StreetPistCulture〜PEDAL ピストカルチャーとは何だったのか〜

『20年前は城見で階段とゆう階段は殆んど飛んでましたよ:笑』

と自嘲気味に笑うナゴさんは、
ぽてっとしたお腹と柔らかい物腰から
想像出来ない程のガチのスケーター。

そんな彼が、
『PEDALってビデオ持ってたら貸して欲しいんですが。偶然予告編観て気になって。』

と言うので、もちろん構わないですよ、
と手に取って懐かしくなり、
今の自分の目にどう映るのかも気になって、
貸す前に久しぶりに観てみた。


印象は以前程重く感じないが、
収入が低かろうと家を失おうと、
脚を失おうと、
銀輪から離れる事が出来ない
NYメッセンジャーは、まるで、
自転車とゆう名の麻薬に溺れたジャンキー。
生き方がパンク過ぎてまるで付いていけない。

しかし、自律性と言うか、
自分のルールを皆持っていて、
それは社会のルールすら
意にも介さない、
そんなスタイルを持っていた。

ホントにパンクなんだな、と、

ふと思い出した。
昔やってたバンドの相方との会話。

『お洒落でカッコイイ音楽作ってる人は、皆パンクロックを通過してるんじゃないか?』

それは興味深い話だった。
当時、パンクロックはそれまでの
音楽と全く違ったらしい。

追いかけてた真っ当な価値観を
パンクスにぶっ壊されたミュージシャンからは忌み嫌われたに違いないが、
本質はそこじゃなかったと思う。

ファッション的でありながら、
反体制であり攻撃的。
そのイリーガルでエモーショナルな
サウンドやファッションの美学を
理解出来るか否かが境界線。

どうにも、
パンクを通過してる人達はジャンル問わず、
センス良く、
格好良い物を作る気がする。


DVDに出てくるメッセンジャーは、
自分達でバッグを作ったり、
服を作ってみたり、

そのDIY精神はこじ付けじゃなく、
革ジャンに鋲打ったり、
ステンシルでバンドT作るその感じにも似ていて、

なるほど、

ピストカルチャーとは、
自転車界のパンクロックだったのかもな、

と1人頷いてみる。


もう、
二度とピストムーブメントは来ない。

社会的ルールに法って、
清く正しく走る事は本質的にストリートピストカルチャーとは全く違う。

だからもう二度とその文化は来ないし、
来なくていいと思う。

でも、
お国が本腰上げて制裁を加えるくらい、
それは確かにあった。

その事実を示す様に、
ファッションや、
精神だけ残れば良いと思う。


ビデオのクライマックス、
『モンスタートラックレース』が始まる。

街中のチェックポイントを廻るアーレイキャットレース。
ルールは、
『ブレーキを付けない』だけだと。

最近、
嘘でも自転車競技を始めた自分は、
冗談じゃない、と思う。

きっと、ナゴさんが観たら思わず
笑ってしまうだろうな。


それでも自分も、
そんな文化を否定出来ない。

むしろ、
イリーガルな文化に
僅かな憧れを感じる少年の様な心を、

そんな自分を、
今なら肯定出来ると思う。




淡路島グルメライド2014

黒く、
低い雲の下にずっといるみたいだ。

今日明日では解決しない問題を
抱える事になった。
逃れられない重圧はジクジクと
内臓を刺激して、
視界から色彩を奪う。
それが大人の責任だと
割り切ろうとしても僕は、

