関西CX#4 マキノ高原戦 〜丘の上のランブルファイト

『メロンパンの皮焼いちゃいました』という、
話題の菓子パン片手に運転するヨッシャンをみて、

俺、見た目がメロンやからメロンパンて言うて知らんくて、子供の頃はプラシーボ的にメロンの甘みを感じてたわ、と話すと、そう君が『そんなワケないでしょ』と苦笑するや否や、
『えっ!?違うの???』とヨッシャン(笑)。

…砂糖の奥にメロンを感じ取れる2人を含む5人を乗せたランクルは、
琵琶湖を北へ、福井県との県境、
マキノ町を目指す。


ー 関西CX2014第4戦 マキノ高原戦 ー


スキー場でもあるマキノ高原、
上り下りの激しいパワーコースで、
芝に隠れてボコボコとコブがある路面。

最後尾スタート、故にか、
何故か気持ちに余裕がある。

例年同様アスファルトの登りから始まるコース、
ピストルに合わせスタート直後、
左端の未舗装のすき間を抜け、
前に…

が、イメージほど前に出られなかった。
全体のペースが速い。

まぁ、でも前半分てとこか。

そう君は抜いたし、
ヤギさんとナイトーさんはまだ先か。

コースの一番標高の高い場所まで駆け上がり、そこから一気に下って毎年恒例のV字キャンバー。

ゆるゆるとウネりまた登った先、
今年のコースの特徴の一つ、
下りの高速ロングストレート。
路面はボコボコだ。
でも40km/h強のスピードが出る、
その先のヘアピンカーブがいやらしい。

急制動からバイクを寝かしつけ、
そして大物の人工セクション、
立体交差が現れる。

二周目あたり、
ヤギさんとパック状態で
ナイトーさんの背中を捕まえ、

そのまま2人で前に出る。
ヤギさんと競り合いながら、
なんとか、
コーナーの突っ込みで粘り勝てた。

新しいタイヤのお陰だ。

実は、
前日にヤギさんの改造手術を受け、
ヨッシャン手組みのWOホイールを、
チューブレス対応にして『IRCシラク』を履かせてやった。

昨年リム打ちパンクしてるので、
その対策でもあり、
低圧化によるグリップ向上に内心、
相当期待していた。

とはいえ、今、多分20位前後。

オグさんに本気で付いてイケると思ってただけに、辛い。

気弱になると走りに出る。
隙を突く様にそう君が口元に笑みを
残して前に出る。

やるな、でも負けへんで!

最終回、
後ろについて、下り、V字キャンバー。

アウト側から仕掛け、V字でブレーキ勝負。
やたらとタイヤがコントロールし易い。
滑らせながら方向を変え、
底で並んでディスマウント、
シューズのスパイクを斜面に突き刺し
駆け上がり、抜く。

が、しばし登りで詰めてくる。

そこに、下りロングストレート。

このギャップに合わせてみる。
テースケさんやタグチさんに
教わった様に、

コブを拾いざま、抜重。
スケボーでランプから飛び出す感覚に
近い、と思った。

40kmを超える速度で入れば、
案の定、フワッと跳ぶ。

無音。

直後、斜面に合わせ、
ガガガっと路面を転がるタイヤの音。

ぐんっ、と加速する。
なんて気持ちいいんだ!

これが…
『プッシュ・プル』…?


気持ち良い、楽しい!

あっと言う間に、
前のパックに追い付いた。

立体交差前のヘアピン、
まだ寝れる、まだグリップしてる!


なんやこのタイヤめっちゃええ!

階段で1台抜く。

そのまま、ゴール前のスプリント!
もう1台抜いた!

