

彼らは、
C1からC4まで幅広くライダーが所属するだけでなく、CL1の今井選手はUCI野辺山で連日表彰台という、
実力派でありながら、本当に自転車を楽しんでる、
自転車乗りなら憧れてしまうチーム。

DAY2での今井選手の走りは本当に見応えがあって、オーストラリアからの招待選手を追いかけ回し、迫る国内の強豪選手をブッチギリで突き放し表彰台を勝ち獲った。
観てて胸が熱くなるレースだった。

シクロクロスは観戦も楽しい。
ビール片手であればなお良かったが、
運転を考慮してコーヒー飲みながら観戦。

しかしコーヒーと言っても、飲み比べ出来るほど沢山のお店があり、
流行りのサードウェーブ的な浅煎りのショップもあれば眼が覚める様な深煎りのショップ、
そしてRAPHAからも美味いエスプレッソが。

冷えた手を温める口実にガブガブコーヒーを飲む。

2日目はやや冷えたが、初日は日差しが強く風も弱くて、その上突き抜ける様な快晴。

この空の下で飲むビールが美味くないワケはないのだ。

フード関係の出店が例年より増えたし、
クラフトビールのお店も多い。

marcaでは『おかわりは50円引き』。
そんなワナにまんまとハマって、ソウ君と2人ガブガブと飲み続ける。

そのタイミングで既にホロ酔いのオカさんがポテチ(うす塩)を振舞ってくれるもんだから、

僕らは美しい山脈と青々としたら空に見下ろされながら、当て所なくチャンヌブースで酔っ払った。

チャンヌブースには、Rapha japan代表のヤノさんのワッペン、デイブTシャツにチャンヌグッズ、そしてTKC×marcaのオリジナルTシャツが並び、

恐らく国内CXで最もトンガったブースになってたと思う。
今や、速さだけではシクロクロスは語れない…。

実際バカスカ売れていて、
特にチャンヌグッズが外国人にウケていたのは流石だと思った。


SSCXは、なんで仮装なんだろう。

と思う僕の前で身体に藁を巻きつけながらローラーでアップする、
トニックのイザワさん。

….なんでナマハゲなんや…

スタート地点にビール片手にわいのわいの駆けつけると、
何がなんだか分からん仮装ばっかりで、
もう面白い。

女児用水着が猥褻だと言う事で禁止されてたスク水選手、やはり普通にいつものジャージを着てる様だが…ビブが、
食い込んでる?!

そしてスタート直前にそのジャージを脱ぎ去り、下からあのスクール水着姿が!
その瞬間、
どよめきが歓声に変わり、

会場の温度が2度上がった。

対する男の子用のスクール水着を着用する、筧五郎選手。
『あっ!メロリンキューや!』と叫んだのは僕ですスイマセン。

まぁ、観ててとにかく楽しい。

見てすぐ分かる仮装には熱い声援が飛び、そうでなければ通り過ぎた後に
『…今の…なに…?』みたいな変な空気になって、

オグさんはマトモなSSCX乗りって感じで仮装無しで走ってたけど、
途中からコースサイドからの差し入れビール飲んでは吐き出して、

わやくちゃ感が楽しい。

結局レースは、男児女児の水着がワンツーフィニッシュ、3位はデイブのコスプレしたハッチさんと、

なんだか分からんけど盛り上がって終了。いや楽しい。


C1のレース前に、
めまいするほどの眠気が襲ってきた。

夜中の運転に早朝レース、
その後の飲酒でどうやら限界。

眼が覚めたら夕暮れ。
グレイスホテルにチェックインして、
温泉につかる。

晩飯は、
またしてもtkey君の計らいで、
美味くて楽しい晩飯にありつけた。

中華料理のコース、しかも20人近い。

こんな店を探してくるtkey君はホントに素晴らしいと思いながらも、
野辺山は何食っても美味い気もして、
(ここの中華はマジで美味かった)