ずっと、
黒く、
低い雲の下から抜け出せないまま
週末を迎えた。


KINFOLKチームで淡路島一周する予定だったが、
諸事情で120kmのグルメライドに変更。

辛い山岳地帯をカットした平坦基調のコースにした。

水仙郷に行きたかったが、
それもいい。

何かから逃げる様に、
休日、早朝の扉を開く。
ぼーっとしたまま、四つ橋筋に出ると、
背後から元気な声。

『モッツさーん、信号無視しちゃダメですよー!』
咄嗟にブレーキレバーに指をかける。

あ、と、振り返ると、
BREADWINNERを駆る
ナイトーさん。


ゆるい感じで会話しながら
途中まで一緒して、
今から練習に行くとの事で、

ほんま、皆チャリ好きなんやな、
と苦笑して別れ、大阪駅に向かう。


輪行すると、
よくおじさんに声を掛けられる。
『それ軽いの?』と聞かれ、まぁ
そうでもないですよ、持ってみます?
とおじさん、軽く持ち上げて、

『ほー、なるほど』

て、どうやねん?!(笑)。

ところで着替えを持ってきたワケだが、
ヘルメット被ったままジャージ姿で輪行出来る自分には、最早着替えが必要ないと気が付いてしまった。

2人と合流して、フェリーに乗る。
この時間はいつも楽しい。

山の向こうに大きな雨雲が見えた。まぁ、この際少々降っても構わない。

淡路島に着き、ロッカーに荷物を入れ
早々に出発。お金と、
ワイヤーロックにパンク修理道具。
それだけジャージに詰め込んで、
走り出す。

ジャっ、とタイヤが路面を擦る音が気持ち良い。

トレインを組み、
やや緩めのペースで洲本まで走る。
南に下るこのルートは何度走っても最高だ。

しかし、
信号待ちで足を止めては、
仕事の事を考えてしまう。

今考えてどうなるワケでもないのに、
意外とクヨクヨしてるもんだな、

と、嫌になる間もないウチに、
また走り出す。

登坂だ。6%もなさそうだが、
交通量もあるし、路肩も狭い。

下ハンに握り変え、
一気に加速する。

アドレナリンが噴き出てるウチは、
余計な事を考えずに済む。

『洲本警察行きましょうよ』

とヨッシャンの提案で、
行ってみると、
まぁあん時はあん時で大変だったな、と自嘲する。

ひとまず、
去年はお世話になりました…と、

早く美味いモン食いたいな、
福良港へ急ごう、
とペースを上げる。

補給食をかじりながら、
心拍170くらい、練習速度より
やや落ちる程度で走り続ける。

ワケあって重ギアの固定で参加したソウ君が、
下りでマッシュみたいに脚が回ってる。

頭の中でシンバルとパワーコードが鳴って、イアンマッケイのシャウトが聴こえる様だ。

ちょっと懐かしい感じもしたが、
ピストはやっぱカッコいい。

福良港到着。

ヨッシャンお勧めの店は
海鮮がわんさとあるが、
勿論、旬な生しらす丼。加えて、
三人でつつこう、
と単品で釜揚げシラスも注文。
突き出しにチリメンジャコが出てきたので、
図らずとも『シラス尽くし』となった。


つるりとした生シラスにタレをかけた丼をかっ喰らうと、口の中でプチっと潮の香りが弾ける。
これは…ビールが欲しい。

釜揚げシラスはふうわりと柔らかな甘みを、搾ったスダチが爽やかに引き締める。
これは…ビールが欲しい。

旨味をぎゅっ、と凝縮した様なチリメンジャコを摘まめば、
これはやっぱり…

『この店、ヘベレケになれますね』

ソウ君が壁面に貼りつけたメニューを見上げて言った。

サザエやタコや、アナゴ…
淡路島といえば、牛肉や玉ねぎのイメージが強いが、
海の幸も本当に豊か。まさにグルメの島だ。
こんな時は、
ノンアルコールビールの存在に感謝してしまう。

そこから目と鼻の先、
ジェラード屋、G.ELMがある。

当然色んな種類の味を選べるが、
ここでのお勧めは、しぼりたて牛乳。
濃厚なミルクの風味がさっぱりと口の中で溶ける味わいは秀逸。

北からしっかり踏んできたなら、
これは完璧に美味くなる。
やはりサイクリストは多く立ち寄っていた。

水を補給して走り出す。

ここから西側まで走り、
ヨッシャンが見学したいキャンプ場があると言うので、そこを目指す。

海岸沿いのキャンプ場『FBI』は、
ちょうど、以前イクジや前田さんらと泊まりに来たログハウスの近くに在った。

ティピーも設置された、美しいビーチ沿いのキャンプ場には、ウッドデッキ付きのビーチハウス。これは民家をリノベーションしたそうで、なんとも味のあるシャレた風合い。


レモネードを飲みながら少し休憩する。

『アワイチライド、楽しいんですけど、一周して疲れ切って帰るだけ、ってのはなんかいつも勿体無いって思ってるんですよね。』と、
ヨッシャンは続ける。

『淡路島はもっとイイトコ沢山あるし、淡路島を堪能出来る様なイベントとか出来たらいいなと。』

なるほど、と思う。
確かに自転車の練習場にしてしまうには、あまりに勿体無い気もする。


ゴールに向けて、また走り出す。

緩いペースで走ってると、
また、
憂鬱な現実を思い出してしまう。

まるで、
自らそのわだかまりを確かめる様に、
触れる。


ー 無くなってくれていたらいいのに ー


ペダルを踏み込んだ。

回す、と言うより、
文字道理、真下へ。

淡路島西海岸にある幾つかの登り。

ダンシングで加速する。

雲は切れ、
西日が海面をスワロフスキーの様に
輝せる。

ヨッシャン、着いてこれるか?

急な加速に遅れをとる後ろの2人。

しかし、次の坂に入る頃には
すぐ後ろに居た。

よし、それならと、
坂が来る度少し引き離し、
結局また追いつかれる。

そのウチ完全にドラフティングに
入られる。
心拍は180を超えていた。

そこからはもう先頭交代を繰り返し、

最後数キロ、
ヨッシャンが一気に1番後ろから抜いていく!


心の中には依然として暗雲が広がり、
ワダカマリは、

ちゃんとある。

楽しい事で、
全て忘れて晴れやかになれるワケが
ないし、それでいい。

明日になれば現実と対面する。
大切なのは、
それを乗り越えて行く勇気。

踏み込んだペダルが、
死にそうな程心拍を上げる心臓が、
それを思い出させてくれる。



ゴールの道の駅へ向かい逃げる
ピンクのフレーム。

負けるか、とゴールに向かって、
僕はもう一度ペダルを踏み直した。





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