2018関西CX#7 希望ヶ丘戦


レースの翌日は雨だった。


僕は小さな怪獣二匹、

五歳男児と二歳に満たない娘を連れ、

雨足が弱まった頃、

昨日のレースに現れなかったナイトーさんの店、FLAGへ向かう。


ナイトーさんは

希望ヶ丘戦は走れなかったけれど、

しっかりと皆んなのリザルトはチェックしてる様子で、

「モッツさん、最近乗れてるのに、順位悪かったねー。」と。


いやいや、言い訳ではないけれど。

希望ヶ丘はシングルトラックが無くなり、パワーと度胸、といった感じのコースになってて、

大きな登りが二本、それに対しての下りが二本。


登りでパワー負けして、

下りで度胸負けした感じですよ…。


事実、36番手スタートで、32位。

一旦すぐに20位まで順位を上げたけれど、

とにかく登りでだんだんパックに離されて、

3周目辺りでは2本目の登りが抜かれるポイントになってしまう。


そして抜きつ抜かれつ最終周。

砂利の危険な高速コーナー手前で、背後から一台、

せわしないプレッシャー。


でも高速コーナー手前まで逃げ切れば、

ラインは内側のバンク面しかあり得ない。

その手前まで抑え込む。


ここまで抑え込めば。と、

脚を止めた瞬間、

アウトから前へ出る、KUALIS。

チタンハンドメイドの有名フレーム。

まさか、さらに突っ込んでくるなんて。


ギリギリで僕の前へ出て、バンクのラインに乗せるKUALIS。

僕は動揺して、二つ目のコーナーのラインを外しそうになりモタつく。


大きく3秒も間を開けて、

逃げ切られてしまった。


言ってみりゃ、ブレーキング勝負に

負けた。完敗だ。


ソウ君はと言うと、

「年末年始乗れなくて、メチャクチャシンドかった…」と。自転車はサドルの上で過ごした時間=実力、といった話があるけど、乗らなかった時間はどう過ごしても差し引かれていくのも事実。


自分は、と言うと、

年末は十二分に乗った。

体調も回復し万全。

自転車も消耗品を全て交換して、

絶好調。


そして、32位。

出し切ったかと言うと、

出し切った。


誰にも誇れない順位で悔しいのに、

出し切った爽快感や、

緊張感の中で、

思うより操作出来た楽しさ。

それを合わせた充足感。


表面上はガッカリしてみせても、

内面は満足してる、という妙な感覚が

レースを走る本当のモチベーションなのかも知れない。


そしてヨッシャンは、

BMX日本代表のシモちゃんを

ライバルと呼び、

実際、シクロクロスでは良い勝負。

先行するヨッシャンに少し遅れてシモちゃんが追い縋る。

3周目、ヨッシャンがチェーンを落としてしまい、

その隙にシモちゃんは前へ出る。

あぁ、勝敗決したな、と思って観てたけれど、さらにそこからヨッシャンはシモちゃんを抜き返したらしい。


この日、KINFOLKチームで一番良いレースをしたのは間違いなくヨッシャンだろう。


そういえば、シモちゃんはヨッシャンと出会うずっと前から僕は知り合いで、

そう考えると、なんだか不思議な気分になるし、自転車の繋がりってのは本当に面白い。


そして、

KINFOLKはそういうブランドだと思う。僕は、

今年、それをカタチに出来ないかな、と

帰りのFIATパンダの狭い車内で2人に話すと、

「いいね、面白そう。」と、

ヨッシャンとソウ君も乗り気だ。

もし、全国にいるKINFOLKオーナーと走る機会を作れたら、

それはまたきっと特別な出会いを連れて来てくれる事は間違いない。



…まぁそんなワケで、

レースは全力だったんですけどね(笑)。とナイトーさんに説明して、

これ以上お邪魔するのも申し訳ないので、とりあえずFLAGを出ると、雨足は強くなる。


横の高架下で雨宿りしてると、

結局ナイトーさんが傘を持って来てくれてしまって、

なんだか申し訳ない気分になる。


やがて雨が上がり、

息子が「傘、返しに行く?」と言うけど、いや、また店に寄る理由になる。

だから、

また近いウチに父さんが返しに行くよ。


大人には、何かと理由が必要だ。

だとしたら、

今年は積極的に

自分達から理由を作りたいと思う。


そんな事を想像するだけで、

僕は子供の様に、

無性にワクワクしてしまうのだ。






Festive500 2017



DAY0

Festive500 に挑戦する事は難しくない。STRAVAでワンクリックすればそれでいいのだから。

だが完走するとなると話は簡単ではない。


そもそもこのFestive500は、

師走をホリデーシーズンと呼び、

その期間をダラダラと過ごせる余裕がある人達をライドへと喚起する為の物で、


心待ちにしていたRaphaのSALE、

開始と同時にサイトにアクセスした時には狙ってたアイテムのサイズが無く

「…ブルジョアジーらめが…‼!」と拳を握りしめている我々の様な連中には、

正直縁遠い物なのかも知れない。


だからこそのアタックだ。

見せてやるサ、

労働者階級の意地ってヤツをよ…


0/500km


DAY1

走り出して間も無く

ガーミンの液晶に水滴がポツリ。 

もしこれが雨だとしたら、 天気予報通りという事で何の問題もないのだけれど、 それでも、この水滴は何か別の、 例えば汗や水蒸気みたいなモノであればと祈ってしまうのがサイクリストだろう。

1日目のアタックは舞洲アリーナの周回路。休日の夕方に妻に作ってもらった数時間。

とりあえず、平坦路で距離を稼ぐ作戦だ。

到着する頃には予定通りの土砂降り。

とはいえ初日から雨…、


まぁ、…おあつらえ向きか。


そう独り言ちて本降りの中を走りだす。

Rapha オーバーシューズ が1時間程であれば全く浸水がなく、凍えそうな爪先を護ってくれた。


54/500km。


DAY2

年末を迎える最後の月曜。

今日乗らなければ挑戦は終わる。

仕事で疲れた身体に鞭打って、

通勤路にいつものIKEA周回路を加え距離を稼いだ。

まだ暖かく、クラシックウィンドジャケットが調子良い。


105/500km。


DAY3

ロードバイクに乗っていれば誰とでも分かり会えるなんて思っていない。

部下に割とレース志向のローディ(カーボンのコルナゴでアソスに身を包む様な)がいるのだけれど、特にそんな話もしないし、立場的に僕から絡むのもどうかという事で、一緒に走る事など無いと思っていた。

そんな折、帰宅前のロッカーで冬場は裏起毛のRaphaサーマルクラシックビブが快適だと説明しながら、

こんなイベントに挑戦してて、今日は河川敷から帰るつもりだと話すと、

なんと、彼も付き合ってくれるという。


夜の河川敷は、まさに一寸先は闇。

あっ、危ねーっ!そこ人!人影!