今年も来て良かった、と
しみじみ思う。

部屋に戻ると、どやどや皆んな僕らの部屋に遊びに来てくれて、
飲み直すか、

と、先のtkey君のblogへの質問に僕は、
いつもより饒舌に、
まとまらない話をダラダラ始めてふと彼の方を見ると、

彼は眠っていた。

満面の笑みで。

寝顔まで素敵だぜtkey君…



とにかく、飲食に関しちゃ地元の美味いモンから、
流行のサードウェーブや
クラフトビールまで存分に味わえて、
ライダーには世界選手がやってきて、
笑える催しもあれば、家族も楽しめ、
新しい仲間もきっと出来る。

この二日間は最高だった。

標高1300m地点にある、
そこはシクロクロッサーにとって、

天空の楽園だ。














RAPHA スーパークロス野辺山2015 レース編

前日のレースを17位と不甲斐ない結果で終えた、野辺山2日目の朝、

スタートグリッドの先頭に僕はいた。

とはいえ、第1コーナーの1番内側なので、確実に被せられる運命の嫌なポジション。

周りにいつもの友人達はおらず、
同列の連中は
『…真っ先に飛び出してやる…』
と言わんばかりの表情でぶるんぶるんと息巻いていて、
ギャラリーからは
「〇〇君、今日は獲れるだろ!w」とかの笑い声。
そんな談笑ですら僕には威圧的で、
振り返ると2列目には、面識は無いが見た事のある速い人達が。
あれは名古屋のチームRuedaの、
しなやかな肢体がいかにも速そうなロード乗りのトモチン、
その二つ程隣に黒い長髪のカリスマBMXライダーのYOSSYさん。

2人ともシクロクロスを始め、当たり前の様に、すぐにC4から昇格してきた人達だ。

僕の真後ろの人が手前に落ちてるスパイクのスタッズに気付き、なんでこんなトコに、危ないなぁ、と路肩に蹴り出したので、
ハッとして自分の靴の裏をみると、僕のスタッズが外れて転がってたらしい。

あっ、すいません、と拾いにいって、
なんだかとても惨めな気分になる。

…不安だ。

そんな時、
コース脇にトニックのテースケさん、岡さん、そしてAboveBIKEの須崎さんも来てくれて、色々テクニックを耳打ちしてくれ、
それより何より、
兄貴達の存在に落ち着きを取り戻す。

スタートの笛を待つ。

10秒前。

静かだが、
周りの心音が痛いほど耳を打つ。

笛を吹く人が冷えた空気を肺いっぱいに
吸い込んだ。

静寂を打ち破る笛の音。

ほぼ同時に踏み込んだ右ペダル、
数コンマ遅れて、左足はその表面を擦りながらペダルを捉える。

上手くいった!

まさか、1番で飛び出せた。

イン側なので外に膨らむ為にも少しでも前に出るが、膨らみきれずブレーキを強くかけ、

ダートに飛び込む時、外から5〜10台に前に出られ、それが先頭パックになる。

が、着いていかない手は無い、

一列になってフードコート前の階段を登って行くが、
シングルギアゆえかワンテンポ遅れ、
前とすぐ詰めれる程度の隙間があく。

が、それで焦って、どうという事のないコーナーにオーバースピードで飛び込み、急ブレーキで後輪がバリバリと砂利を削る。

ここはコーナーから加速して飛び込む泥ゾーンだったのに、仕方なく必死で踏んで着いて行こうとする。
リズムの悪い走りで後続に申し訳ないがこれも作戦って事にしてもらおう、
と心中に舌を出し、
パックを追う。

とりあえず、ブッチギリで速い数名は見えなくなるが、
前方にはコーナーを丁寧にこなす、蒼いトニック。

ナイトーさんだ。

思わずニヤける。

昨日は負けたけど、
今日こそは。

が、まだナイトーさんとの間に数台、
その中にBMXライダーYOSSYさんのSSCXもみえる。

サドルの上で過ごした時間が違う。

そういう話はよく聞くし、
実際、マトモに勝てる気はしないが、
とにかく着いていく。

そこからは数台と抜きつ抜かれつするウチに、YOSSYさん、白いジャージ、自分の順でフードコート前に差し掛かり、
階段をYOSSYさんが乗って行った瞬間、
なぜか僕はクリートを外していた。

