真冬の蛍

昇格とは、
次のレベル(カテゴリー)に見合う、
と言う事だと考えると、

勝ちが重要というより、
フィジカルや技術、経験、天運等諸々、その全てが一定のレベルに達した結果としての勝利かもしれない。

そう思えば、
前の1台を抜く云々より、
今の自分に足りないモノを探す方が、
建設的だし近道な気もする。

いつか、
コーナーリングで悩んでいた自分に
テースケさんは、
『コーナーリングに正解はナイからなー。速ければそれが正解や』と笑いながら教えてくれて、

続けて、
『モッツさんに足りないモノは662のCX練習にあるで!』とも。


そんなワケで、
冬も本格化し、
悴む指先を擦り合わせながら、
芦屋方面へ輪行する土曜の夜。

662の皆や岡さんが誘ってくれていたのに、
なかなか時間が都合出来なくて参加出来なかった、662CX練習。

ようやく、今夜走れる。

会場の公園は真っ暗で、
皆どこに居るのか…

微かに笑い声が聞こえる、
そちらにハンドルを向けると、
闇の中に赤と白の無数の小さな灯りが、
蛍の様にヒュンヒュンと飛び回っている。

すぐにそれが自転車のライトだと分かり、合流した。

10台?20台?
けっこうな数がこの寒い中走っていて、
走りながら挨拶して回ってると、
デイブやダイちゃんは
こっちを見つけてくれて、
わー、いつの間にかモッツおるやん(笑)、と爆笑してるし。

この、夜にフラッと現れて、
合流して遊ぶ感じ、ピストムーブメントの頃を思い出して懐かしくなるし、
見えない妙な仲間意識にテンションが上がるもんだ。

662のボス、タグチさんが考案した
この練習は、公園に実際にコーステープを張り、しかも自前のシケイン板、これがまた良く出来ていて、
それらを駆使して作られたミニコースは、走ってみると関西CXのあの感じを見事に再現している。

高速コーナーからタイトな連続コーナー、出口直ぐにあるシケイン板を超えた次のコーナーまでの微妙な距離。
すぐ乗るか、曲がってから乗るか、
乗ってからもまた直ぐタイトなコーナー、ギリギリ直線ラインを走れるS字コーナー。
実際の速度は低速ながらも、
これだけヤる事が連続すると
スピード感がハンパない。

コースアウトしそうになるインを、
見覚えあるヘルメットが抜いていく。

ヨッシャンめ、と、追いかけてテールトゥノーズで走ると、ギャラリーがワイノワイノと騒いでくれて楽しい。

ピット?に戻り、
改めてタグチさん達に挨拶して、
この時モトジさんがフード被って寒さに震えていて、いつもの元気な感じが無く、ん…モトジさん?、
やんな…?としばらく認識出来ず、
ちゃんと挨拶出来なかったのが心残り。
すんません。

タグチさんがおもむろにKINFOLKに跨り、あ、ポジションダメやわ、

と、ハンドルを煽り気味にセッティングし直してくれた。

これで一気にラインがタイトに取れる様に。
タグチさんが提唱するハンドリングで減速してブレーキを使わない、って言葉の意味を初めて理解できた。

あっ、こうか、分かった、あ、違うわ、なんて、独りブツブツと走ってると、

ライン教えてもらいーな、とタグチさん。願ってもない。

まずはダイちゃん。
コッチを気にしながら案内してくれて、
コース幅をタップリ使って、なおかつ、
先先のコーナーを含めてのライン取り。
ここでコーナーへの意識が変わり、