といった風に互いに声を掛けながら走る。

やっぱ夜の河川敷はダメだな(笑)とそこで別れ、僕は昔暮してた街を経由して帰路につく。

10年振りに通る街並みは、

あの頃と同じ様で、少しづつ時代に合わせて変わっていた。


彼は、今時の30代というか、あまり他人に深く踏み込むタイプではないと思っていたが、

僕と彼との関係もきっと、

そんな風に時を経て変わって行くのかも知れない。


159/500km。


DAY4

水曜は堺浜に、いわゆる実業団系の

本当に速い連中が集まってくる。


周回道に入れば間も無く、

背後からゴウッと10数台の高速プロトン(集団)が来る。


一旦追い越され、すぐに踏み込んで最後尾に着いたはいいけど今日は冬の向かい風がハンパない。

だからだろう、ローテーションが早く15秒くらいで交代してる様子で、気付くと次は僕にも先頭に立つ場面が。

勝手に混じらせて貰ってるので頑張りますよ!と心拍を一気に190まで持ち込んだが、


10秒も持たずに先頭交代…


ありゃ〜、まぁこんなもんか…

その後はズルズル失速し、プロトンは見えなくなった。

勝手に混じってるとはいえ、

スリリングで刺激的な体験。

こんな短時間高強度な練習にも、

Raphaコアロングスリーブジャージは裏起毛で暖かく、それでいて決して蒸れたり汗が冷える事のない、

価格からは考えられない快適性を提供してくれる。


232/500km


DAY5

12月28日、まさに師走、仕事の遅くなったこの日は、友人の経営するビストロ、リュドラガールまでライド。


ずいぶん遅くの到着になるので、

事前に到着時間を連絡したはいいけど、

それでも急がないと。


年末夜中の旧国道は車通りは少なく、自転車道が設置されてる区間もあり、案外快適だ。


何より「誰かに会いに行く」と思うと、

自然と足が回るもので、

目的はモチベーションに直結していると感じる。


店に着き、おどけて

あの〜、もうオーダーストップでしょうかぁ…?と入って行くと

「なにゆーてんねん!こんな遅くに来やがって!(笑)」と恭子姉さんの元気の良い声に迎えられ、

もーっ、と言わんばかりにソウ君と二人、え?そんなにモッツ甘やかしていいの?と掛け合いながら、豪勢なもてなしを受ける。分厚くフカフカのキッシュと、

ドイツパンの上にプルーンの甘煮を載せた最高の晩飯を炭酸水で頂く(デザート付き)。


文句無く美味い、いや、酒があればもっと美味かったはずだ。

時間が全然足りなくて、話したい事が沢山あったのに話せなかった事の数を数えながら復路に着く。次はきっと電車で500km走破の報告にでも行こう。


長く凍える国道沿いでも、

Raphaハードシェルジャケットが冷えから僕を護ってくれた。


307.4/500km


DAY6

明朝。日の出より早く家を出る。

今夜は妻が飲みに行くと言うので早めに帰らなければならない。

距離を少しでも稼ぐなら、朝しかない。


コースはいつものIKEA周回。平坦路でとにかく距離を稼ぎ出す。

仕事は佳境を迎え、走行距離も残すところ133kmと追い込んだ。

気の緩んだ僕は、

つい練習後水も飲まずにワインを口にして、一本空けて寝てしまう。

この時はまさか内臓が弱ってるなんて思いもしなかった。


それにしてもプロチームビブ2は素晴らしい完成度で、冬も短時間高強度の練習であれば、決して薄すぎるとは思わない。本当にオールシーズン活躍するビブだ。


369/500km


DAY7

完全に体調を崩す。

胃をやられたようで、朝食のゲップが止まらないだけでなく、

ふわふわと体に力が入らず、

昼食も摂れなかった。


弊社も最終営業日で、

さっさと仕事を終わらせて嵐山まで往復する予定が、

まさかの残業をくらう。


日も暮れ出すし、時間もない。


それでも、今日は100km、

行くしかない。


冬の夕暮れ、河川敷。

どうしようもなく冷たい向かい風が指の感覚を奪った。

途中、グローブを外しては何度も手揉みする。

体調が悪くて踏めないのか、

寒くて踏めないのか。

嵐山までは残り10kmというところで諦めてUターンする。


やがて日が沈み、

ヘッドライトの弱い光を頼りにビクビクしながら前へ、前へ。

ジャケットの中の汗が冷え始めるが、

Raphaブルベロングスリーブジャージは湿った汗を外へ積極的に追い出してくれているようで、体感温度は常に快適だった様に思う。


ようやくウチに着いた頃には、

体調が最悪で、

殆ど晩御飯も食べる事が出来ず、

僕は娘を湯たんぽみたいに抱きしめて、

泥のように寝床に倒れこんだ。


ずいぶんキツいライドだったのに、

瞼の裏に残る河川敷の夕陽が、

それでも美しかったと思えるくらいには、僕は自転車バカなのかも知れない。

479/500km


DAY8

明け方。気分が悪く、

日の出前に目を覚ます。

大晦日という事で流石に仕事は休みだけれど、午後には家族で実家へ帰省する予定だ。

…STRAVAやインスタに友人から応援のメッセージが着いてる。


体調は回復の様子は無い。

でも、残すところ21km。時間にして1時間かからないくらいだ。


起き上がれば吐きそうだけれど、ジャージに身を包めば何となく行けそうな気になるだろう。


ガーミンをセットし、


最後の扉を開ける。


数回ペダルを回して感じる違和感。

たった20kmの地獄みたいなライド。


遠い。

いつものインターバルのコースでも足が止まる。


身体が全く回復してない。

僕は自転車を甘くみていたと今頃悟る。


跨り、走り出し、瞬時に訪れる全能感。

達成した途端に包み込む幸福感に、

稚拙にもハシャぎ、

僕は忘れていたのだ。

その代償に、容赦なく削りとる、

自転車は、時間と、その生命力を。


あまりにも自制心が無さすぎたのか、計画性が無さすぎたのか。

食事も適当に抜いたり、

しっかり睡眠を摂らずに飲んだり、

僕はナメていたとしか言いようがない。


あと3キロ。

その距離がもし、

帰路に含まれていなければ、僕はゴールを諦めていたかもしれない。



