関西CX2014 #1マイアミランド チームKINFOLK編


汗が滲み日照りが肌を焼く。
10月も末とはとても思えない暑さの
ビーチで、
その40名程のクロッサーを並べたグリッドだけが
凍てつく様な空気を保っていた。

関西シクロクロスの登竜門、
もしくは吹き溜まり、C3。

C4を勝ち抜いてきたツワモノと、
C2からの降格者で構成されてしまい、
本来初級なはずのC3は、
今や『入門者』と呼べるクロッサーは居なくなってしまった。

ここからいち早く抜け出そうと
殺気立つ。
そんな張り詰めた空気を和らげようと、
MCが言ったジョークに数秒の笑声が上がっても、
すぐ集団が吸収してしまう。

俺は先頭から五列目。
でも問題ない。
二列目に並ぶ、同じSSCXで走るオグさんにスグ張り付けさえすれば。

彼に付いて行く事が出来れば表彰台もあり得るかも知れない。

ー 勝ちたい ー


ピストルの音がビーチに響く。
押し黙る集団の重い空気を斬り裂いたのは、

辻啓氏。

そのスグ後を、
ホールショットを取らせまいと
ヤギさんが飛び出す。

オグさん、ダイちゃんも
そのまま先頭集団に入る。

同じくして俺も、と、
スタートをきったが、
『オイっ!!』と怒声が聞こえたかと思うと前方で接触事故発生。

〜〜っ??、
急ブレーキでなんとか難を逃れると
右から『いやー、危なかったですねー』聞き覚えのある声、
前川君が右から上がってきた。

先頭から離れてしまった。
相槌を返し、2人で集団を追う。
第1コーナーを曲がった先は、
ビーチに降りる前の砂場。やや深く、
足止めをくらうライダーを何台か躱すと、前にヨッシャン、その前はソウ君、
図らずもKINFOLKトレインでビーチに飛び込む!

が、

波打ち際でヨッシャンの前輪が砂に刺さる。詰まって俺も足を着き、浜は他のライダーが被せてくるので湖の中をバシャバシャ走る。

でも、乗ってる連中に水を開けられっぱなしもマズイので、
なんとか砂の締まった場所を探して乗車を試みる。

その右を『走ったほうが速いですよ!』と担いで駆け抜けていくヨッシャンは、あいも変わらず楽しんでる感じで、
それをみて少し力みが抜ける。

この浜の入り口では後の周回でも前方車両が刺ささって足止めをくらい、抜きつ抜かれつで順位が入れ替わりやすいポイントになっていた。

押しては乗ってビーチを出ると、砂上のスラローム。
丁度コーナー出口あたりが深い砂で、
正しいラインが解らない。
いや、そんなもんあんのか?
とにかくセオリー通りに突っ込むと、
案の定砂に前輪を絡め取られるが、
構わず踏み込んで脱出、しかし遅い。

ぜーはー言いながらシケイン飛んで、松林のスラロームへと。
なんとも速度を殺されやすいスラローム、ここで20位、と順位を呼ばれ、
集中が欠け始める。

そこからは
殆んど順位が動かないが、
最終ラップ手前で息が上がる。

ビーチ入り口で落とした順位を取り返すのに、浜の真ん中、フカフカな砂上を無理して乗ったツケが回ってきた。

右からそう君が抜いていく。

行かせまいと追おうとして、
脚が回らない。

バタバタだな、と反省しながら走る。
松林で休んで、浜で全力。それが作戦だったのに、
実際は上手く休み何処を作れず、
ビーチの波打ち際で休んでいたり、
その手前で脚使い切ったり、
めちゃくちゃだ。

そう君の背中を見ながらゴール。22位。
一丁前に悔しがってると、ショーンが駆け寄ってきて、声を掛けてくれた。


来日スケジュールを上手く合わせて、
一緒に参戦出来たショーンは、
C4で4位と、
上々の結果を出した強いライダー。

しかし、結果は散々だったけど、
マイアミのロケーションは最高で、
悔しさも含めて楽しかった。
コッシーもキレキレの走りでc3昇格したし、今回の悔しさも含めて、
次戦が楽しみだ。



その後は、
ショーンが
ラーメンしか見えない、と言う事で、
皆で大阪に戻り行列店の『一蘭』へ。
完全なる個人席で集中して食えるのも面白いし、屋台ラーメンみたいな優しい口当たりの豚骨スープにコシのある細麺で、啜る、
と言うよりガツガツ食ってしまう美味さ。
ラーメン自体食うのも久しぶりで、
思わず替え玉してしまった。

帰って皆の上げてくれた写真を見る。
これが楽しみだしホントに嬉しい。

が、よく見ると、

ヨッシャン、みんな押してるトコで1人だけ担いでるやん….、

いやいや、
波打ち際でも砂でも下ハン握って、
押しまで下ハン持ってるモッツに言われたくないわな、


とソウ君の押す写真を見ると、

押してさえいない。
むしろ、引っ張られてる?!

