突風の和歌山バンク その2
『気持ちが折れると知らないうちにバックを踏んでしまってる。
かたや、
前を走るヤツは勝つ気で走ってるワケやからおもいっきり差が開いて、
もう追い付けない。』
天候の回復を待つ間、
藤田さんの話を聞き、ナルホドな、
と思う。
『だから、気持ちで負けたらダメなんや』
と藤田さんは話を締めた。
皆、出走の準備を始める。
いざ出走者を募ると結構な数。
みんな競輪がしたかったんだな、
と苦笑して、
2グループに別れ、
金網からスタート。
先頭前田さん、二番手にソウ君、俺、
その後ろは見てないが、
全部で8台くらいだったか。
先導車が周回してきて、
それに引っ張られるようにスタート。
やはり4コーナーを上がりしな、突風が来る。
1週目は様子見し、3番手で風圧を避ける。
2週目後半からもう真横に上がってきたヤツがいる。
「アンカー」と言うフレームに乗った若者は俺の右側に付けてきた。
このままでは前を走る車両を抜けずにアンカーの先行を許してしまう
事になるだろう。
作戦を考える。
ここはゆっくり後退して、先導員が離れる100m手前の4コーナーで、
バンクに上がりきり、
そこから一気に抜き去って、ゴールだ。
作戦どうりに4コーナーに入り、軽くバックを踏んでから、
ラインの外側、バンクの高い位置へ。
ちょうど先頭グループを上から見下ろす格好だ。
この位置で、今は先行を許せばいい。
そして、先導員が外れる瞬間、
その真横を最大加速で追い上げ、トップに出るんだ。
作戦どおり、
先頭グループがやや先行した頃合いを見計らって、
一気に坂を下り加速する。
先導員の速度で走ってる先頭グループを、
最大に加速した俺は一気に抜き去る、
抜き去るが、
まだ先導員が外れない!
先導員と並んだところでジワリとバックを踏み、
速度を殺す。
「〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!」
まだかっ、
まだ、
ほんの数秒の事が長く感じる。
外れた!
まだ加速は死にきってないはず、
あと「1周!」、もがけぇっ!
しかし、待っていたのはすぐ後ろにいたアンカー君も同じ。
一気に飛び出してくる。速い。
だが、その後ろから、さらに速い若者が!!
俺はアンカー君を抜くが、
その若者はさらに俺を抜こうと迫る。
彼の前輪が右手前に見える。ヤられたか、
いや、まだ心は折れてない!
「ふんぬぅ〜〜っ!!!」
俺は叫ぶ。
応える様に若者も、「うおお!」っ、と吠える。
ゴールラインをきる、あと一歩届かない、くそっ!
そう思った瞬間、
抜いたハズのアンカー君とすぐ後ろにいたソウ君が、
ごうっ、と音を立て俺を抜き去る。
あっ、
・・・・まだあと半周あるんだった・・・・
焦って必死でもがくも4位。
かたやソウ君はそこからまくって2位と健闘。
ネジが一本外れた様な日がたまにある。
朝、「素人みたいな事を(笑)」と、
電車を間違えた俺を笑った
前田さんの言葉を思い出し、
まぁ、こんな日もあるか、と納得、
・・・・出来る訳がない。
とにかく、
馬鹿なミスはもうしないぞ、と誓い、
いつもの和歌山ラーメンを啜った。
- 2012.03.30 Friday
- Bank
- 01:33
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- by もっつ