東京サイクリング


「うそうそ、ホントに思ってないから言えるんじゃけん…」


「…かわいいと思っとお…。かわいい…。これは本音やけ」



…サイクリングロードってのは、

真っ直ぐだと思い込んでボーッと走ってると、

思わぬ所で行き止まりにぶち当たってしまう。


でも、その行き止まりに関して言えば、


ガードの向こうに芝の伸びた見晴らしの良い小さな丘があったので、

ガードを跨いで写真を撮ろうとしていると、


丘の下から、

こっちが赤面する様な、

先のカップルの会話である。

見てはイケナイ物でも見るように、

脇の下から覗き見た彼らは、

日焼けピクニックをするカップル。


1人は短髪でビキニパンツのマッスルガイ。

もう1人は対称的に線の細い、男性。



…その時僕は感じたんだ。


東京の「自由」ってヤツを…。



荒川サイクリングロードは、

野球少年達とサイクリストでごった返し、

まぁ、走りやすい歩道、くらいの感じで、ビュンビュン飛ばすには時間帯を選ぶ必要があるのだろう。


走る先々に野球のグラウンドが広がってるのは、大阪の河川敷も同じで、


あらためて日本人の野球愛の深さを

痛感しながら、

全国どこの河川敷にもある様な、

サイクリングロードをひた走る。


短期の東京出張にわざわざロードバイクを持ってきたので、

宿舎から遠くない荒川サイクリングロードの起点へ向かい、


当て所なく走るのもどうかと思うので、

今回はネットで調べたコースをトレースする事に。


荒川サイクリングロードから入間サイクリングロードへ、

そのゴール手前で逸れて「サイボクハム」で昼メシにトンテキを食らうルート。


ざっくり片道80km、

往復しても160kmくらいか、と

走り出したものの、

あまりにもサイクリングロード然としていて黙々とクランクを回し続けるだけの道のり。


前週に、

都内に向かって観光がてら走りに行った時の方が、楽しかったかも知れない。


その日は、

LUGに飯食いに行こうと走ると

お店は引越し中。

ちゃんと調べて来なかった自分に苛立ちながらも、


それならという事でRapha東京に。

ここで食べたTDFサンド?がメチャクチャ美味くてスッカリ機嫌を良くし、

偶然通りかかった皇居周辺で行われていた、

パレスサイクリングという、

皇居周辺道路を一部自転車専用道とし、

サイクリングコース化するイベントに混じってみた。


道端ジェシカみたいなトライアスロンな女性ライダーや、貸し出しされてるタンデムバイクに乗る若いカップル、

家族で自転車を楽しむ人々など様々。


その中でガンガン飛ばすローディーの方が場違いな気もしたので、

それなりにスピードを抑え、距離を稼ぐ方向でグルグル走ってると、


カーボン製のロードバイクばかりの中で一際目立つスチールのフレームを見つける。


アーミーグリーンの、カラビンカだ。

飛び抜けてオシャレな感じがしたし、

INSTAでいつも見てるホンザキ氏かな?


でもまさか、この大東京でそんな偶然あるだろうか、という気がして、

声をかける事なくスッと前に出た。

(後でご本人からインスタで連絡を貰いました。)


皇居周辺という事で、

道は綺麗だし景色も良く開放感もある。

何よりこんな都市のど真ん中で自転車専用道なんて、

非日常感が気持ち良い。



そう、

今こうして走るサイクリングロードにも、

確かに非日常感はあるのだけれども。


そう言えば、

すれ違うロードバイクに乗る人に、ヘルメットを被ってない人を結構な数見たと思う。

これは文化の違いか、分母の違いか。


僕自身、ヘルメットに救われた経験が何度かあるので、怖くないのかな、とは思うけれど、

それがスタイルであれ何であれ、

他人がとやかく言うモノでもないし、

そういうのは好きじゃない。


そう、

東京は自由…。



荒川サイクリングロードから入間サイクリングロードに入ると、

幅員は狭くなり、

サイクリストもグッと減る。


暑さで参ってきて、

水といっしょにジュースも買って、

ゴクゴクとその場で飲み干し、

水は水でボトルに入れるけれど、

夏の陽射しがボトルを温めてしまって、

買い足した水はすぐヌルくなってしまう。


サイクリングロードを逸れて、

サイボクハムの近くまで来ると、

なるほど、東京も少し走ればそれなりの田舎町に到達するんだな。

そう感じて間も無く、

目的地、サイボクハムに到着。


なんだか腹は減ってるのに食欲がない。

正直、

肉とかハムとか、

ムッとする。


が、

目の前に現れたトンテキとハム。

とりあえずカブリつくと、

甘く香ばしい肉汁が

じわっと舌を包んで、

一気に食欲を思い出させる。


コレはビールしかない、

と、

慌ててノンアルコールビールを購入したがコレはまぁ、

やっぱあんまり美味くないな。

でも、

いかに東京が自由とはいえ、

流石に飲酒運転はマズイし。


ここら帰路、80km。


とりあえず残り数キロでサイクリングロードはゴールなので、そこまで行ってみたが、


何もなかった。


予定通り、折り返すか。


でも国道で真っ直ぐ帰ったら50kmほど。


…やっぱ、

真っ直ぐ帰るか。


そう、東京は自由なんだからね!


特に面白くも何ともない、

ただ都心へ向かうだけの国道を、

信号で捕まり、

車に邪魔扱いされながら、

僕は黙々とペダルを回す事に。


水の飲み過ぎで腹はポチャポチャしてるのに喉ばっかり渇く。


たまらず自販機でキレートレモンを買う。爽やかな酸味が恋しい。


って、よく見たらキレキレレモンて買いてあるやん!甘っ!

フザケやがって…!


類似品と本物の見分けもつかない程の渇きを潤せるのは、


やっぱりビール。ビールしかないで…。


日も暮れはじめた頃、

誰も待たない宿舎に到着。


近所のコンビニで買ったビールに

早速指を掛けそうになったが、

その手をそのまま冷蔵庫へ入れた。


まだだ。


ここで焦って飲まない。

大人は堪える事で幸福感を跳ね上げる術を知ってるモンだ。


シャワーを浴びて埃と汗を流し、

そこで初めて脚にキテる事に気がつく。


部屋着に着替え、

せっかくだ、グラスも出そう。


誰が置いてったのか、

これは中々良いグラスだ(多分)。


冷蔵庫から出したビールのプルトップを

僕は勿体つけずに引いた。


『パシュッ』


小気味良い音が、鼓膜を震わせ

耳小骨を伝う。


グラスに注いだビールをンぐンぐと飲み干して、

誰ともなく「うまい」と呟いた。


誰にも縛られず、

誰も知らない街で暮らす事が

自由だと思ってた頃があった。


自由とはなんだ。


クタクタに疲れた脚。

飲み干すビールの喉越し。

舐め回すように今日のログを見つめる時間。


誰かと比べる事もなく、

比べられる事もなく、


達成感と、

自分の事が少しだけ

好きになれる時間がある。


好きな自分でいられる事こそが、

きっと自由という事で、


東京ってのは、

そんな人が沢山集まる街なんだろうなと

ボンヤリ思いながら、


ソファの上で僕の意識は溶け落ちた。










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