仕事と自転車


「…またかよ」


つい、僕は声に出してしまった。

他に誰もいない、葛城山の山中で。


何度も繰り返すつづら折りに、

さっきココを通ったのではないかという錯覚にすら陥った。


くだんのKINFOLK オーナーズミーティング、最後のチェックライドをしてる最中で、葛城山へ入るなり僕はソウ君を出し抜いて加速、

タイム更新を狙ったその30分後の話だ。


梅雨のうだる暑さと繰り返すコーナー、

集中は薄れ、ぼうっと仕事の事など考えてしまう。


先日、辞令があり、

僕は昇進、そして後輩を

今の僕のポジションへ昇進させる、という話。


その後輩は過去、このブログにママチャリ魔改造の件で何度か登場してる旧知の中だけど性格が違い過ぎて、

僕の仕事をとりあえずトレースする事にすら不満気だ。


二言目にはそれなら辞めると。


辞めたいならヤメろ。

代わりはいるさ。


僕はそんな苛立ちに任せてペダルを押し込んだ。


確かこの先は、

少し平坦で次のコーナーで一旦登りきるハズだ。


そのコーナーを曲がって軽い絶望。

また同じつづら折りが続く。


マジかよ、こんなキツかったっけ…


それでも、途中何台か抜く。

抜くと一瞬、

自分が速いような気持ちになるが、

そんなワケはない。

自分より速い人は確実に前を走ってるワケで。


あぁ、そうか、

アイツは追い付いてきたんだな。


特に理屈もなく、

僕はそう思った。


先日、彼に自転車の整備でネジをナメたって話をすると、

「モッツさんは機械弄りのセンスがないんでしょうね笑」なんて、リッターバイクのエンジンも自宅でバラしてしまう機械好きの彼は笑っていた。


僕は、サドルから尻を持ち上げた。


心拍は180を超えている。


どう考えても機械弄りじゃ彼に敵うと

思えない。


僕は何を思い上がっていたのか。


たまたま、僕が先を走り、

ラインを作っていただけの話。


得手不得手が違えば、

当然ラインは変わる。


引き継ぐ事は、

絞ればたったひとつ。


ゴールラインの位置を教える事。


他にはない。


葛城山の登頂ルートは、

一旦ゴールと見せかけてからの最後の

アップダウンがキツい。


その、最後の坂で穏やかにツーリングしてるロードバイクを数台抜いた。


最後の坂、僕は速度を落とさない。

そのまま登り切り、

山頂が見える。

そして、

僕は何故か拳を上げていた。



…気分がいい‼



うだる梅雨の空気を切り裂いて、

山林から真っ青な空が僕を睨んだ。


いつの間にかショウモないプライドに

囚われていた僕を、

気が付けば追い越していたようだ。


ソウ君がくれたレモンケーキを齧ると、みるみる体力が回復する。

大切な事はいつも、

自転車が教えてくれる。


いや、きっと自分を思い知らせて

くれるならなんでも良いのだろうけれど、


教えてくれるのだ。


矮小な自分を。


それでも前に進める、


自分を。










ブレーキシュー交換(カンパニョーロレコード 2010)

僕のロードバイクはホイールに、

シャマルミレというカンパニョーロ製のアルミハイエンドモデルを使っているのですが、


スポークの太さや組み方、何よりリム面までブラックアウトされたルックスが気に入っていて、月間500kmくらいの走行でかれこれ2年以上使ってますが、目立つ退色や色ハゲもありません。