無事メーターが予定距離に到達してすぐ僕はコンビニのカウンターでホットココアを頼んだ。

胃がヤられてる時はココアが一番だ。


ズビっと一口飲んで、ほうっ、

と息をつく。

胃がほんの少し落ち着いて、

窓から暗雲の空を見上げる。


…とりあえず、500km達成か。



祝杯もあげれる体調じゃないけど、

これがまぁ、今一番の祝杯だろうか。


やりきった、やり終えた、

という感覚は、きっと後からジワジワくるもんだ。


Raphaが今年も与えてくれた、挑戦するチャンスに応えられた事を感謝しながら、


ゴクリと飲み干したココアが、

弱った胃にやたらと染み込んだ。


504/500km


2017Festive500 達成


追記


誰と祝うわけでもないライドの成功を、500kmノートラブルで当たり前みたいに走り抜けた鉄の相棒、

KINFOLKに捧げ、このライドを終えたいと思う。










e-BIKEのある休日

関西CX5戦目、マイアミは

出走しなかった。


二列目スタートのシードは

少々悔やまれたが、

体調を崩した妻を

置いていくワケにはいかないと

思ったからだ。


そんなワケで、

一日子守をする事に。


どこへ行こうかと携帯を触ると、

「(チョコレートの)フルタ本社で割れチョコ等のセールをやってる」との情報をイクジ君がツイッターで流していた。


…フルタ本社まで片道7キロ強。

電車で行くと結構かかる。しかし、


そう、先日納車したばかりの、

e-BIKE(ママチャリ)がある。


YAMAHA PAS。e-BIKEのパイオニアと言って過言じゃないだろうけどe-BIKEと言っていいかは分からない(笑)。

僕は、電動アシスト自転車とはペダルに一定の負荷が掛かれば起動してそれなりに速度が出るもんだと思ってたのだけれど、


スタートは確かに楽で、

登り坂ではジワジワアシストしてくれるが、

天王寺へ向かう長い登り坂では、

トップギア(3速)で20km/h維持しようとすると、それなりに汗ばんだ。


まぁ子供二人乗せて坂をその速度なら、

十二分に速いと言えるけれど…。


当然ながらトップスピードを伸ばす物でなく、あくまでアシストするだけなのだなぁ、と感じたが、


勾配が10%超える急坂では物凄いパワーでグイグイ登り出し、それは原付きにでも乗ってるかの様な痛快な出力で、

思わず「おほっ(笑)」と声が漏れてしまう。


フルタのセールは終了まで数時間を切っており、とりあえず特売品を2000円程買う。

袋は戦隊モノの立派な紙袋で、

息子はそれでご満悦。


道中、

ムーブメントの近くを通ると、

見覚えある顔。あれ?


と思うと向こうから、

「あ、モッツさん、僕、分かります?」


と、久しぶりの刺青ケンタロー君。

彼とムーブメントとの繋がりがピンと来なくてシドロモドロになったけれど、

「最近MTBも乗り出して…」と相変わらずの自転車好き。


こうして、声を掛けてくれるのはホントに嬉しいもんだなー、と思いながら、


そのままぷらぷらサイクリング。

フロントシートで暴れる娘に

ケープを掛けると、

娘はそのまま寝てしまった。


ウチに帰って四人で晩御飯を食べ、

中でも大食いな娘にミカンとバナナの皮を剥いていると息子が、


「なんで果物には皮があるの?」


と聞いてくるので、

妻が、柔らかい中身を守ってるんだよ、と話すと、

「ボク、皮のない果物しってるよ」

と言う。


え、そんなのある?と聞き返すと、

息子は、


「あのねぇ、イチゴ!。」


あ!


僕は妻と思わず声をあげ、

ホンマや…と納得する傍ら、


いや、薄い果皮(真っ赤なトコ)あるよな…、と思い、

アレはね、一応皮があるんだよ、ほら、リンゴも…

と反射的に否定してしまった。


否定してしまった事をすぐに後悔し、

でも確かに皮を剥かずに食べるのはイチゴだけだね、よく気付いたね、

と訂正し褒めたけれど、

やってしまった、と少し胸を痛めた。


そして、

僕が思う以上の回答をするまでに

成長してる息子に、正直驚いた。


彼の成長を側で見ていたい、と思う反面、自分の為に時間を割く僕は、

親父として正解なのだろうか。


僕の父は模型好きのサラリーマンで、

時間があれば子供の面倒を見る人だったけれど、


僕は父が何かにムキになったり

必死になってる姿を見た事がない。


だからかも知れないけど、

例えそれがサンデーレースであれ、

僕は息子に見せたいと思う。


父が必死になって、

ただ1人の男として、

ムキになって走る姿を。


そしてそこに集まる、

ライバル、仲間達を、見せたいと思う。


これは教育と言うより、

僕の勝手な父親像への憧れかも

知れないのだけれど。


それよりも直近、

彼の柔軟な発想力をしょーもない

一般論で「皮はある」と否定した事に僕はまだ胸を痛めていて、


寝室へ向かう息子を呼び止め、

もう一度聞いてみた。気に留めてない事を期待して。


なぁ、イチゴって皮あったっけ?



「え?んー、ある!」



…あー、やってもうた…









関西CX2017大野ダム戦

脚が回る、もっと飛ばせるっ


次のコーナーを曲がった途端、

気付くと、

僕は寝転がって青空を見上げていた。


視界にソウ君が入り込んできて、

「こんな気持ち良くコケてる人久々に見ましたよ(笑)」と笑いながら去っていく。


脳震盪でズキズキする頭を起こし、すぐに彼の後を追った。

試走中で良かったけれども、

すっかり意気消沈してしまった。



さて、まずはチームオーナー、

ヨッシャンのレースだ。


全員で40名ほど、その後方スタート。

さらにピストルが鳴って間も無くヨッシャンの前で落車事故。それを避けて最下位まで落ちた彼は、コッチを振り返り笑ってる。


余裕だな…。いやしかし比較的彼の得意なコース。最下位から何処まで上がるだろうか。


コース前半の泥山。その出口あたりで順位を数えて待つ。…21、22…え、もうヨッシャン?!20人程抜いてきたのか!


コース後半、平坦区間へ行く直線でさらに一台抜いて見せた。


おおっ!いいぞ!ヨッシャーン!