白いジャージがYOSSYさんに詰まり過ぎてる。

僕がディスマウントの動作に入ると同時に、白いジャージが階段で落車、

その横を飛び越えて駆け抜ける。

SSCXの階段登りとギアードでは力を入れるタイミングが違うので、
詰め過ぎると階段途中でペダルを止めるハメになり、バランスを崩したのだろう。

考えたワケじゃないが、
経験が脳に命令した感覚。

少なからず、そんな物が身に付いてるのかも知れない。
そう思うとまだやれる気がして、

前を走るYOSSYさんを捉える。
浅めの泥ゾーンに入りいかにも重そうにペダルを回す彼。
ここしかない、ペダルが重いのはコッチも同じだけど、行くしかない。


ぶりぶりと泥の直線を踏んで、
息絶え絶えで前に出る、そこからはシングルトラック、しばらく僕の下手くそなラインに付き合ってもらうで!

丁寧にコーナーを乗り降りして順位を守り、得意のフライオーバー、
ブレーキに指を掛けるな!と自分に言い聞かせ、クリートも外したまま下る。

そのスピードを殺さず、ステップに飛び乗って、

そのまま登りアスファルトへ。


YOSSYさんを振り切ったか?
そして前には、ナイトーさん。

勝負だぜ、ナイトーさん!
全開で踏んで速度差で心を折る!

が、抜いて、間もなくガス欠。
苦しい、まだレース終らないんかよ、

そこに声援が聞こえる。
こんなコースの端で誰が見てるんだろう?そんな事を思った刹那、息遣いが。

ー はぁ、はぁ、はぁ ー

悪寒がした、まさか、

間髪いれずにトニックが僕の前へ出る!

どうだ、と言わんばかりにそのまま僕を押さえ込むナイトーさん。

マジか、この人去年より無茶苦茶強くなってないか?!

酸欠気味の唇がニヤリと震えて歪む。

まだ直線は残ってるで、
と、僕はもう一度抜き返しに行き、

前に出て、今日は負けへんで、
と尻で語り、

泥区間に先に飛び込んだ。

このままミス無くバギーコースに入って死ぬ気で攻めれば勝てる。

が、泥区間の出口、誰か転んでいて、
思わずあらぬ方へハンドルが切れてしまった!
その隙をナイトーさんがまた抜いて
いく!

僕は泥区間をブサイクに走って、
さあ乗ろうと押すと、
前輪がロックしてコケそうになる。

泥がフォークとブレーキにガップリ詰まってる。

舌打ちして指で搔き出し、

前方の、チェーンを嵌めながら走る選手をバギーコース入口で抜いて、

くそっ、ナイトーさん、どこだ!

今年のバギーコースはラインがわかりづらく、誰かタイヤの向こうに飛んでいってるシーンも見かけた。

タイヤのエアは2.0、ゆえか、
よく滑るがバンクにハマるとよく転がる。

無理して突っ込めば、折り返すナイトーさんに近づいて、慎重に行くと離れていく。

とにかくナイトーさんが上手い。

芝に入ると後ろからの追い上げが半端なく、シケイン前で並ばれる。

(photo byエドさん)

冗談じゃない、
とコーナーリングのスピードを上げようとして、立ち上がりでリアから荷重が抜けてぶりぶりと後輪を左右に振りながら後続を引き離し、

あかん、ナイトーさんが最終コーナーに入る!

そして後続を抜いたYOSSYさんが迫ってくるのが見えた。

最終ストレート、

ナイトーさんにはもう追いつかない、
しかし!

必死で踏んで順位を死守。

9位、か…


ゴールして、ナイトーさん、YOSSYさんと健闘を讃えあう、
というか、
キツいね、シンドイね、
と笑いあう。

続々とゴールしてくるライバル達。

思惑や反省は様々だろう。

でもゴールした後はみんないい顔してる。顔を泥だらけにしながら。

レースだから、
1位でなければ、
後で悔しさは必ず来る。

でもその前に過ごす、
この僅かな時間は嫌いじゃない。

順位で語れないあの人の速さを、
その時一緒に走った自分だけは知っている。



(エンジョイ野辺山編に続く)
(photo by KIKUZO)




















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