どうなってるんや、これ…
KINFOLKキャラ立ってるなあw
と、撮ってくれたアキラさんが笑う。

まぁ、でもカッコいい写真もある。
ショーンが撮ってくれたヨッシャンの写…あれ?水面が手前?どうやって撮ったんやろ…



アメリカ人、躊躇無いわ…



関西CX2014マイアミランド戦

C4B
ショーン・ウルフ 4位
C3
ソウ君 21位
モッツ 22位
ヨッシャン 35位




幸福の所在

家庭を持つと、
どうしても友人からの誘いが減るもんだ。

いや、
断る回数が増えるから、
誘われなくなっていくんだろう。

そんな事を考えながら、
便器のヘリをブラシでこする。

雑多な昼メシをサッサと平らげ、
休日の昼下がりから家事に勤しむ俺は夫の鏡だぜ、
と、
独りごちた舌の根も乾かぬウチに、
その鏡を叩き割りに行こうとしてる自分は、やっぱダメ親父代表だな。
と出掛けてる妻子に心中スマンと詫びて、
ぶおーっと唸る掃除機のスイッチを切った。

テースケさんとの朝ライドから一時帰宅して今、
再び3時頃の待ち合わせをしているが、
時計の短針は東北東を指している。
急げ『クラフトビアピクニック』へ!

朝から山ガッツリ走って昼から河川敷でビール、晴天。完璧だ。

完璧なダメ親父だ(笑)。

シティライド用のヘルメットを取り、
デニムの裾を折りあげ、
シャツの袖に腕を通した時、
今朝右腕全体に出来たばかりの
擦過傷を擦った。

いてて。

そのコースは奈良に入る山間にあり、
上下に激しく起伏する細い国道の脇にトレイルの入り口が複数あって、
そこを蜜蜂みたいにMTBライダーが出たり入ったりしている。

自転車乗入れが許可されてるトレイルらしく、
テースケさんは今週来るの3回目、
と相当ハマってるご様子。

『駐車場からトレイルの入り口までけっこうな坂あるで〜』

まぁ、乗れなきゃ押しますよ。

今日はレースのギア比2.1で来たけど、アスファルトの坂は何とかかんとか乗っていけた。

おもむろに『ココから入るで』、
とテースケさんが道の脇の林道へヒュッと入って行く。
わー、トレイル久しぶりやな、と不安混じりに入っていきなり木の根に引っかってコケそうになる。
うわっ、と戸惑う俺をテースケさんは振り返って笑っていた。


"チケット売り場の前にいます"

テースケさんからのメールが入る。
ビアピクニックの会場は思ったより広く、時間がかかった。
なぜか脚が回らない。疲れてるのか…?

美しく整備された中之島公園に着き、
Ahearneの前で携帯を見てるテースケさんを発見した。しかし目立つ自転車やな…。

ビールチケットを買い、シートを敷いて
BOSEのBLUETOOTHスピーカーをセットするテースケさん。

実は、会場にはDJブースもあって、
BGMも流れているが、
そんなものは御構い無しだ。

一杯目は、
秋らしく栗のビールを注いだ。
まろやかな香りで、
口に入ると優しい甘さと渋皮の苦味。
確かにマロン。が、
後味は舌の奥でキュっとなる酸味。
これが好きになれないなぁ。

『ここ来るまで、脚回った?俺全然回らんくて笑』

あ、テースケさんもスか?実は俺もそうなんですよ…。
ほんま、面白かったけどヤバいトレイルでしたね。

走り慣れてるテースケさんはガンガン先に行くので、ホンマ着いて行くのも必死だった。

がったがたの石や岩だらけの走り難い路面を、ガレてる、なんて言い方をするらしく、これこそがガレか、と思う路面。
かと思えば、
石や根の表面に苔がビッシリ生えた登り坂。

ジュリっと後輪をスタックさせながら、
なんとか登ると、そこからは下り。
けっこうな急勾配。
背中を追って駆け下りるが、
急斜面にドン、と段差が現れる。
怖くて手前で止まると、バランスを崩しそうになる。その先に待ってるテースケさんに、

ここどうやって降りたんすか?