熱い走りに元気をもらうとはこの事で、

僕はすっかり転んだ痛みなんか忘れていた。



さぁ、僕たちC3のスタートだ。


クジ運悪くゼッケン54。

後ろに二列しかないし、僕の前には40台近くいるワケだ。


その中にSKRKの薔薇ジャージが三人。

ひとよんで貴族会。毎度煮え湯をのまされてるからな、今日こそは。


そしてシクロクロスを始めた頃からの同い年ライバル、エスキーナのヒロシ君。


ソウ君といえば、24番とかなり前に位置してる。


ピストルが鳴り、さあ、スタートだ。


一度転んで吹っ切れたのか、

今日は身体が動く。


案の定、スタート直後のコーナーがボトルネックになっているので、

担いで、抜いていく。

イケ、イケ、イケ、イケ!

泥山の頂上に差し掛かって、やっとウサギのジャージ、ソウ君を捕まえる。って事は20番台まで上がれたか。


よっしゃ!と掛け声してソウ君の隣に担いでた自転車をガシャンと降ろし、


すぐに飛び乗った。


そこからはMTBで下る様な急勾配のドロドロの下り。


おっかなビックリ走ってるウチに、

リアブレーキの使い方が分かってきて、コレは楽しい。MTBにハマる人の気持ちが少し分かる。

とにかく小さなパックを幾つか抜いて、

2周目、ヤギさんが3位とギャラリーからの声で知る。

この日は沢山応援を貰って、

それに応えられるくらい余裕があった。


下り区間の長さか、そこまでシンドくない。心拍170くらいか?まだ余裕があるかも知れないと、

少しだけ心拍数に目を落とす。


…20…0…


今なんか見たらアカン数字が表示されていた気がしたので、見なかった事にして走る。


3周目の山の登りで、

やっと貴族会の1人、スタイラー森君の背中に追いついた。

ハァハァと息を切らし必死で彼の隣に並んだ僕は森君に、


…来ちゃった…///


と声をかけ抜きに出る。

間も無くして右側から


「…そしてまた抜いちゃう…」


と囁かれて抜き返される。


次は無言で、ヘアピンコーナーで追い詰め、オーバーラン気味に彼を抜く。


よし、次の下り坂で一気に征する!

とイキんで踏んだ瞬間、

なんとその手前でまた抜かれたのだ。


僕は思わす叫んだ。


なっ、なにぃ〜〜〜っ!


少年ジャンプ世代がライバルに

まさかの実力差を見せつけられた時の

感嘆詞は昔から


「なっ、なにぃ〜〜〜っ!」


と相場が決まっている。


ニヤリと笑う森君を想像しながら、

まだまだ!と後半の平坦区間に入る瞬間、

こともあろうにチェーンを落としてしまった。


マジかよ、ヤギさんに「チェーン緩すぎない?」って言われた時に直しときゃ良かった。


後悔先に立たず。


止まって直し、

すぐ走り出す。意外にも一台しか抜かれなかった。


多分そのくらいのアドバンテージを稼ぎ出してたのだと思うと、

チェーン落ちした事が悔やまれる。


それで焦って、どうと言う事のないコーナーでずっコケてしまった。


リズムを崩す。立て直さないと。


そこで二台、一気に僕を抜いて行く。

若者と、

ヒロシ君だ。


くそっ、


慌てて2人を追い、最終回。


一本道のスラローム、速度の落ちる若者をヒロシ君が何か言いながら突っついてるので、怒ってるのかと聞き耳を立てると、


「よし、もっと上行こう、早く。上目指そう。」と応援してる。


そのプレッシャーに後輪を滑らせラインを潰してしまった若者が、あっ、すいません、と謝ると、


「ドンマイ!、いいよ!」


ヤバいこの人、

レース中にコーチしてる…


と、ちょっと面白くなってきて、

僕もついていく。


平坦区間まで三人で走り、

ヒロシ君が危なげなく若者の前に出る。


僕は若者を中々抜けないでいたが、

小さな登り勾配のコーナーで降車して

足でイン、イン、イン、のラインを取って、内側から抜き去り自転車に飛び乗った。

よし、ヒロシ君とのデッドヒート?!

いやしかし、

もうゴールまで距離が無い!!


そういえばもう四年前だろうか。

ヒロシ君をレースの中で

意識し始めたのは。


ほとんど勝てないが、

よく同じあたりで競いあってきた。


このゴール前の光景すら

なんだか懐かしい。


結局、あと二秒届かなかった。


先にゴールしてた人と、

後から続々と入ってくる人。


皆健闘を讃えあう。


プレッシャーヤバかったよ!

付いていくので必死だった!

やっぱ速いねー!