次はタグチさん。
スムーズ過ぎる。減速してパワーロスしてる感じが全くない。
サーッとキレイに入って出る時もスーッと出て行く。ちぎられて、追いきれない。

最後はデイブ。
ピッタリ付いておいでー、とコッチに合わせて前を走ってくれるが、
タイヤ一本ラインがズレると、もう先先行ってしまい、追い付けない。

正直、
ラインなんてアバウトでイイと思ってた。
そんな昨日までの自分をグーで殴りたい。

信じられないが、
この微々たる差とコントロールが、
速さに直結していた。

信じられない自分をパーでハリ回したい。

凄いな、デイブ、
と言うと、いちおC1走ってますから、
と彼は自嘲気味に笑う。

練習後は王将へ。
なんとなく、
ライドや練習の後はオシャレに王将。
餃子2人前くらいペロリといってしまった。


コーナーリングに正解は無い。

そう言ってたテースケさんの言葉は
俺なんかが思うよりも深く長いと知った。

やっとほんの少しその入り口に差し掛かった自分は、
いつになったら次のカテゴリーに見合う走りが出来るんだろう。

『これで次モッツ昇格やな』

タグチさんが言う。
いやいや、勘弁して下さいよ、

でも、
勝ちたい、その気持ちも
絶対必須要項だろう。

とりあえず、
昨日の自分をど突き回すよりも、
去年の自分にレースで圧勝する。

それがまず目標やな、
と、
ダイちゃんの助手席で餃子の臭いを
漂わせながら思っていた。












関西CX2014 #5東近江ふれあい公園戦 〜示教のマエストロ〜




『モッツさん、勝負ですよ』


オグさんはそう言ってニヤっと笑うが、
サングラスの奥の瞳は笑っちゃいない。

『いやいや、頑張って着いて行けたらいいですけど。』

ホンネだ。

だがそれが良く無かった。

運良く先頭グリッド、
オグさんと同列スタート。

悪くない出足、?
だが気持ちの差は走りに出る。

一瞬で集団に飲み込まれ、

第1コーナーを曲がった頃には、既に10台以上が俺の前を走っていた。


ー 関西CX2014 #5 東近江ふれあい公園 ー


この日は雪でも降りそうな天気で、
湖岸からの風が吹き曝す。

この寒さ、ようやくシクロクロスらしくなってきたなぁ…と嘯いて、
かじかむ手に息を当てながら試走する。

おはようございます、と、声をかけてくれたのは、岡さんだった。
レースでは鬼神の様な走りを見せる岡さんだが、普段はとても爽やかなお兄さん。

あ、誕生日おめでとうございます!と返すと、今日昇格出来たら最高なんですけどね、なんて話ながら、一緒に試走してもらい、ラインを教えてもらう。

『ここは皆、下のライン行くけど敢えて上のラインを選んで…』

なるほど、聞かなければ普通に下走ってた。
礼を言って、もう並ばなければ。
C3は第1レース。

雨をギリギリ堪えてる雨雲の下、
レースは始まった。


ー 落ち着け。ー
後ろからスタートしたソウ君も辻啓さんも前にいる。
ヤギさんがレースに参加してないのが少し寂しい。

今回のレースは、
自分に課した課題がある。

ブレーキ出来るだけ使わない。

課題どおりS字コーナーを思う様に抜け、
ソウ君をパスし、
順位を取り返していく。

なんとか10位くらいに復帰、
が、ラインが狭く数珠繋ぎで順位が動かないまま、キャンバーに入る。

全員が縦一例で麓の泥を走る。
ここで岡さんの助言が生きた。

俺だけがキャンバーに駆け上がり、
グリップの残る芝を踏んで、
キャンバーの下りを利用して加速する。

前を走っていた1台とその前の車両の間に前輪をねじ込む。
こっちの速度が乗ってるので、
危なげなく前に出れた。

心中に岡さんに感謝しながら、
オグさんを探すと、5、6台前か、
だが距離が開いてる。

コース後半の砂場では
辻啓さんの後ろに着き、
ラインを盗みながら走って
なんとかパス。

そこからは、