割高な上、寿命も短いと言われる専用の青いブレーキシューもようやく交換時期という感じで、乗り方にもよるでしょうが噂される程削れるとも思いません。


とはいえもう流石に交換時期。


ブレーキシューを交換してみます。


2011年以前のカンパニョーロレコードのブレーキシューは、

なんと船に挿してあるだけ。

パーツクリーナーでカスを飛ばして、反対側からラジオペンチで摘んでにゅ〜っと抜くだけです。

すっごい楽にというか、

気持ち良く抜けます。

嵌める時もしっかりパーツクリーナーを船の中やシューに拭いて、

指で押し込むだけ。またしてもにゅ〜っと入っていくので、なんだか癖になりそうです。

この様にして交換する事で、

角度調整ナシでシューを交換出来るとの事。


作業しやすい様にホイールは外した方がいいですが、船を外したり付けたりするより随分楽だと僕は思います。


近年のカンパニョーロで同じ事が出来るか分からないのですが、

2011年以前のカンパニョーロを使ってる方は、一度この取替え方を試して頂きたいです。









KINFOLK Ownersmeeting の御案内

KINFOLKというブランドについて語る立場にあると思わないのですが、


いちオーナーとして思う事は、

このブランドを選ぶ人の印象として、


美意識が高い人、

サブカルチャーに傾倒してる人、

常にアンテナが高い人、

自分のライフスタイルを確立している人、

などなど、

自転車だけに傾倒していない人が多い様に感じます。


そして、それはおよそロードバイクを速く走らせる為に必要な要素ではないでしょう。


しかし自転車を楽しむ為には

重要な要素だと僕は思いますし、


そんな風に

自分のスタイルに馴染む自転車を求める人にこそ、オーダーフレームの必要性を感じます。


そんな事を考えていると、元々人が好きな僕は、

同じKINFOLKのフレームに乗る誰かに会ってみたい、共に走ってみたい、と思ってしまうのです。



KINFOLKオーナーズミーティングを開催します。


2018年、7月15日。


KINFOLKのオーナーの方は勿論、由縁、ご興味ある方であれば、誰方でも御参加頂けます。


大阪泉南、初夏の香りが漂う山々を、険しく美しい葛城山を息を切らして走りきり、良い感じにクタクタになったら、

夕暮れ、少し早目にソウ君のお店、

ビストロリュドラガールの本格フレンチで乾杯しましょう。


KINFOLKBICYCLEのヨッシャンからは、KINFOLKオーナーには垂涎のKINFOLKクラシックデカール等、

ここでしか手に入らないプレゼントや

景品、そして、


ライド前のモーニングコーヒーもご用意しています。


【集合場所】リュドラガール 〒590-0403 大阪府泉南郡熊取町大久保中2丁目28−6【集合時間】7/15 集合9:30スタート時間 10:00〜フィニッシュ時間 15:00頃 ディナースタート時間16:30終了20:00【参加費】7000円(消費税、お食事代(ソフトドリンク含む)が含まれます。アルコールはキャッシュオンになります。ライド中の飲食代等は含まれません。)【参加資格】自転車保険に加入している事。

【参加方法】

下記URLよりFBページで参加表明くださいます様、お願いします。

お問い合わせも同ページにてよろしくお願いいたします。

https://www.facebook.com/events/597129507396160/?ti=icl


コースは、70km、1500upといった所で、どなたでも楽しんでもらえる様なライドにしたいと思っています。


関空から橋を渡ってすぐと、

遠方からのアクセスも比較的良いと思います。


ぜひ御参加ください。

日常から逸脱した時間を、

共に走れたら、と思います。







シャモアクリームノススメ


自転車は、人が跨がる様には出来ていない。


いやそんなワケはないのだけれど、


男性のサイクリストであれば、

どんな高性能なレーパンを履いていたとしても、一度や二度は、

そう感じた事もあるのではないだろうか。


上手くいいポジション(GBP)に収まってくれず、


ゴリゴリと、


ゴリゴリとして、

とても全力でペダリングなんて出来ない、そんな時もあったのでは。



先日、ライド前の着替えでヨッシャンが

、使ってみます?とアソスのシャモアクリームを差し出してくれて(二度つけ禁止)初めてシャモアクリーム、これはサドル擦れを防ぐ目的の物と聞いていて、あまりサドル擦れ等はしないタイプの僕は必要無いと思い込んでいたのだけれど、大変調子が良い物だった。

ちなみに使用感は、メントールな、

スッーとヒンヤリで若干刺激的だ。


まさかと思い、

以前試供品で頂いたraphaのシャモアクリームを使ってみる。


やはり、そうだ。

あのゴリゴリ感がない。


男性の股間にぶら下がる、

2つの、

戦車に例えるなら、砲塔と車体だ。


戦車を戦車たらしめているのは間違いなく砲塔で、その格好良さに異論はないと思うのだけれど、

砲塔が吹っ飛ばされても車体さえ無事なら生還出来るので、やはり車体だけは守らなければならない。


その男性の股間にぶら下がる車体側の表面は殆どの場合滑りが悪く、

言って見れば萎んだゴム風船の如くシワシワと内股にまとわりつく。


そこで、シャモアクリーム。

raphaのソレは刺激は少なめで高級化粧品の様な良い香り。

適量指に取って、内腿と会陰に塗り込む。するとどうだろう。


萎んだゴム風船は、

ぷるんぷるんのゼリーの様に、

つるつると然るべき場所へ移動する。


ゴールデンボールが

ゼリーボールになった、まさにそんな風で、

僕はシャモアクリームを誤解していたと悟った。


しかし改めてシャモアクリームについて調べると、

正しい使用法はおろか、感想すらもどこか恥ずかし気に書かれている。

自転車と人の重要な接点という目を逸らせない部分でありながらプライベートな事情がたんと詰め込まれた厄介な部分だけに、羞恥心に負けて皆本当に伝えたい事を伝えきれてないといった様子。