『えっ、普通に』

…普通…。ビビりすぎなんかな、俺。
ヒヤヒヤしながら下り、休憩地点の公園に出てきた。
次は違うルートから入って、
またこの道で降りてくる、と言う。

ガレた登りが続くが、
慣れて来たのとロケーションの良さに
テンション上がる二人。

きゃっきゃ言いながら走る。

道幅も広く見通しも良くて、
恐怖感も少なく、

美しい針葉樹林を抜け、
泥濘を跳ね、
ガレた路面を蹴る。

…楽しい…。

完全に非日常だ。

下りの路面にコブが定期的に現れる。
排水溝らしいが、これを腰で吸収して走るだけでも楽しくなってきたが、
それを見たテースケさんが、
もっと、コブの下り斜面に合わせる感じで走ると加速して…と、ぴょんぴょんとスピーディにコブ斜面を下って行く。

なるほど、とは思うが、
そう簡単に出来ないのが俺(笑)。

さて、帰りは来た道を引き返す。

途中、暗峠の様な、アスファルトからコンクリートの路面に変わる箇所があり、
『コンクリートの路面は技術的にアスファルトを敷けない急勾配な場所らしいわ』と教えてくれて、
そりゃそうか、アスファルト敷くにはローラー車走れなアカンもんな。と気が付く。て事は、コンクリートの坂は大概キツイって事やな…。

なんて思ってるウチに、
最初ビビってた下り。慣れたのか、
それほど怖くない。
が、逆に集中を欠いて前輪を取られ、
横転したままスライダー状の溝を肩から滑って行った。

いてて、と土を払うと、
手首から肩あたりまで引っ掻き傷が縦横に入って血が滲んでいた。

まぁ、皮一枚、どうってこと無い。

それより、最初ビビって降りられなかったあの段差が、どうと言う事無く降りれる様になってたのが不思議だった。




二杯目は、テースケさん曰く『手っ取り早く酔うならコレやろ』と、
箕面ビールのWIPA。

よく酒屋で買う海外のIPAよりも味に腰があって、飲み干すまでシッカリ旨味がある。

ビールとツマミを買って戻ると、
ハーチンも到着。

日が暮れ出して、段々人が減って行っても我々だけは少しずつメンバーも増えて盛り上がる。

仕事帰り、なんならお店早めに閉めて来たって人も(笑)。

ずいぶん酔って、
皆で中之島をふらふら歩いて帰る。

やっと冷たくなってきた夜風が
気持ち良い。


何をもって幸せとするかは人それぞれだが、
幸福感というのは、
大概は人と人との繋がりの中でしか感じられない気がしている。


家庭を持つと、どうしても友人からの誘いを断らなければいけない時もある。

それでも声を掛けてくれる人達、
誘いに応じてくれる人達。

それを解ってくれる家族には、
感謝って言葉よりも、

沢山の幸福感を共有して行きたいと、
ボンヤリと願った。









東へ西へ。

日本人は働き過ぎ。

どっかで見た知らない人のセリフに
乗っかて、まったくそうだ、
と有給休暇を取る事にした。

知らないウチにズレている、
自分を整える為の休暇。

と、カッコつけても、
結局、
自転車乗るくらいしかヤりたい事も
ないなあ、
いや、
平日の真っ昼間にチャリ乗りまくれるなんて、
贅沢でしかない。

さて、
どこへ行こうか。

Facebookにそんな事を書いた翌朝、
テースケさんとナイトーさんが午前中
付き合ってくれる事に。

十三峠は行った事がない、と言うと、
じゃあ、そこへ、とスグ話はまとまる。
このメンツで湾岸じゃないトコへ行くのはどこでも新鮮。
一般道も安心して走れて楽しいし、
つい、軽く無理してしまう。