人が聞いたら、

いいオッさん達が女子の褒め合いみたいと笑うかも知れない。


でもコレは社交辞令じゃない。


気持ちを剥き出しにして走った後の言葉なんて、ただの確認でしかないからだ。


この確認し合う感覚は、

どこか友情に似てると思う。


例え全く知らない人とでも

この時だけは分かり合える気がして、


こんな一体感は、そうは味わえない。


これだから僕は、

シクロクロスをやめられないのかも知れない。





関西CX2017大野ダム

C3

モッツ 15/48位

ソウ君 31/48位

C4

ヨッシャン 24/37位







2017関西CX#3マキノ戦


スタートグリッドに立つ。


前から7列目くらいか、

前方に50台、後方に20台ほど。


それなりに練習はしてきたつもりだ。


レースも半年ぶり。

緊張と寒さで

身体を揺すってスタートを待つ様子を


ヨッシャンは

背中のウサギが跳ねてるみたい、

と言って笑った。


間も無くピストルが鳴り、

自転車の群れが一斉にアスファルトの坂を登り始める。


今シーズンのシクロクロスが、

僕の中で今、スタートを切った。


走り慣れたはずのこのマキノステージ。

晴れればタイヤのよく転がるコースなのに、

今年は気温3度。

みぞれ混じりの冷たい雨が降り、

硬い路面はプリンプリンの極上の黒埿となった。


ただし、コースは例年と大きくは変わらず、アスファルトの登りストレートからスタート、山の上キャンプ場のキャンバーエリアと、

スキー場の斜面を利用して登り下りするエリア。


とにかく、キャンバーに差し掛かる辺りから、予定通り殆んどを担いで回った。

ヌルヌルした斜面をゾロゾロと皆で登っていると、

前の人が脚を滑らし落ちてくる。

かわしたモノの、

彼のペダルが踝にヒットした。

それでも寒さのせいかアドレナリンのせいか、

痛みを気にせず、チャンスとばかりに前へでる。


これだけ人か多いと、

他の人の落車が大きく順位に関わってくるもんで、このチャンスの後に起こった別の落車は眼前で二台絡んでラインを塞ぐ。


道を阻まれ、降車して交わしすぐ走り出すが、前の車両と一気に差が開き、先頭グループはずっと先。


追い付けないかな、と弱気になる所を横から抜かれ、我に返ったようにまた走り出す。


少し速度の乗るコーナーで、

内側から入ってきたライダーがハンドルを当ててくるが、上手く跳ね返し、

闘争心でニヤケてくる。


コーナーを、練習通りに曲がり、

少し前へ出る事が出来た。

自転車を操作する感じが、

また何かウキウキさせるのだ。


これは、楽しい。


下りのロングストレートの先、

思わず外に膨らみ、インからシングルギアの若者に抜かれた。

チネリだったか、なかなかカッコいいので、心中に彼を「スタイラー」と名付け後を追う。


ムキになる理由は多い方がいい。

同じシングルギア、スタイラーには負けないぞ、なんて小さな目標を捕捉するのだ。


二周目、アスファルトに戻ると、白いジャージを着たやたら元気な若者がとんでもないスピードで僕を抜いていく。きっとローディで、登りが得意なんだろう。


とにかく30番台前後か。

とはいえ抜きつ抜かれつを繰り返す。


登りのクランクが続くあたりで二人が連なっていたので後ろに着くと、

後ろの人が前の人を抜けずにイライラして何か叫んでいる。


いやいや、それは違うだろ、

と僕は思うから、

すでに疲労困憊だったけれど、

その気持ちひとつで

外側から二人を追い抜けた。


雨は強くなる。


登り勾配でバカスカ抜かれてしまったが、

次の下りでその数台をまとめて抜き返す事が出来た。

走ってたパックの先頭に出ると、

しばらく前が見えなくて気持ち良い。


3周目、アスファルトに戻ると、

また白いジャージのローディが元気に僕を抜いていった。


どこかで彼を抜いてたらしい。この得手不得手がハッキリと分かる感じが、

異種格闘技っぽさがあって楽しいと思う。


最後のシケイン、目の前でバイクを引っ掛けた人が真横になって通せんぼしてるので、

むしろコレはラッキー、左端から交わし、そこから比較的早目に乗車する。


ブリンブリンに滑る泥を、

皆が押すなか、自分だけ乗っていく作戦に出たがこれが失策、減速してしまい、

結果また抜かれてしまう。


徐々に操作が荒くなり、

コーナーで悪癖が出る。

後輪を滑らせてしまうが

それをペダルで抑えつけて曲げていく。


前のバイクに泥を喰らわせられながら坂を駆け下り、また一台抜き返す。


楽しいのだけれど、実際は般若みたいな形相になってて伝わらないだろうな。

そこからも抜きつ抜かれつ、


もうすぐゴールだ、

新しいジャージでもっと良い所見せたかったな…


まぁこんなもんかという気持ちと、

良かった、やっと終わりだ、等、


多くの感情が入り混じるゴールライン。


終わってすぐ、

震える僕にジャケットを着せてくれたヨッシャン、横にいたナカオさんが、

「よかったよ」と言ってくれる。


その言葉の真意に関わらず、

嬉しい言葉だ。


震える身体で、僕とヨッシャンは、

隣接してる温泉へ飛び込んだ。


つま先の感覚がジワジワもどる。

ヨッシャンが露天行こう、と言うが、

僕は鼻先まで湯槽に浸かって身体が温まるのを待っていた。


31位。パッとしない順位だなぁ…


とはいえ、気持ちは明るい。

もっと落ち込むかと思っていたが、

そうでもない。


よかったよ。


ナカオさんが言ってくれた言葉に

今日の僕の全てがある気がした。



ウチに帰って子供達を風呂に入れてると、息子が僕の踝の傷を見て、

どうしたの?と聞いてくるので前の人のペダルが当たってね…と話すと、

「その人謝ってくれた?」と言うので

あー、レースだからいいんだよと、と返す。すると、

「…じゃあ…ママに言う?」と深刻な顔で言ってくるので、

僕は笑いながら

違うんだよ、と息子の頭をクシャクシャ洗った。


地獄の様な夢の世界。

必死で走り、

そこで負ったかすり傷はその夢の世界にいた証の様に少し誇らしいもんだ。


非現実は常に自分と共にある。


そうである限り、

この多幸感に、

シクロクロスに飽きる事はない。



今年もシクロクロス、

チームKINFOLK-CX-JP、

楽しんで行きたいと思います!