女性に関してはサドル擦れの事だけしか書いてないかと思いきや、

やはり恥ずかし気に書かれている印象なので、きっと何か赤裸々には言えない有効性があるのだろう。


そんな誰もが恥ずかしい中で、

シャモアクリームを作った人は天才だと思うし、それを高級化粧品のレベルで商品化したraphaに僕は敬意を表したい。


もしこの商品に分かりやすいキャッチコピーを付けるとしたら、


「金玉、もう大丈夫。」


とか、


「金玉、気にならない、夏。」



などが、相応しいと思うし、

ゴリゴリに悩んでる方や、

良いレーパンを使ってる方には、

ぜひお試し頂きたい。









肉vs肉

ヒルクライムにおいての体重は、

タイムに顕著に表れる。


なので、

太ってしまうと記録更新は絶望的だけれど、

そんな事は御構いナシに、記録ポイントのある変電所までは必死で踏む。


葡萄坂は好きな峠だ。


勾配がキツい所もあるけれど、

変電所までは一気に登るには丁度いい距離だし、登り前半は街を見下ろせるので、グングン登っていく気持ち良さがある。


変電所から奈良側に少し降って登り返し大阪市内に戻るこのコースは、交通量も少ない上、気持ち良く速度が乗る下り、そして、

度々現れる登りがまた良い。

そして十三峠を奈良側から降る。


ちょうどお昼も過ぎたので、

そろそろ昼食を摂りたい。


十三峠の麓を出て国道沿いすぐにあるオシャレ自転車カフェ「FRANCY JEFFERS CAFE(FJC)」。

インスタグラムに特化した、店内も、食事も、何をどう撮っても写真映えするカフェ。

これはもう、インスタ映えのインスタ映えによる、インスタ映えの為のカフェと言っていい。


でも食事代が少々強気で、

前回訪れた時は、

コーヒーとハーフサンドのセットで1260円と言い渡され驚いたのだけれど、

最初から分かっていればどうという事はない。


それに、値段に恥じない味とサービス。トイレすら高級ホテルのようで、居心地としては満点だろう。


軽いライド時でも現金2千円くらいは携行してるワケだし、たまのソロライドにちょっとくらいの贅沢はツキモノだ。


そんな気分で、

久しぶりにFJCに寄る事にした。


カウンターでメニューらしきモノを探すと、真っ先にボリュームのあるハンバーガーセットが目に入り、

デカデカとコーヒーセットなら100円引きと書かれているが、肝心のセット価格を見つけられない。


だけど、レジでまごまごしてるのもカッコ悪いし、1500円くらい覚悟しとけば少々足が出ても別に構いやしない。

僕はスマートに、ハンバーガーセットでコーヒーもお願いします。と、注文。

首元のジッパーを少し下ろし、

フッ、と小さく溜息し会計を待つ。



『ではセットで…2160円になります。』



…なん…だと…?!


峠で流した汗とは明らかに違う何かが

サイクルキャップを湿らせる。


二千円は、強い。

強気、なんてモンじゃない。


てか、コーヒー100円引きって、

その割引き率、お得感あります?!