あっとゆう間に十三峠入り口に差し掛かると、
テースケさんから、

『モッツさんは19分台イケると思うから、頑張ってw
俺らボチボチ行くからw』

と時間制限付きタイムアタックの指令。
えーっ!と思いつつ、
まぁ、
確かに当分この峠来ないやろうし、
とりあえず全力のログ取っておくか。
と覚悟を決めると、

『1番下の(軽い)ギアは?』

39×23っすね…。

『あぁ…そりゃ重いかも…まぁ頑張って!』

と言われて、
いや、
葡萄坂ギア比3.0で登るには登ったワケやし、イケる気がした。

ぎょんぎょん踏んでグイグイ上がろうとして程なく、
クランクが重く、止まりそうになる。

何これ、シンドイ…。

甘かった。
緩急はあるが平坦な場所が無く、
何より勾配も相当キツい。

足が止まりかける。
あかん、確かアベレージ10km/h以下じゃ20分切れないってナイトーさん言ってたな。

こんな時はテクニックを使う。
サドルの先端を尻に突き刺す様に座り、
煽られない様に後輪に加重を掛けて回す、名付けて、

アナルクライムだっ!

と、なんとか速度を落とさん様、
踏み込み回す。やがて、
コーナーの先が薄暗い事に気がつく。

あ、アレがゴールのトンネルかー!
よっしゃ、と残力使い果たす勢いで曲がった先は、

ただの木陰かい!

まだ先は長く、
もう二度と来んわっ!と
独りごち、
ひーひーイイながら踏んでると、

グッと空が近くなる、
この感じ。

あぁ、
コレ、峠登る醍醐味かもな、
とゴールのトンネルをくぐり、
思った。

駐車場まで降りて2人を待つ。
ゼイゼイ言いながら
車輪止めに自転車を立てかけ、
やっと眼下に拡がるパノラマに気が付いて、息が止まる。

なんだ、やっぱ頑張って良かったな。

清々しくて、写真でも、
と携帯を取り出し、
職場からのメールに気が付いて、

また息が止まる(白目)。

…そっと、
気付かないフリで携帯をポケットに戻し、2人も到着。

登頂タイムは19:07と、
自分にしちゃ上出来だと思う。

下りはナイトーさんが先頭。

『危ない所多いんで気を付けて』
と言いながら下るナイトーさんと
テースケさんの背中はコーナーを
曲がる度に離れて行き、
冷や汗をかきながら食らいつこうとして、

さらに離れて行く2人。

…ダメだ、これ以上は〜。

許容範囲が違い過ぎる。
あんなスピードで下れるモンなのか…。

ようやく、
山の麓で待ってくれていた2人と合流。

いやー、やっぱ速いですねー。
と声をかけると、
『まぁ、いちおDHやってたんで(笑』とナイトーさんは自嘲気味に笑う。

やはり、2人は『乗れている人』達だ。
一時的な練習で少しでも速くなったと思ってた自分が恥ずかしく、
この2人と走ってると、
いかに自分が素人で、
乗れてないかを思い知る。

午前中で彼らと別れ、
BIOTOPの道路に面したカウンターでコーヒー飲みながらカッコつけて午後の予定を考える。

まぁ、カッコつける必要はないけど、
コンビニ休憩で車輪止めに座るよりはナンボかマシだと思うし、
外向きのカウンターは、
自転車乗りには実際使いやすい。

さて、午後は芦屋方面へ向かう。
コッシーが練習場所としてる峠が中々の難所っぽい。

ギアードでロングライドするのは、
ジワジワ追い込めて楽しい。
平日なので国道は当然混んでいて、
自分が浮世離れした様な錯覚に陥る。
んー、贅沢やなぁ。
疲れた脚でもウキウキとペダルを踏む。

せっかく芦屋に来たので、
小洒落たリストランテのランチでも食おうと店に着くが、足が止まる。

…なンだ、この…レーパンを拒むような空気は…

ダメだ、俺のレーパンレベルじゃ…。

おとなしくコンビニでも探すか、
と閑静な街並みを流すと、
オープンテラス付きの洒落たパン屋発見!このテラスなら俺のレーパンレベルでも行けそうだ。

焼きたてのクロワッサンとカツサンド、それに浅煎りのアイスコーヒーを幼稚園帰りのママさんと子供達の声を聞きながらテラスでボンヤリ食し、脚を休める。

ー さて。ー

今日のクライマックス。
コッシーのタイムに追いつけるとは思えないが…。やってみな解らんな。

かの峠へむかう。地図では川沿いから入って、この先の交差点からセグメントが着いてるな…

と、差しかかり、息を飲んだ。

いきなり壁の様な急勾配。

マジか、と思う頃には登り出す。
地図上ではゴールは三叉路を右手になってたので、右側を気にしながら登る。

ここか?次がゴールか?まだか?
三叉路ぽいトコでチラチラと確認。もう早く終わらせたい。

肺が痛くなってきた。
そのタイミングでグッと上がる勾配。
なんやこれ、膝破裂する…。

ついに、足を着きそうになる。

もう着きたい。
アカン、その一瞬の休憩は、
この先ずっと後悔するヤツや、
俺、知ってんねんぞ〜!