2017関西CXマキノ C3

モッツ 31/65位










淡路島単独ライド

妻が「走りに行ってきていいよ」と時間を作ってくれたので、淡路島一周を企てた。


明石と島を繋ぐ渡船、ジェノバラインには自転車ラックが新設されていて、

こういったサービスアップは想像以上にツーリングの質を上げてくれる。


荷物は明石のコインロッカーへ放り込んできた。


島に到着するなり、

躊躇なく走りだす。


ボトルの水を一口飲むと、

潮の味がした。


今日はかなりの強風で、渡船上の

水飛沫がボトルの口に掛かったのだろう。


衛生上はわからないけど、

ミネラルを補給してる気分で悪くない。


淡路島を時計回り。このルートは普段なら軽く追い風で心地よいスタートになるのだけれど、

今日に限っては曇り空に向かい風と、

あまり快適ではない。


一気に行くか。


丁度折り返しになる福良港まで、

ノンストップで走りきる。


実は、

このロードバイクで淡路島に来るのは

初めてで、

そのせいか、こんなものだったか、

という印象。


それでも水仙郷の峠道は、やはりキツく、ここまで全く見なかったローディー達の群れが、はぁはぁ言いながら登っている。


殆どのグループが女性ライダーばかり、それを男性が引率している。


僕は、チョット失礼、といった風に

そのグループを1つ、2つかわして登る。


いい坂だ、やっぱり。


下りは一度事故してるだけに、流石に慎重になるけど、それでも以前の様な怖さは無かった。


恐らくこのバイクの安定感と、

トニックの岡さんから教わった加重、目線などが、少しづつでも出来て来てるのかも知れない。


水仙郷を越えて、

福良港まであと1つ2つ、峠がある。

そこに行くまでの、海岸線が実はキツい。


コンクリの路面、ガタガタとギャップを拾いながら、

薄暗い曇り空の下を走る。


いつの間にか、

僕はガーミンをチラチラと、

数字ばかり気にして走ってしまっていた。


風が強く、

速度が上がらない。


とはいえ、後ろから来たライダーに抜かされるのも面白くないなんて、

どうでもいい事を考えては黙々とペダルを回していた。


そんな折、


陽の光が射し込む。

薄く伸ばした雨雲にカッターの刃を切り込んだ様なその光は、

ひどく幻想的に海面をキラキラと輝かせた。


誰もいない道、

ボウボウと荒れる風の音、

そして、

自分の息遣いしか聞こえない。


そこに、この僥倖。


独りの世界に入り込む、

現実感を失う瞬間。


誰と走るかが大切、

いつもそう思うけど、

たまには独りもいい。


ワクワク感では遠く及ばないが、

開放感という意味では独りは悪くないし

独り占め出来る景色というのも、

これはこれで特別だと思う。


福良港に着いてしまった。


そうだ、グルメ、今日は太って帰るぞ、

と息巻いて来たのに、まだ何も口にしてない。

で、海鮮丼を、と店の前に行くが、

思ったより疲労がある様で、

食欲がない。

せめて、何か名物的なモンでも…


「ちりめんソフト」


のノボリが目にとまる。


まさかな。


いやでも、フランス料理とか、

牛乳使った魚料理とかあるもんな。


おばちゃんは「カルシウムたっぷりですよ〜」とソフトクリームにたっぷりちりめんジャコを振ってくれた。

おおよそ予想通りの味わいで、

塩っ気が濃厚な淡路牛のミルクの甘さを引き立て、

口の中に残るジャコの独特の弾力が楽しい食感だ。


マズイ。



いや食えない程マズくはないけど、

ブルーベリー味とかの方が、

満足出来たのではないだろうか。


なんなら、普通のバニラでよかった。


復路につく。


空はどんどん暗くなり、

風は暴風。


気を抜くと、ハンドルを持っていかれる。


海面の近い辺りでは、波が路上まで上がってきてる。


スーパーマリオみたいにタイミングを見計らって突破、という程ではないにしろ、波が引いた瞬間、全力で走る。


ふと風の音が止まる。


沿道の草木が進行方向に向かってなぎ倒されてる。

速度がグングン上がる。


これは、とんでもない追い風だ。


かと思うと、その追い風は突然、

転じて向かい風に、


やがて雨が降り出し、

早く帰りたいという気持ちになってくる。


この辺りで尻も痛くなってきて、

残り、あとたった25km。


なのに、

そこからは向かい風の中に小雨が混じり、なんだこれ最悪だ。


だんだん、心拍も上がらなくなって、

もうグルメどころじゃない。


あと僅かな距離が、

全く縮まらない感覚。


あぁ、これが淡路島だった。


行こうと思ってたカフェも、

道の駅にも寄らず、

まっすぐフェリー乗り場へ。


いったい何しに来たんだろう。


フェリーのシートにどかっと座って

飲んだ温かい缶コーヒーが、

やたら美味い。


前よりいい自転車に乗って、

以前より少しは上手くなった気がして、


それでも結局こんなモンだ。




輪行してウチに着き、

子供達を連れて、お茶でも行こうと

近所の小洒落たカフェへ。


なんせ昼メシを食いそびれてる。

子供にカヌレを食わせ、

僕はビールを呷った。


「パパー(携帯で)ゲームしたいー」


何言ってんの、こう言う所ではカッコつけてなきゃいけないんやで?


と言うと、

息子は少し気取ってストローを咥えた。


その様子を見て僕は思わず吹き出しそうになりながら、

淡路島を想う。


辛くて、

楽しかった。


やり過ぎなくらい心地よい疲労感と、

ウチに帰って感じる、この安堵感。


どうしようもなく

生きてると思わせてくれる自転車は、

僕にとって、


やはり大切な趣味なんだ。




kinfolk×GAP

ストリートブランドのロゴは

認め印になってしまった、

というのが昨今の印象。


工業製品メーカーの質実剛健な製品にブランドロゴをポンと押すだけで、

突然、尖ったセンスを纏うというのは確かだし、


そもそも自分の好きな服をリスペクトしつつ、自己流のセンスをエッセンスとして落とし込む、

というのがストリートブランドらしいと思うので、


要約した結果そうなった、と思えば

当たり前なのだけれど。


注目すべきはむしろ

ストリートブランドのロゴにはそれだけの力がある、という事。


ストリートブランドには必ずバックグラウンドとなるカルチャー(例えばsupremeならスケートボード等)が存在し、

その文化がロゴに染み付いているからで、


これはハイファッションや一般的なアパレルブランドには有り得ないモノだと僕は考えている。



kinfolk×GAPが発売開始され、

丁度一月経つ。


てっきり、GAPの既成製品にロゴをポン押しした物だと思ってけど、


そんなワケはなく、店頭で手に取ったスウェットは、

中学生の頃夢中になってたインポート物のNBAのスウェットと同じディテールを持つ、質実剛健な作り、サイドパネル、ガッシリしたリブ。


素材選び、センス、店頭の他のGAP製品の中ではトップクラスの品質だと感じた。


そして、グラフィック。

レーサーロゴと名付けられた

kinfolkのロゴは、

ストリートピストカルチャーに端を発したバックグラウンドを雄弁に語る。


実際、ロゴ、グラフィック製品は飛ぶ様に売れているらしく、この力は、まさにストリートブランドのソレだろう。


「グラフィックは、Kinfolkというブランドのアイデンティティ、そしてどんなカルチャーに裏付けられているものなのかを端的に表現してくれるものなのです」


と、クリエイティブディレクターのジェイ・ペリー氏は語る。


ハイエンドストリートを謳うkinfolkらしい、アパレルとしての素材やシルエットへの拘りと、ストリートブランドらしいロゴが融合されたコレクションを、

GAPとのコラボレーションによって、

手に入れ易い価格で購入出来る。

これは嬉しくて、


大人気なくバカスカ買ってしまった。


ストリートブランドのロゴは認め印。

このコラボレーションは間違いないし、


同じロゴが入った自転車に乗っている事を、

僕はとても誇らしく思う。





8to8ライド〜それでも僕らは坂を登る〜

野間峠。


ヨッシャンが遅れている。


登りきった頂上で踵を返して、

彼の様子を見に行こうと、

来た道を下り始める。


すぐ後ろにいたヤギさんとすれ違い、

その後ろ、その日のライドのメンバーとすれ違う中、目を凝らすがヨッシャンの姿が見えない。


下りはまだまだ深く、葛折りを上から1つ2つ見下ろしてもヨッシャンの影は見えない。


すれ違い様に見落としたか?