あっ、この人マスターや、
も、もう、1台…

と、一秒届かず、ゴールして、

19/43位…。


あーっ、悔しい。

倒れ込む。
でもなんやこの爽快感は…。

口ん中は血の味するし、
順位は酷い、
オグさんの背中も見えず、
課題だらけで
凹むしかない状況で、

そんな事よりも、
楽しさが勝ってしまってる。

も、もう一回走りたい…

そんな妙なテンションで、
テースケさんに19位でしたけどライバル達にはまあまあ勝てましたよー!
て報告すると、

『19?それで満足なん?』

と爽やかにビール片手に返されて、
一瞬にして現実に戻る。

で、よりキツいメニューを教えてもらい、また口の中に血の味が蘇ってきた。

オグさんはやっぱり格が違う。
同じギア比であの速さ…しかし、

…あの人に…勝ちたい。



そんなオグさんと肩を並べて、
そこからはレース観戦。


各クラスに仲間が居るので応援も
面白いし、チャンヌがトルティーヤを持って来ていて、タコスパーティも始まる。

突き抜ける晴天、
紅葉、芝の緑。
あと酒があれば完璧やなあ。

そのチャンヌが、CL2で走る。
ド派手なスキンスーツに金髪三つ編みで、
外人の招待選手か!てな風体。


某社長にも
『また悪い奴が入ってきたなw』
てなことを言われたとか。

そんな彼女、実は男性もビックリのトレーニングを重ねていて、
登り坂では同時発走の男性選手を抜く姿も!自分もちょっとシビれたし、
ゴールラインを湧かせていた。

C1スタートラインまで妻子を連れてデイブに声援を送り、
ギャラリーに戻る。

飲食の出店の数も多く、
さらに皆、
自前のコーヒーや食べ物を持ち寄ってたりするので、
シクロクロスのレース観戦は本当にピクニック以上に楽しい。

今日最後のレース、C2の選手が準備を始める。

C2は本当に役者揃いで、熱い。

遂に全員がC2入りした662。
エースでC1のデイブに続けと、
ボスのタグチさん、若獅子ダイちゃん、SSでトントン拍子でC2入りしたコッシー。
そして、俺と息子を見つけるなり、
『わー、チビもっつ可愛い〜』
と、甘いマスクで662唯一の穏健派、
オクちゃん。個性的で異形なバイクを乗りこなす。

そして、某チーム入りを果たした、
岡さん。チームジャージが届くまで、代わりに着たRAPHAのジャージがめちゃくちゃ似合う。



レーススタートして、

間も無く、1位の選手が異常に速い、それを追うのは…

あーっ!タグチさん!2位?3位?
すげーっ!

ギャラリーが盛り上がる。

後を追う、岡さん、
そして関西CXのC2ではお馴染み、
ドロボウさん。唐草模様のスーツで、
一目瞭然なので紹介もいらないと思うけど、実際速い。応援すると、
気合いの入った返事が返ってきて気持ち良い人。

そして、野寺監督

知ってる人は、えーっ??と思う程、
このブログに書くのも気が引ける程の凄い人。

そんな野寺監督は、茶目っ気たっぷりに階段をホップして上がったり、
シケインをタイヤ引っ掛けて乗り越えて行ったりと、レースを楽しんでいらっしゃる。

立体交差の階段も、丁寧に1段づつホップして登って行くので、
ギャラリーからは
『監督ぅ〜ジャマ〜(笑)』という温かい声援もw。

『でもあの人、あんな事してるのに速いんやな』と嫁。
そりゃあ、ジロ・デ・イタリア完走、ツールドマレーシア総合優勝してる様な人ですから…(−_−;)。

さて、自分達のギャラリーの前は下りで、その先が直角コーナー。

登り途中のシケインを越える662のメンツを応援してると、

胸元にブオッ、と風圧が過り、
コーステープぎりぎりで応援してた自分達は皆、うおっ!、と声を上げる。

はや〜、と言う間もなく、
タグチさんもびゅうっ、と後を追う。

それを追う岡さんがシビれる程カッコいい。刃物の様な走りだ。

後に続くのはオクちゃん。

その優しげな風体からは想像出来ない
程アグレッシブに、
コーナーで後輪を不安定にブリブリと揺らし、ドリフトしながら曲がっていく!

うおおっ!魅せる!

