よみがえるBB

『触るほど、知るほどに好きになりますね、クリスキング。』

そう言って、
細かな砂利がシールの溝に噛み込んで、
シールの飛んだタマタマ丸見えのBBを
オーバーホールしてくれる高橋くんは、
ムーブメントのメカニックで、
現役のロードレーサー。

部品代と工賃を聞いて、
それなら新品のS社の
ええヤツ入れた方が安いのでは?
と思うトコだが、
高橋君は、治るならクリスキングの方が良いと言う。

同じ様に見えるBBでも、
シールドの構造が全く別物らしい。

ムーブメントが企業努力で
急遽用意してくれた
メタルシールの薄さにも、
彼は嬉しそうに驚いていた。

材質や製造精度も当然だろうが、
多分それだけじゃないんだろう。

グリスを落とした状態で回しても
軽く回る。

注油したらもっと廻りますよ、

と、
黙々と組み付けてくれる。

彼は随分と若いのだが、
やはりなんというか、
現役レーサーが言う『良い』ってのは、
それだけで信用出来るし、
静かな物腰で一つ一つ
丁寧に作業してくれるのも嬉しい。

組み上がったクランクを廻して
驚く。

以前より廻る。明らかに。

なのに、
シールの当たりが出るまで多少抵抗が
あるとか言うし、どんだけ廻んねん、
クリスキング…。

新品の2、3千円のBBではこうはいかないだろう。


モノグサな俺がノーメンテで3年乗って
シクロクロスでガリガリに使ったBBは
若い彼の手によって、
本来の回転を取り戻す。

正直、シールドベアリングなら
クリスキングでもヌメッとしか廻らんのやなー、確かに滑らかやけどー。

と、知った風に納得していた。

礼を言って店を後にし、
天王寺からの坂を下る。

廻る。

それは、
ベアリングの性能か、
組手の技術か、
巨匠が調整してくれた
カップアンドコーンの回転を思わせた。

DIYが大好きな自分だが、
機械の持つ能力を最大に発揮したい
なら、やはりプロに任せるべきだ。








コメント
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  • -
  • 2019/01/12 8:58 PM
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