7〜10位あたりで前後しながら、
4周目の終盤、

オグさんはどの辺りか、
前を見てももう見えない。

もうオグさんは
そのまま勝ってしまえばいい、と
思うが、MCのアナウンスで激しく争う先頭パックの紹介に、彼の名前が聞こえない。何故だ。

考えてみれば、
オグさんと知り合ってから随分経つ。
表彰台も何度も経験し、
いつ優勝してもおかしくないのに、
イケズなCXの神様が中々真ん中に立たせずにいた。

自分の順位を考えれば、
落ちてれば見えるハズやねんけどな…

が、
人の事を気にしてる余裕なんか、
あるわけがない。

すぐ後ろに気配を感じた。

辻啓さんか、
ソウ君か、
誰でもおかしくないが、

なんとなく分かって、
彼への声援がそれを確信に変えた。


ー やっぱきたな、ナイトーさん!ー


砂場からアスファルトへ、

そこで会話出来る距離になる、が、

いや、話しかけない。
今シーズン彼とは2勝1敗、
勝越してナイトーパイセンを卒業させて
もらいまっせ、真剣勝負だ!

コの字キャンバーに進入し、
出口で距離が詰まる。
アスファルトからダートへは、
ドロップオフ。

…バカの一つ覚えなんて笑わんで下さい…よっ、と!

手間でホップして、
斜面に合わせて飛び込む。

頭から飛び込む形になるので若干怖いが、速度と気持ち良さが勝る。

ひょーっ、とその速度をなんとか
コントロールしながら逃げる。

が、裏の重い芝で簡単に詰められ、
つづら折りに入る。

ヘアピンコーナー。
インベタのラインは踏まれまくってヌタヌタだが、奥は広く芝が青々と茂る。

ここはあえて、奥の芝狙いだ!
思い切りよくアウトに膨らむ。

そこをスッとインベタで抜かれてしまった。

はうわっ、間違った、いまのなし!
と思う間も無く、追う。

ナイトーさんは、
タレてる様子もなく、
必死な風でもない。

淡々とペダルを踏み、
コーナーを抜ける度に差が開く。

コース幅をたっぷり使って、
教則本の様に美しいライン取りで曲がって行く。

これがコーナーリングだと、
その背中が語るかのように。

刹那、MCのアナウンス。

『最初に最終コーナーを曲がって来たのは…
オグラー、タカシー!』

おぉっ!マジか!
息ぎれしながら感嘆の声を上げた。
またきっと、泣いてるんじゃないか?オグさんっ!。

さっきのアナウンスは彼以下の人達だったらしい。

多分、前を走るナイトーさんも聞いてるだろう。

ライバルと思えば、本来は
もっと悔しがるべきかもしれないが、
オグさん、ホンマに強い。
おめでとう。

ナイトーさんを追う。
その先に1台、
砂場で足止めをくらっていた。
ナイトーさんはスッとパスし、
俺はちょうど彼の立ち上がり際で詰まって前に出れないまま、
最後のアスファルトに入る。

もうナイトーさんには追い付けない、

けど、
前の1台を!

が、一秒、届かない。

ナイトーさん8位、
自分は10位。

ゴールして、ナイトーさんと二人、
すぐオグさんを探す、

までも無かった。

662の皆に囲まれて、
冷やかされては、泣いていた。


駆け寄って手を握り
声をかけたが、
頬が凍てついて上手く喋れない。

それでも、
よふぁったっふね、と
オグさんの手を掴む。

自分の事みたいに喜んでるナイトーさんはその健闘を讃え、
よかった、よかったと何度も言っていた。

当然、悔しさや寂しさが無くはないが、
仲間が表彰台に立つ。
それが真ん中なら、もう嬉しさしかない。

表彰式では、

2位、3位の人達が『1位の人が速くて…』と評価する度、なぜかギャラリーが『イヤイヤイヤイヤ』、と謙遜するという、関西らしい暖かさ(笑)。

そう君の背中のゼッケンを外していると、
スッと、辻啓氏が兄、ヒロシさんが
俺の背中のゼッケンを手に取って、
あっ、お疲れ様ッス、と言うと、
やー、今日は調子悪くて…なんて言いながらピンを外してくれた。