ダイちゃんは初のC2でイマイチペースが掴めないでいる感じだけど、
声援を送ると苦しげな笑顔でピースw

『そんなん要らんねん!笑』

とギャラリーからツッコまれつつ、
諦めずに走る。

タグチさんが3位?あたりまで落ちるが、依然として上位キープ。
序盤でトラブったらしい岡さんが、中々上がれずにいると、チームオーナーからリミッター解除の指示があったらしく、
守りから転じて攻めの走りへ。

ナイフの様に鋭い加速で眼前を下る先に、コーナーに差し掛かる1台が見える。

おぉー!追いつくぞー!
とギャラリーが声を上げるや否や、
追いつくどころか、
そのコーナーのインから入って、
抜きに行く!

うわ〜???

イン側のコーステープと、
ライバルのぎりぎりの隙間を40km/hを越える(目測)速度で突っ込んで、
抜き去った。

ギャラリー大歓声。

完全に持っていかれた。
カッコ良すぎる。

人は見た目じゃないが、
見た目も走りもカッコいいと、
どうにも太刀打ち出来ない。

なんというか、スピードが似合うのだ。

ドキドキしていると、
しばらくして、
野寺監督がシケインを乗車したまま
ガコンガコンと越え

(多分これも難しい)、並んで走る人も同じ様に越えようとして、失敗して落車、それを見て監督、ギャラリーにガッツポーズで吠える。

『なんの勝負やねーん!笑』

とギャラリーから温かい声援w。

気が付くとコッシーは同胞のダイちゃん、オクちゃんを抜いて、真ん中あたり?SSの初C2で、ホンマに凄い。

ボウっ、と風切り音を上げて、
先頭、続くパック。

タグチさんが4位、凄い、
このまま表彰台か!


そのすぐ後ろを、
激しく岡さんが追う!


ヤバイ、カッコいい!
タグチさん逃げてー!