そもそも現金二千円しか持ってないやん…


…いやまぁいい、焦るな、

そうだ、こんな時は現金じゃなく、

カードだ。クレジットカード。


現ナマよりクレジットカードは心理的ダメージが少ないって、何かに書いてあった気がする(カード破産への道 著:角 破沙夫)。


僕はカードで支払いを終え、それでも

広い店内を落ち着き無くウロウロしながら、

僕が一国の首相だとしたら、

ビッグマックセットを引き合いに出されて世間から糾弾されているに違いない、などと考えていると、

呼出ブザーが鳴り、どうやって食うのか分からんデカイバーガーが眼前に現れる。分けて食う人もいるというが、

席についた僕は雑念を振り払うように、

両手でガッシとバーガーを掴み、齧れるトコから食っていくスタイルで挑む。

だってハンバーガーなんだもの。


重ねたハンバーグからベーコンがベロンと舌を出している。

まさに、

肉vs肉。カリカリの香ばしいベーコンにジューシーなハンバーグ、

特筆すべきは、完璧な加減で火を通した玉ねぎの輪切りがまんまゴリっと入っていて、

とにかく甘い。ライドで失われた糖質を玉ねぎで補給する。

甘く、ジュワッとしながら、ショキショキとした食感がたまらない。


玉ねぎの汁と肉汁が絡みあった汁が紙袋溜まり、

添えられたフライドポテトをその肉汁に浸けて食うと、これがまた美味で、

スペシャリテを名乗るコーヒーにベストマッチする。


これは、美味い。確かに。


オジサン独りのランチとしては些か高級な気もするが、

例えば、サイクリングデートならばどうだろうか。


『あの、よかったら十三峠ボクと、あのその…』

とか言って誘い出し、

あの娘僕がKOMを全力で獲りに行ったらどんな顔するだろう。

そして、仕上げにFJCへ。


ロードバイクデートの汗臭さを払拭して、お洒落でスポーティでお腹も満足なデートを演出出来るかも知れないし、

全力でKOMを獲りに行く事はデートではオススメ出来ない。


そしてふと我にかえる。


これ、また太るヤツでは。


帰り道は少しでもカロリーを消費する為に大和川の河川敷からIKEAでも目指そう。


特に面白くもない、河川敷ルート。

そう思ってたのに、

なんだろうか、疲れた身体にフツフツと湧き上がる幸福感。


ロードバイクに乗る全ての人がそう感じるかは分からない。


ただ、自転車が自分の、いや。自分が自転車の一部になった様な感覚が、

カロリーの消費を後押しした。


ビールを買って帰宅。


シャワーから上がり、まだ陽の高いウチにプルトップを引くと、

ヨッシャンからメッセージが届く。


『近くに来てるよ、LAのお土産持ってきたけど、どう?』


スグに向かうよ、と打ち込み、

ビールを飲み干してから、


僕は送信タブを押した。






二度目の葛城山 〜KINFOLK Ownersmeeting に向けて〜



太ったな、と。


もちろん、


個人差があるのは間違いないのだろうけれど、

通勤でタラタラ乗ってるだけでは自分の食欲というか、飲酒というか、


やっぱりカロリーの消費が追いつかない様子で、それが脇腹あたりにカタチとなって現れたのだ。


…なので、


その焦りから唐突にヨッシャンとソウ君をライドに誘う為のラインを送る。


ソウ君からは「まぁ僕も太ってきてますから笑」と返答。

さすが!太る時も一緒だよ?、ズッ友だね!