戻ろうと、ターンして登り出すと、

すぐソウ君が追って下りてきていた。

やはり、見落としたワケではなさそうだ。


何かあったのかも知れない。


僕らは特に言葉も交わさず、

またその坂をくだり始めた。



その前日。

週末のライドは何処へ行こう?


あれこれ悩んでると、ヨッシャンが、

ヤギさんのライドに皆んなでお邪魔しよう、と提案。告知内容では

長め、緩めのロードコースと書いてる。


ヨッシャンの膝の調子も微妙なので、、これは御誂え向きとヤギさんにメール。

そして、モチロン良いですよ!お待ちしてます、

と気持ちの良いお返事。


とはいえ、

集合場所の箕面駅に到着すると、

メンバーはお一人除いて皆顔見知り。

こうして顔見知りがまた一人、

増えて行くのは嬉しいモンだ。


が、この面子を見たヤギさん。

『緩く行く必要なさそうですね…』

と、予定変更。

1600upのコースに再設定された模様。


のっけから、

いいペースで箕面の山へ入っていく。


何度走っても気持ち良い箕面。

比較的綺麗なアスファルトの横に、

小さな渓流。川面に鎮座する苔生した岩岩を木漏れ日が輝かせる。


その横を、


ジュァッ、ジュァッ、とタイヤの音だけが、ペダルを踏むたびに響くのだ。


楽しくなってきてニヤニヤしてると、

ヤギさんのアナウンス。


『この先は短い坂がありますよ、短くてスグ終わりますけど。』


と言うので、僕はおどけて、

スグ終わらせる、って事ですか?笑


などと、余計な事を言ってしまい、

両脇のヤギさんとソウ君、

三人の間に暫しの静寂が流れる。


誰が合図するともなく、

一斉に駆け出した。

その様子にソウ君は思わず噴き出してしまう。


僕とヤギさんは、

本気だ。


拮抗し、くそっ、タイヤ半分

ヤギさんが前に出て、

大人気ない第1レース終了。


ハアハア言いながら苦しい苦しいと笑ってるのがまた楽しい。


そこから8to8ライドの本領発揮。

趣きのある峠を登りきると、

ヒビ割れたコンクリートの、

急勾配な下り坂。


そこでヤギさんからの前説が入る。

ここからこんな感じの荒れた路面で、

次に幅員が狭くなり、

その先に犬の散歩してる女性が居るので注意との事。


シャマルミレのブレーキをキキーッと鳴らしながら、


荒れた路面をクリアし、

なるほど幅員は狭くなって、

後は犬の散歩をしてる女性が、


本当にいた。


ヤギさんの、

まるでゲームの攻略本の様な正確な

前説に

(犬の散歩まで)知り尽くしてますね!と、皆で笑った。


ヨッシャンは膝を庇いながら走る中で、

つま先をバレリーナの様に伸ばすと痛まない、と気付いたという。


力は入りにくそうだけど、

つま先を伸ばせば当然膝は真っ直ぐ降りる。外膝の痛みはペダリングの膝の揺れが原因となる事が多いらしいので、

なるほど理にかなってる。

コレはいいアイデアかもしれない。


そして、野間峠。


勾配もキツく、トグロを巻く大蛇の背中を走るようにウネウネ曲がる。


この手のヘアピンコーナーは曲がりの深い部分が平坦に近くなる場合が多く、そこで休む、


でなく、あえて加速して、次の坂へ挑む。多少キツいが、個人的には、

この方が楽に登れる気がするのだ。

山頂のトンネルが見え、トップで着いたぞ、と、しょーもない優越感はすぐ冷めた。前に出過ぎだ。


ヨッシャンの膝が気になる。


とはいえ、戻るとなると、

この坂、もう一度上がるんか…


少し考え、いや、

でも、それも悪くない。


僕は意を決して

踵を返す。


下る中でソウ君と合流し、

更に下る。

あっ、

小さな声と共に僕らは彼の姿を確認した。


大丈夫?膝か?!


かなり辛そうだ。


僕とソウ君もヨッシャンの背中に着いて、また登り始める。

改めて、キツい坂だ。


ヨッシャン、膝いけてる?!