とワケわからん風に自分を鼓舞して、
走る横を、ぶろぶろと排気ガスを撒き散らして重機が後ろから上がってくる。
路肩に避けるのもシンドイ、まぁ、
平日やから仕方ないわな…。

ジワジワ空が近くなり、
ゴールが近付いてるのが分かると、
ふと右手に有料道路への登り口が現れ、
手前、グッとまた勾配を上げている。

限界だと思っていても、
後少しとなれば何故か踏めるもんだ。

ゴールして、
カサカサになった唇にボトル口を押し込み、ガブガブぬるいドリンクを飲み干す。

…コッシー、いつもこんな坂登ってんのかよ…。

タイムは彼に1分ほど遅れを取った。
まぁ、でもよく登り切れたもんだと自分を褒める。

街へ下りて、
フワフワと走る。大阪へ向かう国道は恐ろしく混みだして、
道のワキをソロソロ走ってると、
29er乗ったオジサマが危ない感じで抜いて行った。

抜き方にもザラっときたが、
抜いた背中も気に入らない。

信号無視するオジサマとは抜きつ抜かれつになり、
この先は淀川大橋、そこでブッチぎってやろうと。

登り坂で加速して、
橋の上はタイムトライアル!

もうその先の信号では追い付いてこないので、勝利を確信して、何しとんねん、と自分に呆れて自嘲する。

ヤギさんの店がそのすぐ先なので、

ヒュッテに顔を出し、
今日の事を話そうとするけど上手く纏まらず、お店が忙しくなってきたのでそっと店を出る。


日がゆっくり暮れ始め、
帰宅し、シャワーを浴びる。

走った後に飲むのは、
最近、コーヒーの炭酸割りが多い。
酸味が拡がって意外に美味いのだ。

夕方。

息子を幼稚園へ迎えに行く。

子供を幼稚園に預けて走りに行った事は恥ずかしい事かも知れないが、
俺の顔を見るなり
トテトテ駆け出して
抱き付いてくる息子を抱きしめ、
素直に、ありがとう、と思う。

おかけで、何か、
自分の中にあったズレを
調律出来た気がする。

こんな親父でも許してくれるだろうか。
抱きかかえ帰路へつこうとすると、
イヤイヤと首を振って逆方向を指差す。

そうか、父さんだけ冒険してきたんじゃズルいわな。

抱っこから彼を下ろし、
その小さな手を握る。

そして二人はいつもよりほんの少し、
遠くの酒屋に、

大冒険へ出掛けたのだった。










関西CX、C3が2倍楽しめるブログ

いよいよ、

今年も関西シクロクロスが始まります。

19世紀の終わりにロードレースのシーズンオフの練習として始まったCX(シクロクロス)ですが、
ロードバイクを始め、マウンテンバイクやBMX、ピスト等、多くのジャンルを生み出した現代。
色んなジャンルのバックボーンを持つ自転車乗りが競い合う様相は言うなれば、
『異種格闘技戦』。

故にコースによって成績がガラっと変わり、勝負の行方が分からない面白さがあります。

今回は、関西CXのC3、
個性に富んだライバル達を自分なりにエンタメ要素含んで分析してみました。

まず、京都からは、
美しい薔薇のジャージで、文字通りCXに華を添える男前チーム、
ShakarikiKyoto。『練習』という概念を
持たず、あくまでライド。それでいて強い、そんなスタイルをピーターパンとなぞらえる人も。

そのShakarikiの哲学を体現した様な2人、
小倉選手(通称オグさん)と三浦選手(通称ミウケン)。
メッセンジャーカルチャーをバックボーンに持つ彼らは地脚の有る走りが印象的。
小倉選手は昨年も数回表彰台に立つ実力者。