じゃあ六甲でも行く?とたずねると、

「7月のライドの事もあるし、ソウ君トコ集合でいこう。」とヨッシャン。



当日の朝は、

スニーカー選びにも余念が無い。

輪行という事もあるし、

何よりライド後、

硬いカーボンソールの反発をくらって疲労した足の裏を休ませるシューズが調子良い。

そんなアフターライドシューズ。


そういう意味ではニューバランスは非常に優れていると思う。

ストリートファッション好きには説明も要らないであろう580シリーズ、あと、最近購入したNB1300clも極上の履き心地だと思うし、


アウトソールの突起部がペダルに上手くひっかかるので比較的踏みやすい。



早朝、

僕らの為だけに、

ビストロ リュドラガールのシャッターが上がる。


薄暗い店内で、

先に着いた僕が着替えていると、

何も言わずにソウ君はモーニングコーヒーをカウンターに置いてくれる。

やがてヨッシャンが到着し、

間も無く、走り出す。


「今日は前回のコースに、実際に葛城山を加えるコースで。」

と、ソウ君が引いたコース。


ペダルを回せば、

この季節特有の柔らかい風、

紫外線の強さが気持ち良い。


当然ながら、それを感じてるのは僕らだけなワケがなく、


泉南の自転車乗り、例えば、トレイルランにハマってるカワラヤ君や、MTBのライドへ向かうETのジン君達と、

まさかと思うタイミングで出くわした。


こんな偶然は、

なんだかワケもなく今日はいい日だと思わせる。

そうして誰もが休日を満喫する中、


僕らはひたすらにペダルを踏んだ。

ヨッシャンがそろそろ休憩しよう、

というタイミングで、KINFOLKらしくウサギ小屋のあるパン屋へ。

相当な人気店らしいのだけれど、残念ながらパンは販売前のタイミングで買えなかった。


ふとヨッシャンを見ると巨大ブランコこいで遊んでるし。

そこから程なくして、

葛城山を登り出す。


そこまでのルートでアップを済ませたという風に、良い感じで足が回る。

最近まったく乗れてないというヨッシャンとペースに差が出れば、

僕はある程度まで行ったら待つのではなく、降ってヨッシャンの所まで戻る。


これによって、体力差を補い、

お互い同じくらい疲れるワケだ。


葛城山を登頂した時には三人ともへばへばになっだけれども、この達成感はヤバイ。

そして、


下りは、恐ろしかった。

相当な急勾配に加え、

ガタガタの路面の葛折り。


「モッツのライン着いてったらガタガタやないかー!」とヨッシャンがボヤくが、

「俺のせいちゃうわーっ!」

と、応戦しつつ、荒々しい速度を殺す為いっぱいに握ったブレーキレバーを、丁寧にリリースしてタイトなコーナーをクリアしていく。

それでも強烈な勾配に冷や汗するシーンもあり、


下りきった瞬間、妙な安堵感に包まれる。

こういう気分が非日常に拍車をかけるのだろう。


既に、1000m近く標高を獲得してるのだけれど、ここからさらにもうひと登り。


ソウ君が見つけたルートで、グラベルからアスファルト、人通りが少ないので路面は綺麗だけど、石や枝がゴロゴロしているし、


何よりまあまあ登る。


「葛城山の後だと、結構(脚に)キますね〜笑」と苦笑するソウ君の足元で、

壮絶な破裂音。リアタイヤをサイドカットした模様。


まぁ、

こんな事もあるな、と折角なので少し休憩、雑談しながら修理を済ます。


そこを超えたら、高速コーナーが続く下り。


スピードが乗るし、見通しも良くアウタートップでガンガン踏める。

高い速度域のコーナーで、バイクを寝かして行くのが何とも気持ちが良い。


パンクの事もあり、

そこからは最短距離で帰る。

とはいえ、

獲得標高も1400mという事で、

十分に疲労はしてる。


「帰って甘い物食べましょう、昨日仕込んだティラミスがあるし」と、ソウ君。


はっ、マジか、いいね。


リュドラでは、低カロリーとかヘルシー意識のヤワなデザートは出ない。

味が最優先事項。

美味いモンしか出て来ないので、

これはアガる。


店に着き、


着替えを済ましたヨッシャンと僕は、

借りてきたネコの様にしてカウンターに座り、ランチを待つ。


サラダをガッツリと頂いた後、

卵黄と生クリームをたっぷり使った、

ショートパスタのカルボナーラ。

僕は何度も、チーズ?チーズ入ってんの?と聞いてしまう程に濃厚。

フランスアルザス地方特有の、何とも不思議な、プチプチとした食感のショートパスタだ。

まったりとしながらシツコクない味わいに、ワインが止まらない。


そしてお待ちかねのティラミスは、

ふわふわ食感で、甘くないのにしっかり甘いというか。これは大人のデザートだ。



あ、


痩せる為にライドに誘ったんじゃなかったっけ、と、ひとり苦笑したけれど、


まぁいいか。


それより、

ライドの計画が確実に進んだ、という事で。


このコースと、リュドラのディナーに加え、

ヨッシャンのスマートなもてなしがあれば、最高のライドイベントになると思う。何かお土産も用意してもいいかもね、なんて皆で話ながら、


7月15日のKINFOLKオーナーズミーティングに想いを馳せた。








春の朝


悪夢から目を覚ます。


内容はよく覚えていないけれど、

朦朧とした映像の断片に、不快な寝汗がそれを悪夢だと教えていた。

隣にある娘の寝顔にホッとしながら、

僕は仕度を急ぐ。


昨夜のうちに用意したジャージに寝ぼけながら着替え、

家を出ると肌寒い。


ジレを取りに戻って、再出発。

五分の遅刻だ。


日曜の早朝、幹線道路はガラ空きで、

待ち合わせ場所にナイトーさんが寒そうにして待っている。


シクロクロスシーズンが終わってから忙しさにかまけて練習らしい事を全然やってない。

慣らし程度にナイトーさんにトレーニングライドに付き合ってもらう事にしたというのに、遅刻して申し訳ない。


練習場所の周回道路に向かう間、

練習内容を確認。お互い牽制しながら、


「…どうします?」

「モッツさん、3セットとかやるんですか?やるなら後ろ着いて行きますけど…。」

「あ、いや、じゃあ10分走を一。」


「…三本?。」


「一本で。」


「一本で 笑。」


と頷きあって、練習開始。


今日は軽めのギアで回す。

カセットのチェーン位置を覗き込んで確認してから、じゃ、行きますよ、

と加速する。


KINFOLKは、僕の練習不足なムッチリボディも、とりあえず40kmぐらいまでは難なく加速させてくれる。


後はそれを維持出来るか、という話で、

ナイトーさんの影をぶっちぎるつもりで走るけれど、

結局二周目後半、前に出られてしまう。


悔し紛れに最後抜かし返すのが、

なんだか子供が意地になってるようで、恥ずかしくなって少し笑えた。


「まぁ、このまま練習はサクっと切り上げて、橋を渡って、渡船に乗って遠回りしましょう」


と、ナイトーさんの提案。

お互いそれなりの子煩悩っぷりで、

遅くとも9時までには帰って子供の相手をしたい所。


世間話をしながら渡船に向かい、

「モッツさん、車買うならどんなのかいます〜?」

「まぁ、僕はきっとショーもない車買いますよ、すぐ壊れそうな旧車とか笑。でも最新型の車もやっぱ楽チンですけど」なんて、やもすれば中学生みたいな話題が、同い年、似た境遇の彼とは心地が良い。