『いや、膝はともかく、体力が…』


その言葉を聞いて、

僕らは声に出して笑ってしまった。



三人で、

それは苦しそうに、

僕らは坂を登る。


今シーズン、三人でのシクロクロス参戦はかなり少なくなる予定だ。


そうなれば、いわゆる結果はついて来ないかも知れないけど、


いつも僕らには、

僕らの楽しみ方がある。


それは苦しそうに、


それでも声に出して笑いながら、


僕らは坂を登るのだ。







犬鳴山チームライド


…けんめい、さん?…


「違いますね、イヌナキサンです。」


山道の看板を

息絶え絶えに読み間違えた僕に、

同じ様に息を切らせて

ソウ君が訂正を加える。


その日、僕らKINFOLKチームは

ソウ君の店に程近い、

泉佐野は

犬鳴山山域を走っていた。


落ちた松葉が昨夜の雨で濡れ、

路面はベタベタ。グリップは悪く、

斜度10%を超えるあたりのグレーチングでウッカリ踏み込んでしまい、

後輪はギュルんと空転してみせた。


突然のスリップに、

おっと、と驚く僕をハハ、と

力なく笑うソウ君が、

犬鳴山の名前の由来を話し始めた。


「昔々、この山に愛犬と鹿を狩に来た猟師がおったが、

あまりに犬が鳴くので獲物が逃げてしまい、

頭にきた猟師は愛犬のクビをはねてしまったそうじゃ。

じゃが、その首はそれでも跳ね飛んでいき、今まさに猟師に襲いかかろうと隠れていた大蛇にガブリと噛み付いた。

そこで命を救われたと気付いた猟師は、


おぉ、なんと取り返しのつかない事を、ワシはしてしまったんじゃぁ…ほんに、ほんにすまん事をした…と悔いて、


この山の僧となり愛犬を供養した。それを聞いた偉いお方が感動し、

この山をイヌナキサン、と名付けたという事じゃ…。」


と、日本昔話の様な話しを、

ザックリと説明してくれた。


しかし昔話ってのは今の感覚では

命の重さが随分軽い気がするな、

なんて話しながら、


まだ早朝の朝靄の中、

もがく様に僕らは山頂を目指す。

ヨッシャンが遅れていたので、

少し待つと呻く様に膝の痛みを訴えながら登ってくる。


どうやら膝の外側が痛いらしい。


僕はまだまだ初心者気分が抜けないのだけれど、

膝の痛みだけは、上、裏、外側、と三箇所きっちり味わった経験がある。


上と裏に関しては、サドルが低すぎか高すぎか、という所で概ね治り、

外側はクリート位置と膝の下ろし方で治る、というのが経験から得られた印象。

とはいえ、一度痛くなってしまっては休息する他無いので、

ヨッシャンの膝が爆発しない様にソウ君がルート、ペースを変えながら案内してくれる。


そんなソウ君の気遣いも何のその、


僕だけ気持ち良さげな道で1人ピューッと駆け出してしまい、ハッとして2人を待つが、来ない。

駆け出した位置まで4キロ程、

とりあえず戻って探したが、


居ない。


ヤバい、迷った。


と思った頃、ソウ君から着信。

ヨッシャンの膝を庇ってショートカットのルートに入ったとか。


結果二人を待たせて合流した。


コレ、昔話の世界なら苛立つソウ君にクビはねられてる所やな(笑)、

と、

言おうとしてやめる。


そこからの気持ちの良い高速コーナーを

三人で快走。


スタート地点のソウ君の店に到着し、

その後皆予定もあるし、

早々に解散する。


輪行で帰る電車の中でふと思う。


トレーニングの様に走るのも、

サイクリングとして走るのも、

僕にとっては同じ様に苦しく、

そして楽しい。


もし楽しさに差があるとすれば、


誰と走るか。


獲得標高でも、

消費カロリーでもないライドは

いつも特別で、

偏る僕の頭をニュートラルに戻す。


それが僕にとっての

チームライドなのかも知れない。












よくある夏の朝


僕のツイッターのタイムラインは

自転車の話題で埋め尽くされる。

とは言え、

いかにクランクを効率的に回すか、

という類の話は少なく、


いかに自転車と付き合っていくか、

という話題が殆どだ。


その中でもテースケさんがよく言う

「自転車は誰と乗るかが大切」

ってのは何の異論もない。


しばらく独りでのライドが続いてた事もあり、


なるほど、誰かと乗ると、

これほどまでに違うものかと、


たった今、


背後にナイトーさんの激しい息遣いを聞きながら、

それを痛感している。



今日はくそ暑い日曜日で、

気温は35度を上回る勢いらしい。


ナイトーさんと早朝に出発、

道中にある橋を全力でタイムトライアルしたら、あとは緩く周回して帰りましょう、暑いし。


という計画だったはずだ。


それがなぜか、

軽い向かい風の中を、

ここ最近ではこれ以上ない程、

クランクを回転させる事に集中していた。


口から心臓が飛び出しそうだ。


ルールは、

体調の優れないナイトーさんを牽いてインターバル2周3セット。

僕が落ちて来たらナイトーさんが抜きに来るので、

それを抜き返しペースを保つ。


という、

もはや僕を鍛える(虐める)だけの練習。


…ゆるく走るんじゃなかったっけ…


と独りごちながらも、イイ所を見せたいヨコシマな想いもあり、全力で踏み込んで見せる。


ナイトーさんの

「いやぁ、最近のモッツさん調子良いからなぁ〜」という口車に乗せられた格好だ。


速度計の数値はいつもより少しだけ速いタイミングで目標速度に到達する。


そこから更に伸び、

落ちない。


全部ナイトーさんのせいだ。


背後から追われる事でココまで違うのか。これは、引き離すまで休めない。


コーナーを抜けぎわ、

尻をサドルから上げ、

ナイトーさんを千切るつもりで

一気に踏み込む。


速度計の数字はまだ伸びる。

振り切ったか、

と軽く振り返ると、

そこにナイトーさんの前輪が見える。


いつも思うけどナイトーさんは

反応が速い。


僕が分かりやすいのかも知れないけれど。


そのまま最後のコーナーを抜け、

間も無くピピッとガーミンが自動計測でタイムを教えてくれた。


はあはあ言いながら息も絶え絶えに、

ガーミンを見て驚く。


ナイトーさん、すげータイム出ましたよ!(自分的に)。


実際、自己新記録だ。


引っ張り合った事も過去にあったのに、

その記録を上回った。


まさにナイトーさんのせいだ。


とはいえ、もしかして二台連なる事でエアロ効果が有るのかも知れない。

分からないけど、そのタイムを享受する程度には十分、身体は疲れていた。


「今日のワインは美味い、とか(ブログに)書かないでくださいよ笑」と、


両腕をハンドルに垂直に突っ立て、

肩の間に顔を落としていかにもシンドそうなナイトーさんは絶え絶えに笑って言った。


結局ハードな練習になってしまった。

これはでも、

テースケさんの

「誰と乗るのか」という定義とは何か少しズレてるんじゃないかな…、

と思いつつ、

いつものカフェに寄る。


僕らはRAPHAの熱心なファンと言う事もあり、ジャージがお揃いになってしまった。

なんだか面白くて、

せっかくなので写真を撮ってもらおうと、

ナイトーさんが店員の女の子に話しかける。

こういう時のナイトーさんはスマートで、反応も速い。


おじさん二人で朝カフェ。


彼とは歳も同じで、

子供も歳が近い事もあり、

話は尽きない。


ウチに帰ってログを見て、

自分もナイトーさんも自己新記録を出してる事を確認し、

なんと言うか、


二人で協力して山でも登って来たような、また何時もと違う達成感を味わう。


夕方、


妻の母が大量にコロッケを揚げてくれたので、

僕は酒を買ってくる。

セブンイレブンのPBワイン。


ヨセミテロードスパークリング・ロゼ。


泡で800円しないワインを他に知らないし、味も薬品を思わせる安いロゼ独特の渋み。

しかし、言うなればDr.ペッパー的な絶妙なバランス感で、

案外悪くないし、


これが、コロッケと絶妙に合う。


粗めのミンチ肉からジワっと出る肉汁を泡が弾き、スッキリした渋みが脂を流す。

ジャンキーで、止まらない。


ガツガツとコロッケを頬張りながら、

また泡をグイッと飲む。


今日はよくあるクソ暑い日曜だったけど、

そこに僅かな達成感があるだけで、

家庭料理もご馳走になるし、

安い酒でも美酒になる。


今日もやはり、

ワインが美味いのだ。







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