大人になると何かと都合があって、
レース全戦はおろか、思う様に走れず、
実際、この日は自分の都合でKINFOLKチームは即時撤収したんだけど、
やっぱ最後まで見なきゃ後悔する。

C2オカさんは3位から繰上げで、
有言実行のバースデー昇格!
タグチさんも4位と、
昇格に王手をかけた。

こんなレースを見逃すなんて。


他は知らないけど、CXのライバルは、
イコール友人になる確率が高い。

出し切って、勝つ、負ける。
それはお互い様。そしてそこになんの遺恨も無いし、認め、認めさせられる。

キャプ翼じゃないけど(笑)、
オッさんになってもそんな現実がある。

最近思う。

彼らと飲みたい。

でも本当は、それより分かり合える現実がレースの中にあって、
酒の席はその答え合わせでしかない。

意地もプライドも、
本当の自分に見あっているのか。

己を知り人を知り、

そこで望む結果、
それは決して金では手に入らない。

オグさん、昇格、本当におめでとう。

またオグさんと同じレースを走れる様に、俺も頑張りたいと思います。








野辺山シクロクロス2014 DAY2

え、ここどこ…?

ソウ君がシャワーを出て身仕度する
物音で目を覚まし、
ここが野辺山のグレイスホテルである事を思い出し、同時に昨夜の記憶もほんのり蘇る。


…やってもうた…



楽しみにしていた、
ROCKでの昨夜の晩餐。

駐車場も想像以上に広く、
店に入れば、天上は高く、長いカウンター。開放感溢れる店内に楽しくなってくる。

さすがに10数名の人間で囲めるテーブルはなく、自分達は離れた小さな席に3人で座るが、今思えばこれは正解だった。

…この段階であのトークショーをやってたら、と思うと、ゾッとするぜ…

他の客席もよく見るとクロッサーばかりで、そのうち、
軽く立席して挨拶しにいったりする人もちらほら、ちょっとした披露宴みたいになっていた。

まぁ誰を祝福するってワケでもないけど、
一生懸命走れた自分と仲間を讃えあうにはお誂え向きだろう。

そのうちオグさんとチャンヌが席に来てくれて、この後良かったら一緒にどうですか?と誘ってくれるそのオグさんの顔を見てギョッとする。

オグさんの綺麗な顔が傷だらけに!?