渡船に乗るとナイトーさんが、

「この渡船からなみはや大橋のコース、コッシーのデートコースだったんですよね…」と言うので、


なぜここでその話を///

と思いながら(笑)船はすぐに到着、

また走り出す。


肌寒い。

少し速度を上げて体温を上げる。


此花区辺りはいかにも住宅街という感じだけれど、幹線道路の信号は繋がり良く、案外気持ちよくスピードが乗った。


近所に着き、ナイトーさんとは、御子息に言い渡されたという8時帰宅を少し回ったものの十分早い帰宅だろうと、

早々に別れ、


僕は朝飯を食べに、

いつものLEADCOFFEEへ向かう。


身体が冷える。

でもraphaのインシュレーテッドジレは、

店内で羽織るには最高の暖かさで、

ゆっくりラテとトーストを頂いた。

このカフェはいかにもコーヒースタンドといった具合に、常連さんがひっきり無しにやって来てはコーヒーを飲んで、店員さんと軽く雑談して引き上げて行く。


その中にガチっぽいロードバイクのお兄さんも来ていて、どうやらシルベストの店員さんらしく、なるほどな、と。


そんなプロに僕のバイクを洒落ていると褒めてもらい、いい気分になって店を出ようとすると、

入れ違いで僕と同じマンションの家族が入ってきた。

その家族の長男(小1)が、なんとこのカフェでオリジナルキャラを中心とした個展をやっていて、

僕はその長男と少しジャレて、

親御さんと挨拶して、またサドルに跨る。


春の風は冷たく、

それでも、

朝日は光の粒子となって冷えた空気をキラキラと映し出しているように見えた。


いい朝だ。


起き抜けの悪夢が何だったのか、

もう思い出す事もない。


僕はただ、ナイトーさん同様に、

帰りを待っているであろう家族の元へ。


これから訪れる春の休日に胸をふくらませて、


ただ、ペダルを踏み込んだ。









RunWithTheHunted

輪行袋に自転車を詰めて、

JRで大阪府は南へ向かう。


待ち合わせはソウ君の店。

リュドラガールに到着すると、

ヨッシャンが少し遅れるという事で、

淹れてくれたモーニングコーヒーを飲んで待つ事に。


談笑を始めようとして、

ほどなく待ち人到着。


ヨッシャン、コーヒーは?

と聞くソウ君に、

飲んできたよ、じゃ、行こうか、

とヨッシャン。


リュドラガールから峠までは、

いつも幹線道路をそこそこの距離走るのだけれど、

今日は少し、様子が違う。


短い住宅街をぬけると、

ひと気の少ない道へ出た。

「今日は僕も行った事のない道へ行くんで、」

ポツリとソウ君が漏らし、

ライドリーダーがそういうなら着いて行くしかない、と僕らはペダルを踏む。

そこからは、エメラルドグリーンの大きな池?を過ぎ、

ハイキングロードを順走、しかし、急な崖崩れで通行止めになっている。


それでも「出口に繋がるルートへ」とまた違うルートへ入って行く。


何度かライドで走った道、

上り下りがそこそこあって、対向車線を走る自転車は、パッと見てすぐ競輪選手だと気付く。

「ここでトレーニングしてるんでしょうね。」

競輪場が岸和田、和歌山と近く、フレームビルダーも多いこの地域で競輪選手は珍しくない。

そんなエリアなので、ローディも沢山すれ違う。


そして、ソウ君が、

あえてそんな道を外れる。


「地図では通り抜け出来てるんですよね…。」と、

入った道は見事なアゼミチ。グラベルというべきだろうか。

路面の大きな石を丁寧に避けながら、

僕らは登っていく。楽しくて、

思わずハシャいでしまった。


ひと気のない道、

少しだけ困難な路面。

木漏れ日が差し込む。

ジャリっとスタックする後輪が、

また路面を掴んで前に出るのが分かる。


最高だろう。


「今日はこの辺で戻りましょう、当日はこの感じに、葛城山を加えればどうかと」


最高だろう、それは。

最高すぎる。


その後、


僕らはリュドラガールへ戻り、

ソウ君と恭子さんにランチをご馳走になる。


恭子さんとのトークが弾む中、

サッと出てくる、ボリューム満点の前菜プレート。

これがまた、どれを食っても本当に美味い!

モッツ飲むやろ〜、と恭子さんに注がれた白ワインと相性抜群で、

この皿だけでボトル一本イケそうなくらいだ。


次いで、メインのヤリイカのパスタをソウ君がサーブ。

トマトソースはジワっと後からいい感じに辛く口の中を刺激し、

パンパンに詰まったヤリイカのミソはそれを和らげながら満たして行く。

ブカティーニという、芯が空洞になった極太パスタにガッツリその旨味が染み込んで、僕らは夢中でモグモグやってしまった。


そう、

最高なライド後に、最高の飯を頂く。


本当に良い物を知ると、

人に勧めたくなるもんだ。



KINFOLK OWNERS。



僕らは、同じフレームに跨る彼らと、

共に走り、はしゃぎ、乾杯し、

最高の晩飯で腹を満たす、そんな、

最高の時間を過ごす機会が作れたら、

と思う。


2018年。7月15日(日)。


もちろん、フレームにかかわらず、

所以のある人など、お誘いあわせの上、参加して頂ければと思います。


オーナーの方のフレームには、

おおよそ描かれているはずの、


RunWithTheHunted


良くも悪くも、

いつの間にかカタにハマった自分から

この日ばかりは、みんなで逃げだしたいと思うのですが、

いかがなものでしょうか。




(イベントの詳細、コースやエントリーフィー等、またこのブログでもお知らせ致します。

また、このブログのコメント欄や、

僕のインスタ等、SNSのDMでも問い合わせ等、受け付けています。)