最終の登りストレート、
タグチさんと岡さんの間に1台。

岡さん、スパートかけるも、
届かず!それでも6位と大健闘。

タグチさんは、
流石、662ボスの貫禄を見せ、
4位。若い同胞達に大差をつける。

他にも、ダイちゃんの捨て身のバニホや、ガレ場の階段で同走のCL1の女性にレース中でも道を譲るコッシーの紳士っぷり等、書きたい事は沢山あるけど、

きっと、次も、
彼らは魅せてくれるだろう。

ゴールに向かうと、
ヘロヘロになったオクちゃんと岡さんが、応援ありがとうございました、と頭を下げている。

いやいや、こっちこそ感動させてもらって…

ヘロヘロで、汗だくで、
客に頭を下げ、
握手して回る彼らは最高の笑顔。

それはまるで、
ステージを下りたばかりの
ミュージシャンのソレだ。

応援したくなる、
じゃなく、

応援してしまう、
魅せられてしまう走り。

スター性を持つ人ってのは
どんな世界にも居るもんだ。

とても彼らと走るスキルは自分にはない。
が、
初めて誰かの走りに憧れた。

走りたい、彼らと。

シクロクロスが、俄然、
面白くなってきた。


帰りの高速、

偶然にも662のトランポが右に並び、
運転してるダイちゃんが覗き混んで手を振って、そのまま追い抜いて行く。

あっ!
とヨッシャンが小さく声をあげ、
その徹底ぶりに車内が笑い声で充満する。


『ナンバープレート、662や!笑』


関西シクロクロス、
まだまだ面白くなりそうだ。





(写真提供)
テースケさん、前川君、ダイちゃん、嫁さん、
ありがとうございます。

関西CX2014#2 岬町せんなん里海公園戦

スタートは上手くいったと思う。

冷たい、海岸沿いの雨。
水滴がゴーグルにへばりついては落ちる。

ピストルと同時に飛び出し、
クリートをキャッチ、

一瞬にしてケイデンス150、
速度は40kmを超えた。


ー 関西CX#2 岬町公園戦 ー


アスファルト、未舗装のグランド、芝、そして砂浜。

それが雨に浸され、スリッピーな泥とハンパに締まる砂の過酷な状況に変貌した事は想像に易い。

試走もろくに出来ず走り出した、
そのわりには前半は上位で回る事が出来た。

2周目、今9位だという。

良くもなく、悪くもなくか、

なんて生意気思ってると、

シケインでヤギさんに並ばれ、
さっき抜いた筈のナイトーさんが抜き返してくる。
蒼く塗り直されたトニックが濡れた芝に映えて、なお悔しい。

スロープを下り、砂浜へ。

前方に人が居るなら担いだ方が速いと、
そして、ここは自分の得意なステージだと、
絞り上げられた肺に言い聞かせる。

スロープに入る前に担ぎ、
脇の階段を駆け下りる。

砂場で一気に抜いていく。

が、ダメージも相応で、
その後のコーナーで抜き返される。

前に辻啓氏、なんとか着いて行くが、
さっきの浜でゴーグルが曇って右眼が見えない。危うくコーナーを見間違いコースアウトしそうになる。

離れてく辻啓氏とナイトーさんを尻目にゴーグルをスキンスーツの胸元へ仕舞おうとジッパーを下ろそうとするが、
下がらない、当然、
その間に後ろが詰めてくる。

何台かいかれたか、

最終回に入る手前で、
ギャラリーにいた嫁にゴーグルを投げ、

あとひと踏ん張り、
行けるか?
と思う瞬間、腰にふわっと温もり。

直後、左手を過る、コッシー。

ずいぶん後方にいたハズ、
追いついたのか!?

てか、

コッシーにコシポンてっ…
駄洒落にもならんな…

しかしその手は暖かく、
タレ始めてた気持ちに火を入れてくれた。

先のヘアピンを、コッシーは腕で立ち木を掴んで旋回。
…カッコええやんけ、と感心しつつ、
こちらは地味にハンドルを切って曲がる。

コッシーに引っ張られる様に
ナイトーさんに追い付き三人パック。
しかし、S字キャンバーで2人にやや離され、出口でさらに離されてしまった。

気持ちが切れる。
というか、脚も回らない。

思うと同じくして2台、
速そうなCXバイクに抜かれる。

…今、何位だっけ?

もう15位あたりか?いま2人いかれて、さらに…

息絶え絶えに考えてるウチに、
最後の砂浜。

スロープを降りると、
先の2台が前を走っている。

す、すな、砂浜な、
得意なんやろ、砂浜は!

自分にムチを打つ様に、
ダウンチューブを腰に叩き付ける様に担ぎ、ガッチリ身体に押し付け、
全力で砂を蹴る。


まず1台、抜いて、
やや前のめりに加速。

2台目、
近寄るや否やコッチを振り返り二度見して驚いてたけど、

もう遅い!そのまま抜いて、
最後の階段を左手はブラケットに添えて
駆け上がる。

『おおっ!いいぞー!モッツ、ナイトーさんを食えー!』タグチさんの声が聞こえた。

よし、と思うがやや遠く、

それでも全力で回す。

14位。

なんと、
10位の辻啓氏から16位まで、13秒以内にゴールするという接戦だったので、ゴール直後は皆同じ様にしんどそうにハイタッチ、
いや、手が上がりきらずにミドルタッチとでもいうべきか…

662のダイちゃんはキレキレの走りで2位で昇格!おめでとう!


ふとナイトーさんを見ると、 ?ジャージがベロンと破れ、太腿に血が滲んでいる。えっ?!落車しました?
と聞くと、なんでも出走前、駐車場からコースに入る前に落車したそうで、

偶然それを一部始終見ていた嫁が言うには、
眼前を横滑りでスライディングして現れたナイトーさんが、
起き上がるや否や、
『モエちゃんコレ持ってて!』
と、サコッシュを渡してぴゅーっと走り去っていったそうな。
嫁は渡されたサコッシュに着いた砂利をぱんぱん払いながら、年上やけども可愛いと思ったと話してくれた。

その後も帰りの車の中で、
友達のクロッサーを捕まえてはあの人もこの人も可愛い、なんて生意気を言っていた。

確かに、いい大人がムキになって無邪気に遊んでる姿は、女性視点では可愛く見えるのかも知れない、とも思った。


帰宅、いつもより、
ほんの少し高いワインを買った。

自分の期待した結果には程遠く、
やはり落ち込む。

次は負けたくない、もっと練習したい。
でも今は少しだけ今日の余韻に浸りたいと思った。

結果だけじゃない楽しさがレースには在るんだろう。

その夜のワインは格段に美味く、
気持ち良く酔わせてくれた。








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