聞くと、レース終盤で後方から先頭グループまで追い上げ、俺とナイトーさんの背中を捕捉した辺りで、フライオーバーから顔着したらしい。

『モッツさんとナイトーさんの背中が見えて嬉しくてね〜』と陽気に語るオグさん。その語り口がレースと言うより、
友達とジャレあって遊んでる感じで、
なんだか嬉しい。

でもその後、
ブレーキが泥詰まりで動かなくなったのを、リリースしてそのまま走ったとか…。
あの後方から追い上げてくる実力といい、
オグさんはやっぱ尋常じゃない。

クラフトビールが自慢のROCK、
何種か飲んだが、
全部美味かった。

酒が美味く感じるのは、
酒そのものの味、料理、そして雰囲気。

この三つが高いレベルで揃う時、
その味わいは何倍にも、
その思い出は何倍にも輝き膨らむ気がしていて、

全部美味かった。

…味が分からなかったワケでなく。

何よりtkey君の愛息ふーちゃんの可愛さよ…。リンちゃんとの絡みに大阪のオッちゃんは激萌えでした。

さてエンモタケナワ、ここらでお開き。
どうする?オグさんとこ行く?とヨッシャンに聞くと、

『何言ってんすか、せっかくなんですから今日はCC.jpの皆と飲みましょう』

そりゃそうだ。
しかし気を使わせてる気がして、
なんだか申し訳ないなぁ…


そう思った気持ちはなんだったのか。

319号室。
tkey君がKINFOLKチームの為に用意してくれた部屋で、宴が始まる。


テーブルには大量の美味そうな酒が並び、
群馬の人達や、マッコイさんもあまりにも上手に話を聞いてくれるもんだから、
調子に乗って喋り続ける。

江口さんも『Blogのモッツさんとリアルなモッツさんが、今繋がりましたよw』と。
俺はグラス片手にニヤリと返し、
また話始め、
そこにソウ君の合いの手が入る。

(舌の)ケイデンスは180を優に超えていた。

モッツ独演会。

ふとグラスを口に着けた刹那、しん、として、ハッとした。

…ヤバい、皆、若干ひいてる…?!

冷や汗が背筋を撫でる。

…どうする?、

いや、

……いけ!

意を決して再び話し出す。

だがネタがない。
そしてついに禁忌の技に触れてしまう。

『酔っ払った時の失敗談を酔っ払いが語る』。これだ。

だが俺は気付かない。

今まさにこの時こそが、
新たな酔っ払いの失敗談になっている事に…


8:00時にロビーで江口さんと待ち合わせだ。1人で温泉に入り(温泉好き)、身仕度して車に乗ると、窓が凍結している。会場ではフライオーバーがアイススライダーになってるそうだ。

四人で会場入り。
晴天で昨日よりも賑わって感じる。
raphaの泥Tは速攻で完売するらしく、今年も買えなかった。

MOZZCOFFEEの設営をお手伝いして、

美味いコーヒーを飲んでると、
raphaのヒロくんが、会場の横に
CXコースがある『ふれあい公園』があって、凄い楽しいよ。行ってみたら?
と教えてくれて、
レースエントリーをしてないので、
C3の応援をしてから向かおうと。

前日のレースじゃメカトラに泣いたマッコイさんの気迫の乗った走り。
23/85位とCX始めたばかりと思えば凄い成績!。何より走り切った後の充実感に溢れる表情に、こっちまで気持ち良くなる。
関西CX、C3のライバル達も軒並み上位。ちょっと焦る。

そんな焦る気持ちを払拭する様に、
いそいそとジャージに着替えて、会場を出る三人。
緩く下る長い直線をダーっと走る。
快晴。
風は冷たいが、気持ちがいい。

公園に入ると、
なんと『シクロクロスコース』と書かれたマップが。

全国探してもこんなの、
ここしかないだろう。
ショートコースとロングコースがあり、
とりあえずショートから。

殆ど勾配は無く、森の中をウネウネシングルトラックを走る、天然のシクロクロスコース。所々に矢印の標識がある。

ちょっとアスレチックぽいのもテンション上がる。ぬかるんだ腐葉土は想像以上に滑り、どうって事ない所ですっ転ぶ。

溝の上に掛けられたベニヤ板の橋も、
ちょっとトラクションを掛け損じれば途端にリアが空転して転びそうになる。

8の字練を思わせるS字カーブ、硬いダートでグリップを稼げば速度が乗る。

思いっきり走れば、あっとゆう間にブレーキの上に泥ダルマが乗っている。

これは…、楽しい…。

レースでも無いのに泥だらけになる三人。
近所にあったら毎日来るだろう。

楽しい時間はあっとゆうま。

オッさんになればなおの事だ。

気が付くと四人、
行きと同じくランクルにすし詰めで
高速道路を走っていた。

帰路も雨の中となった。
車内では運転してくれてるヨッシャンとソウ君が眠くならない様に話続ける。

CC.jpの人達、ホンマみんなエエ人やったな、と切り出したが、
ただ楽しいだけでなく、彼らは実際速い。
ロードバイクがメインとはいえ、
未舗装もいわゆるグラベルロードもガンガン走る集団。
京都のSKRKと同様、練習は行なわず、あくまでライド。