さぬきCX2018


2年ぶりに、さぬきCXにエントリー。

そもそもSSCXには不向きな要素が多いコースだけれど、

C4が出来た辺りでC3は苛烈さを増し、ますます勝ちは遠くなったとその時感じ、昨年はエントリーを見送った。


ただ、それでもその前、さぬきでは2年連続で四位と惜しくも表彰台を逃した事は今では数少ない成功体験となり、


要は「もしかしたら」を捨てきれなかった。


そして場所はウドンの町、香川県。

家族旅行の一環としてレースも走る事にすれば、子供に見せられるかも知れないのだ。


父が勝つ所を。


エントリーリストが発表されるやいなや、

悪いが、目を皿にしてメンバーを調べさせてもらった。

エントリー数はたった10人。力量は、分かる範囲で見るとかなり拮抗していて、過去のデータを参照するとその中で自分は4〜50%あたりの成績になる。

1名、表彰台の常連さんがいるが、

不確定要素を加えれば、自分が表彰台に上がる可能性は充分あるだろう。むしろ、


高い。


が、


その自信は、

前日の試走で突然揺らぎ出す。

得意意識のあったジープロードを上手く走れない。何が変わったか分からず、何度もトライするけれど速く走れない。

ムーブメントの高橋君が走った後を追うと、リアスライドで上手く曲がっているので、なるほど、とマネて数回練習し、

本番に挑む。


この日泊まった温泉宿は部屋食で、

子供二人いる僕たちには有り難かったのだけれど、

それを良い事に

破壊の限りを尽くす娘を見ながら御膳のご馳走をいただくのは至難の技で、

とてもゆっくり味わってる場合ではなかった。


ヨッシャンが「良かったら晩飯皆んなと一緒にどう?」と誘ってくれて、でも予約があるからと断ったけれど、

万が一一緒に行ってたらウチらの家族置き去りにされてるでコレ笑。と妻も半笑いだった。


翌朝、


ギリギリC4のスタートに間に合うと、

ヨッシャンと堀君の激しい戦い。先行していたヨッシャンが堀君に抜かされ、さぬき名物のアスファルトの平坦はずいぶん苦しそうだ。


しかし誰よりバテていたのは妻だった。

娘の暴走を食い止めるべく奔走している。

ほんとに申し訳ない…。


C3のスタートグリッドはCCJPの杉田君や、通年のライバルもいて、和気藹々。

しかし、

後ろに並ぶアンダー17の子達はピリピリしていて、

僕の隣の人が「彼ら、話かけても喋ってくれへんねーん笑」と言ってて、

逆に思わず笑ってしまう。


スタートはクリートキャッチをミスるものの、

なんとか集団に着いていった。

ジープロードの下り、みんな速い。

殆ど同じ速度で、少しラインをミスるとすぐ離される。


その登り返しで詰まった。

そこで足を着いた僕は、降りて押すしかない。


やってしまった。


もう遅い。


後はアスファルトの平坦で周回する度に抜かれ、


なんと、


最後尾。


最後の登りをダンシングで加速する僕の背中で「パパーっ!パパ〜〜っ!…」と

息子の声援が哀しく響いた。


うわぁ…

ゲベかよ…


失意の底でゴールすると、

通年のライバルが寄ってきてくれて、

ちょっと話し込んでからゼッケンを外しあう。


彼とは2年前から抜きつ抜かれつ。

レースの中で無言の会話は何度も繰り返したけれど、

こうして話す事はあまりなかった。


あー、やっぱSSじゃこのコースキツい、もうギア付きにしたいわ〜。

と言い訳する僕に、

「まぁでももう引っ込みつかない感じですよね笑」と言う彼。まったくいいヤツやで…笑。


来年もSSで行くよ、と彼と握手して別れ、


疲弊した妻の元へ。


息子は一生懸命応援出来た事に満足そうで、レースの内容はよく分かってなかったようだ。



大阪へ向かう車の中、

後ろで眠る子供をルームミラーでチラ見しては、

妻と、子供の世話が大変すぎて料理の味も憶えてないな、と笑う。


でも僕らが大変だった分、きっと子供達は楽しかったのだと思う。


そして最低の結果でも、

やはり出し切って走る

シクロクロスは最高に楽しかった僕。


妻はどうだったのだろう。


分からないけど、

分からないから、多分僕は

礼を言うべきなんだろう。


言おうとして、やはり上手く言えない。

ただそれは、

照れ臭いワケでなくて、

言ってしまうと、

その一言に何か沢山の気持ちが乗っかり過ぎて、涙腺が緩む事を抑えられそうになかったからだ。


そうこうしてるウチにいつもの様に軽口を飛ばし合う。


きっと、

相応しい場所から言えたらよかったんだろうけど。


そんな不甲斐ない気持ちで僕は、

アクセルを踏み込んだ。