長身で紳士的、テクニックをひけらかさず、凛とした佇まいのスマートなライン取りは、品のある京の武家侍を彷彿とさせる。


一方、三浦選手は、言うなれば野武士。

ワルイドであか抜けた走りで某社長にもセクシーと言わしめた、野性的な風貌。
気分屋で成績にムラはあるものの、メッセンジャーとして鍛えられた実力は折り紙付き。


大阪は、
TONICのジャージに身を包む内藤選手。

クロスカントリーをバックボーンとし、
ダートを得意とした走り。
オグさん同様、表彰台の常連で、
アメ村のカリスマ古着屋店主。
性格は冷静。鋭い観察眼と判断力。
経験値、スタミナ、バイクコントロール、メンタルが高いレベルでバランスしていて、
その貫禄の走りは、まさにマエストロ。


自身の店舗で取扱うポートランドの人気ブランドsignal。
そのCXフレーム、クルセイドを駆る
八木選手。

特に何をバックボーンと呼ぶ事も無い程の自転車愛とその人柄で、
カスタムバイクも取り扱うhutteの店主としても親しまれ信頼されている。
その走りは優しい人柄とは打って変わって攻撃的。ホールショットもモノにする加速性と突破力は、
人呼んで『バレット(弾丸)』。


メガネの似合う名古屋の
シティボーイ、前川選手。

ストリートピストをバックボーンとしているファッショニスタ。地元自転車競技界隈では、スタイリッシュな写真を撮るカメラマンとしても有名。
愛らしい雰囲気はさしずめC3のアイドルといった具合だが、
そこは名古屋でピストカルチャーと言えば、サークルズ。
そのチーム、CRCのライダーらしく、丁寧な走りで
昨年の野辺山C3で7/100位の実力。
なにより楽しそうに走るスタイルが彼の魅力。余談だけど料理も得意。女性が彼の胃袋を掴む所が掴み返される程の腕前。


兵庫は芦屋、
ジーパンの人、としてCX界隈ではすっかり有名ライダーとなったC1レーサー、デイブを輩出した、
ハードコアトレイルチーム662。

そのボスである田口氏の秘蔵っ子、
塩湯選手(通称ダイちゃん)が、今シーズン、怪我からの復帰。
モデルの様なルックスの彼は、

ダートジャンプを主なバックボーンとし、怪我以前、
表彰台を数度経験する若獅子。
今期のC3でも当然、優勝候補の一人。


今回紹介したのは6名の選手ですが、
総数80名からなるC3。さらに、
C2から降りてくる速い人達や、
すぐC4から上がって来そうなコッシー(BMX)や、グレ君(ロード)等、
まだまだライバルいっぱい、山盛りで、
盛り上がりは必至。

こんなキャラの強い強豪達に、
KINFOLKチームはどう立ち向かうのか、
いや、チームメイト同士もライバル。
モッツにリベンジを誓うヨッシャン、
どんなに練習しても常に拮抗する永遠のライバルそう君。


とにかく、
全然知らない人でも、このブログで名前覚えて応援しても全く問題ないでしょうし、して欲しいです。
応援するのもされるのも楽しいのが、
シクロクロス。

応援は、前の1台を抜く力になり得ます。

関西CX第1戦マイアミランド戦は
10月26日。
いよいよ開幕です!




関西CXプロローグ2014


『(関西CXの)プロローグ、どうするん?』

嫁が唐突に聞いてきた。

正直、あまり気乗りしてなくて
迷ってたのもあり、
多分出ないかなあ、と答えると、

『じゃあその日はレースより追い込んだ練習するんや。』

そう言われてハッとした。
レースよりキツい練習なんか
出来るワケがない。
そこに重ねる様に、
ヨッシャンからのメール。

「もう全員一緒にエントリーしときましたから」

迷う理由は無くなった。


ー 関西CXプロローグ ー


ざっくり速い組と遅い組に分けられて走る、プロローグ。
他にシングルスピードクラスもあったりして、本戦とは違い草レース色が強い。
とはいえ、関西CXの運営なので、レースはガチ。コースも手強い。

高低差のある河川敷のコース。
晴天に恵まれ、
美しい河川と対岸の山々が気持ち良い空気を醸し出す。

会場に着くと、
VWタイプ2がすぐに目に留まる。
ヤギさん達は到着してる様だ。

その後、662の皆、オグさん達と久々の対面…でもないか。
それでもこのメンツが揃うと、
CXの始まりを感じさせる。

スタートグリッド辺りに降りてやいのやいの話してると、

満を持して、観戦に来たぞー、と
テースケさん登場。

レーパンにビーサンで、
スタートグリッド内で背中のポケットから黒ラベルを取り出しておもむろにプシュすると出走者中にザワメキ。

係りの人にやんわり、
コースの外でお願いします…と言われたその背中に、
もう一本ビールが入ってたのを見て、

…ダメだ、この人には勝てない…

と思った。

そろそろオグさんとヤギさんの走る(C3、4混走)レース。

結果、2位となったオグさんは、
なんとシングルギア。

とにかく、無駄無くスマートな走り。

20台近い周回遅れの車両をスイスイと抜けるあのテクは、やっぱりタダモンじゃないなあ、と、
感心してたら、
すぐKINFOLKチーム3名で挑む、
SSCがスタート。
たった13名の出走だけど、
C1選手やニョロニョロさん、
そしてコッシーと強豪揃い。

ゼッケン順でグリッドの先頭に並ぶ俺に、テースケさんとデイブがアドバイスをくれて、『あの段差みんなパンクしてるから気をつけろ!』と。

りょーかいっす!

パンっ!

鳴ると同じくしてクリートをキャッチ。
まずホールショットをいただく。

が、3周するか否かで1台抜かれ、
段々と差が開いていく。

あかん、序盤頑張り過ぎたか?
めっちゃシンドイ、
そう思った瞬間『右からいきまーす!』

むっ、コッシーか!
あかん、でも着いていけん。

その少し先にある、
腰のフワッと浮く急坂を使い、
BMXをバックボーンに持つ彼は、
高らかにジャンプして魅せる。

それはまるで跳ね馬の様に輝いて、
若さを、力を誇示して見え、

それが気持ちに火を着けた。

このまま引き下がる手はないやろ。

ジャンプの隙に距離を詰め、
ストレートでイッキ後ろに張り付く。
が、
それが悪かった。

距離を詰め過ぎて段差を見落とし、
リムを打つ。

嫌な音がして、すまんコッシー、しょうもない勝負にしちゃったわ…。

路肩に寄ると『あらー、パンク???』と
ジャージの上から黒ブラジャーにパンティを履いた人が声を掛け、メットの上のニョロニョロ揺らしながら走り去って行った。


…さて、どこでコースアウトしようかな、と思ったが、まだ走れそうやな。
リムで。

せっかくお金払って練習ってんなら、
勿体無い。

完走して帰るぜ!
意外にも結構走る。

しばらくして、そう君が抜いてきた。
えらい遅れたな、なんかあった?

と聞くにも着いて行けずに、
せっせ走ると、
次は、

右からいきまーす、と、
女子の声。

…なんか虚しくなってきたけど、
後一周で規定の10周、
ゴリゴリ、
でも練習になる様に、全力で踏む。

路肩にヨッシャン?彼もパンクでリタイアしたとか。
まぁ、パンクして完走とかバカな行いやし、
ビールが美味くなる以外ないわな。

…いや、それ、大事やん。

『おーっと、もう1台、彼もパンクしたまま完走です!』

とMCのアナウンス。

え、誰?
と周回遅れになったその彼と
同時にゴール!

見ると、
以前このブログ見てCX始めた、と言ってくれた彼。

パンクして走り切ったバカバカしさに、
お互いニヤニヤしながら息を切らして、
お疲れ様、と手を振る。

コレはちょっと嬉しかった。

その後は、レディースクラス。

チャンヌ、ついにCXデビュー!
(左奥)
なんとCL1から3までの混走で完走、10位!あの俺のバイクより5kgは重いんじゃないか、ってバイクにスニーカーで、凄い。

速い組は、
なんとナショナルチャンプ竹之内選手が参戦、全選手ラップ。
とはいえ、序盤食らいついたデイブ。
田口さんは今年C2スタートなのに、もうC1選手を脅かす走り。662はホンマにヤバいチームだ。


またひと月後。

みんなに手を振って、
車に乗る。

分かっててパンクなんて
オーバースピードでコーナーに突っ込んだのと同じ。
未熟さと、
見習うべきテクニックを見せられて、

やはり来て良かったと思うし、
そんで、ビールな。

コンビニで買ったハイネケンの栓を、
ふざけてエンド金具で抜く。

今年も頑張ろうな、と
乾杯して、やはり美味い。

オグさんのシングル化、ヤギさんのパワーアップ、コッシーとの再戦。

楽しみは沢山ある。
それでなくても、
やはりCXは面白い。


今シーズンも、
KINFOLKチームとこのブログを、
よろしくお願いします。




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