これだけでも相当スタイリッシュなイメージだが、是非彼等の動画を沢山の人に観てもらいたいと思う。

最近、自分の脳内に出来上がりつつあった、MTB最強説に待ったをかける事実だ。

本当にシクロクロスは面白い。

そしてあの、
ふれあい公園のコースは楽しかった。
レースは当然燃えるし、
その充実感は中々得られるもんじゃないけど、
自転車をコントロールする、という楽しみ、がむしゃらに進む面白さ。
あらためて思い知る。

共有出来る仲間がいればなお良い。


公園からの帰りは、

当然、登り。しかも向い風。

だが、晴天の下に、アスファルトの真っ直ぐな道。左右は緑。
これだけでテンション上がるのは、
自転車乗りだけなんじゃないか?

そんな事を思いながら、ソウ君に
話しかける。

『なぁ、会場まで競争せえへん?』

『…いいですよ。』

『よっしゃ、ほな行くでー!』

思い切りクランクを回す。

ヨッシャンが並んでくる!

負けへんで!

息がつらくて下がる頭を持ち上げると、
登りの先にソウ君が見えた。


その向こうに真っ青な空。

やっぱり、
今年も野辺山に来て良かった。

自転車乗りはいつも、
息の上がるその先に、

幸福感を感じてしまうものなのかもしれない。








野辺山シクロクロス 2014 DAY1

タタン、タタタンと、
雨がランクルのルーフを叩く音で
目を覚ます、AM6:30。

天気予報通りとはいえ、
快晴の高原の気持ち良さを知ってる身としては少し残念な、
それでも車を降りて会場を見渡し、
山の空気を吸えば、
一転してテンションが上がる。


野辺山シクロクロス2014。


昨年同様、
特徴あるセクションを繋ぎ合わせた楽しいコース。
今回は加えてこの雨で、
泥区間はディレイラーだけでなく、
走れば足もモゲるんじゃないかと思う程、深く重くなっている。

今年のスタートはど平坦の舗装路から。
相当スピードが乗りそうで、怖い。

ゼッケン順でグリッドに並び、運良く先頭グリッドに。
隣はナイトーさん、すぐ後ろにヤギさんもヨッシャンも居て、ラッキーやな、うふふと、いつもの関西CXメンバーでほくそ笑む。

野辺山は、全国からクロッサーが集まり、このC3Aは出走82名、
半数以上は知らない人達だけど、
それがまた面白い。

そして、
野辺山のスタート合図はピストルじゃなく、笛。

笛吹きのおじいちゃんの呼吸に合わせ、
息をいっぱいに吸い込んだのを見て、
ほっぺを膨らますと同時にハンドルを押す。

ピーーーっ!

始まった!

が、クリートを取りそこね、
そのまま舗装路を終えて芝のホームストレートへ。

カチっと足の裏で音がして、
数台交わし、
フードコート前の緩い登坂、
前方に三台程、先頭は、
"マエストロ"ナイトーさん。
続いてるのはヤギさんか。

三つ巴でフライオーバー(立体交差)を駆け上がると、
その下で大歓声!

『わ〜!ナイトーさーん!』
『ヤギさーん!』

ちょっとモッツの声援少なくない?
とか思いながらもニヤニヤ走る。

一周目はショートカットされた舗装路の登りに入る。長くても緩斜面なら、ギア比は高い方が速いという自己理論で昨年よりも0.13程上げたギア比2.1。


ピタリとナイトーさんに着いて、
斜面に入り、
ナイトーさんのペースが少し落ちた所で懸命に前に出る。

グイグイ登り、

泥区間が見えたら潔くディスマウント(自転車を降りる)、
覚悟を決めて泥に足を突っ込んだ。

たぷたぷとした泥、
それでも硬い場所を選んで走る。

少しでもバイクで泥に突っ込めば、
多少乗れても泥はモッサリ乗ってくる
かも知れない。
そのリスクを思えばこれで多分正解だ。

この先のバギーコースはスピードが乗る大好きなセクション。

バイクに泥は着いてない。
故にブレーキも良く効いて、
オーバースピードで突っ込んでも当てブレーキでラインを変え、
狙ったトコへフロントタイヤが入って行く。
これは気持ち良い。

シケインを跳んで、

比較的苦手な芝のスラローム。

芝といっても土は泥っぽく、
アウトインアウトで出て行くと、
出口あたりに上手い具合いに泥が在るのは、意図的なんだろうか…

スピードを殺し過ぎて脱出でオタオタしながらも、
ホームストレートを抜け、
フードコートでは怒号の様な声援を受ける。嬉しい。

後方との差は15秒。首位独走。
そんな現状が変に気持ちを煽った。

『モッツ、焦るなーっ!落ち着けー!』

デイブ?田口さん?

え?おれはれいせいっすよ、と、
酸欠気味の頭で心中に返す。

駆け上がってフライオーバー、
ブレーキをかける必要がないのは、
先頭の特権とばかりに駆けおりた。

調子に乗って声援に応える。

…まてよ、
ここからは得意なアスファルトの登り、
もしかして俺、勝っちゃうんじゃ…へへ…

なんてフザケた奴に勝利の女神は
微笑まない。

…あれ、なんか俺、
スピード遅くないか?

自問した矢先、

左手をびゅっ、と駆け抜ける影。

速い。速度域が違う。
追おうとして、
ダメだ、いや、
十分踏んでるハズだ!

それでも先行する彼に、
1位を簡単に開け渡してしまった。
得意意識を打ち破られて精神的にも参る。

ジープロードを抜け、
ホームストレートに帰ってくると、
背後にまた一台、気配を感じる。
追い付いてきた、
てことは、
かなり速いんじゃないのか?

フードコートへ向かう登り手前、
泥濘で右から抜きにくる。

その刹那、
俺の右腕にそっと手を乗せてきて、
ん?抜く幅は十分あるやろ、
と思うや否や、
グッと腕を抑え付けて抜いていった。

…えっ?!なんやコレ?!アリなんか?!

緩い斜面でもヤられたら辛いし、
それより気持ちが乱された。

…そんな抜き方しなくても、
アンタなら普通に抜けただろうが!

モッツ激おこ。

怒りに任せて走る。

フライオーバーに向かうまでの泥地帯でダッシュを掛けてしまい、ここで完全にペースも乱す。

一気に息が切れ、
後ろからCRCのジャージに抜かれる。

誰かの声援が耳を打った。

『モッツー!このまま終わるなぁ〜っ!』

肺が破れそうで、脚も回らない。
でも、その声に応えたいし、
まだ、終わらせない!

なんとか階段で追いつき、
フライオーバーを先行する。

が、
勢い余って着地失敗して顔着。

競っていたCRCのジャージの人も、
俺に追突してコケてしまい、

すいません、と急いで立ち上がると、
俺のバイクを『どうぞ』と紳士的に起こしてくれた。

短く礼を言って、
2人で最終周回に突入。

坂を登り、泥区間を必死で走って先に出たが、
死ぬ程辛い。

とにかくマウント、
でも息が続かない。

…はぁ、はぁ、はぁ、はっ、
ははっ、ははは…、ジープコースだ…

下り傾向で、
何より大好きなセクションに、
思わずニヤケ顏になるが、
冷たい雨で顔面の筋肉が強張って、
歪な笑顔になっていただろう。

それでも、やはり楽しい。
ぐっと寝かせてバンクを踏んでいく。
いいぞ、乗れてる気がする!

が、最後のコーナーを、
その1番外から
CRCのジャージが抜いてきた。
くそ、速い!

そこからの芝でやや差が開く。

両目に泥が入るが涙が出なくて
痛い。

焦りがオーバーランを生み、
コーステープにハンドルを引っ掛け
完全停止。

そこでまた一台いかれた!


急いで、
とりあえずゴールめがけて踏むっ!

が、

6位。


ゴールするなり、
田口さんに『前半飛ばしすぎやわ!』と言われ、
テースケさんに、いや腕をね!て言い訳すると
『そこで気持ち乱された方が負けやな』と言われ。

ザンザンと降る雨に体温を奪われながら、敗者の顏で、ぶるぶる震えながら
車の中で暖をとる。

『あのまま勝つと思ったのに』

そう言ってもらう度悔しいし、
個人的には悪くない順位でも敗北感が強い。
しかし出し切った清々しさも間違いなくあって、
体温が戻る頃にはソウ君と笑っていた。

とにかく温かいコーヒーでも飲みたい。

腹も減ってきた。

今回は、ヨッシャンのランクルに
KINFOLKチームと、九州からMOZZCOFFEEの江口さんの四人で野辺山に参加。

ようやく着替え終えてフードコートに向かうと、C3Bのレースを終えたばかりのハズの江口さんが、既にエプロン姿でブースに立っていた。さすがプロ。

レースや練習の後のコーヒーは、
浅煎りが美味い、といつも思う。

ヨッシャンもMOZZCOFFEEの大ファンだということで、
同行のキッカケになったとか…

まず、優しいコーヒーを味わって胃を暖めたら、

次は名古屋のアーリーバーズで
ホットドッグとビールのセット。

ぶりんぶりんに太いソーセージの入ったボリューム感のあるホットドッグ、

そして名古屋の才女、
ユーキちゃんが注いでくれるIPA、
なんとこのサーバー、
ベースが自転車、いや、
自転車にビールサーバーが着いてる。
これはガス欠知らずやな…。

しかもこの日は樽を入れ替える度に違うIPAが楽しめるという、素晴らしいはからい。
ツマミに良いお菓子ある?と彼女に聞くと、紅茶のクッキーを勧めてくれた。コレがまた濃厚で、
ほんのりした塩っ気がまたIPAに合うのだ。

CLクラスには、
チャンヌがまたもや招待選手ばりに目立ちつつ、泥の中でも構わず走る。

そのパワーに、着実に強くなってるんじゃないか…とビビったり。

ビール飲んで応援した後は、
今やシクロクロス会場に無くてはならない、
エスキーナでホットバターラムを飲み、またしても胃を暖める。

全国の美味い飯屋の酒やらアテやらコーヒーをヤりながら、SSCXの観戦。

目の前を『赤いアシモ』が駆け抜けていく。
無機質なロボの瞳の奥に辛さが滲む。

なんかバイクのヘッドにデッカいライオン?の顔が着いてるけど角の形がトナカイぽい…

まさか、アシモサンタなのか?!

なんでも中の人はCMレースを優勝で終わらせた直後らしく、
もはや、なんの修行なのかと…。

その後、

C2ではお返しとばかり、662を応援!
天気は回復し、おかげでただの沼地と化したコースを田口さんが先頭パックで駆け抜け、ダイチャンも調子良さげ。

岡さんは中盤下から追い上げ10位!
泥まみれなのに、
カッコよすぎて憎いぜ…。

C1、TONICチームやオッチーさん、
良く知った人達と、世界レベルの選手が同じレースを走るとか、
他の競技では中々ないと思うし、観てるコッチも大興奮だ。

ビールも進むぜ。


夜は、tkey君率いるCC.jp(群馬)の皆に宿と飯屋を押さえてもらっていて、至れり尽くせりで、なんだか申し訳ないが、
でも、俺、

…この時を…待ってた…。

明日は何もレースエントリーしてない。
夜の宴に心を踊らせながら、
四人と四台のバイクを載せた車は、
レストラン『ROCK』へと向かった。



後編に続く

(前川君、岡さん、写真ありがとうございます!使わせて頂きました!)












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