ありがとう。



















関西CX2018 桂川戦 千秋楽

スタートまで5秒のアナウンスが入り

ハッとした。


気温は1度。確かに寒いが、

震えてる場合じゃない。


号砲を下を向いたまま聞いた。

クリートは上手く捉え、ぬかるんだ路面を、じりゅっ、じりゅっ、と二回ほどスタックさせて走り出す。


スタートからの直線が長い。

ある程度ついて行く過程で、

なんだか急に辛くなってきて、

さらにゴウっと後ろから上がってくる集団に付いていけず、気持ち負けしたのか、

みるみるウチに順位を落とす。


第一コーナーを抜ける頃にはもう後ろに何台もいない様子。


何やってんだ、と自分を叱咤するも、

どんどん落ちて行き、

クジ運悪く後方スタートだったソウ君にもピューっと抜かれてしまう。


…脚が全然回らない…。


「モッツー!遅れてるぞー!」と、

ギャラリーからヨッシャンの声。

グラウンドからキャンバーセクションに入ると、やたら丁寧に走る僕。

コケる気がしない。そらコケない。

そういう走りがまた一段と遅くなってるわ、と気付くまで二周かかった。


アホか、僕は。


せっせと追い上げ始めると、

オレンジ色のアウターにデニム?のストリート感溢れるSSCX乗りが前を走っていた。スタイラーやな…


このコース、SSツラない?

と彼に話し掛けたいくらいだけれど、

SKRKの人達は皆SSCXで随分前にいるワケで、


まぁ、

お互い頑張ろうぜ、

と心中に声をかけ、スタイラーを抜く。


その先にようやくソウ君を捕まえ、

久しぶりのランデブー走行に入る。


引っ張り合う様に抜きつ抜かれつして、

ようやくエンジンが掛かってきた気がした。


最終周回。

直線の彼方、第一コーナーを6台のパックが曲がる。


あー、あれを抜けたら、今回はヨシとするか…。ヨシとしよう!


正直、走り出す前は順位一桁台を狙うつもりでいた。

そんな自分への期待を大きく裏切った、

結果の目標がコレか、と、

思わず苦笑してしまう。


でも、

自分に期待出来なくなるほど、

虚しいモンはないだろう。


ここに来て集中力を上げる。

突然、コーナーが良く見えてきて、

ブレーキを使わないラインが分かってくる。

前を行くパックが少しづつタレてきた。

一台一台を確実に抜いていく。


4台目を抜き、ゴール前でもう一台、

あと一つ!


って所で届かないまま、

ゴールラインを通過した。


結局、

ヤギさんやSKRKの皆にも全然届かず、勝負にもならなかった。


悔しい。


かたや、


ヨッシャンは出し切った様子で、

クソ寒い空のした、レース後は仰向けになって倒れこんでいた。


そういえば、

三人でCX走り出した頃、ヨッシャンは自分が追い込めきれずにいる事をよく嘆いていた。

あの頃の彼に今のヨッシャンを

見せてやりたいと思った。



その後、

なんとも言えない敗北感を味わう僕に、

ソウ君が作って来てくれたチリビーンズサンドを手渡してくれて、


今回のレースの冠スポンサーであるDerailleur brew worksの西成ライオットエール(地ビール)と

一緒にやる。


チリビーンズの辛さを一緒に挟まれたクリーミーなチーズが柔らかく際立たせ、

それを

ライオットエールのしっかりした苦味と爽やかな酸味で流し込む。


コースにはC1のライダー達が美しく駆け抜け、


寒さを忘れるほど、このランチは美味かった。

こうして、

僕らの今シーズンの関西CXは終わる。


悔しい、それだけで走ってきた。

でも今回は、


自分は弱い、

という認識に、やっと至った。

これからだと思う。


そしていつか、

集団の前を走る僕を、


今日の僕に見せてやりたい。






| 1/57PAGES | >>

calendar

S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< July 2018 >>
QUANTIZE SALE.jpg

ピストのブログが沢山!

楽天

twitter

flickr

www.flickr.com
This is a Flickr badge showing public photos and videos from sampedoro55. Make your own badge here.

selected entries

categories

archives

recent comment

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM