犬鳴山チームライド


…けんめい、さん?…


「違いますね、イヌナキサンです。」


山道の看板を

息絶え絶えに読み間違えた僕に、

同じ様に息を切らせて

ソウ君が訂正を加える。


その日、僕らKINFOLKチームは

ソウ君の店に程近い、

泉佐野は

犬鳴山山域を走っていた。


落ちた松葉が昨夜の雨で濡れ、

路面はベタベタ。グリップは悪く、

斜度10%を超えるあたりのグレーチングでウッカリ踏み込んでしまい、

後輪はギュルんと空転してみせた。


突然のスリップに、

おっと、と驚く僕をハハ、と

力なく笑うソウ君が、

犬鳴山の名前の由来を話し始めた。


「昔々、この山に愛犬と鹿を狩に来た猟師がおったが、

あまりに犬が鳴くので獲物が逃げてしまい、

頭にきた猟師は愛犬のクビをはねてしまったそうじゃ。

じゃが、その首はそれでも跳ね飛んでいき、今まさに猟師に襲いかかろうと隠れていた大蛇にガブリと噛み付いた。

そこで命を救われたと気付いた猟師は、


おぉ、なんと取り返しのつかない事を、ワシはしてしまったんじゃぁ…ほんに、ほんにすまん事をした…と悔いて、


この山の僧となり愛犬を供養した。それを聞いた偉いお方が感動し、

この山をイヌナキサン、と名付けたという事じゃ…。」


と、日本昔話の様な話しを、

ザックリと説明してくれた。


しかし昔話ってのは今の感覚では

命の重さが随分軽い気がするな、

なんて話しながら、


まだ早朝の朝靄の中、

もがく様に僕らは山頂を目指す。

ヨッシャンが遅れていたので、

少し待つと呻く様に膝の痛みを訴えながら登ってくる。


どうやら膝の外側が痛いらしい。


僕はまだまだ初心者気分が抜けないのだけれど、

膝の痛みだけは、上、裏、外側、と三箇所きっちり味わった経験がある。


上と裏に関しては、サドルが低すぎか高すぎか、という所で概ね治り、

外側はクリート位置と膝の下ろし方で治る、というのが経験から得られた印象。

とはいえ、一度痛くなってしまっては休息する他無いので、

ヨッシャンの膝が爆発しない様にソウ君がルート、ペースを変えながら案内してくれる。


そんなソウ君の気遣いも何のその、


僕だけ気持ち良さげな道で1人ピューッと駆け出してしまい、ハッとして2人を待つが、来ない。

駆け出した位置まで4キロ程、

とりあえず戻って探したが、


居ない。


ヤバい、迷った。


と思った頃、ソウ君から着信。

ヨッシャンの膝を庇ってショートカットのルートに入ったとか。


結果二人を待たせて合流した。


コレ、昔話の世界なら苛立つソウ君にクビはねられてる所やな(笑)、

と、

言おうとしてやめる。


そこからの気持ちの良い高速コーナーを

三人で快走。


スタート地点のソウ君の店に到着し、

その後皆予定もあるし、

早々に解散する。


輪行で帰る電車の中でふと思う。


トレーニングの様に走るのも、

サイクリングとして走るのも、

僕にとっては同じ様に苦しく、

そして楽しい。


もし楽しさに差があるとすれば、


誰と走るか。


獲得標高でも、

消費カロリーでもないライドは

いつも特別で、

偏る僕の頭をニュートラルに戻す。


それが僕にとっての

チームライドなのかも知れない。












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